其の137『新々刀の推し事』 |
|||
時代 |
指定なし |
地域 |
指定なし |
刀剣 |
|||
条件 |
|
水心子正秀 |
……む |
孫六兼元 |
ん? |
水心子正秀 |
………… |
孫六兼元 |
なんだ? |
水心子正秀 |
あっ……! んん、失礼した。孫六兼元だったな、大永の頃の、その……、折れず、曲がらず、良く斬れる…… |
孫六兼元 |
ああ、関鍛冶の孫六兼元だ。あんたは、江戸三作の水心子正秀だな。幕末のころによく見かけた刀だ |
水心子正秀 |
えっ! ……あ、あの孫六兼元が水心子正秀をご存じだったとは、……光栄だ |
孫六兼元 |
あんたが打たれた頃は、派手な刀のほうが評価が高かっただろう。俺に興味があるのか? |
水心子正秀 |
それはもう!! ……あっ、ああ、もちろん。新々刀の祖として、古い刀は勉学の対象だからな |
孫六兼元 |
そうか。まあ、興味を持ってもらえるのはうれしいが |
水心子正秀 |
………… |
孫六兼元 |
見たいのか? |
水心子正秀 |
いい……のか? |
孫六兼元 |
ああ、減るものじゃなし |
水心子正秀 |
ああ、ああ、感謝する! |
孫六兼元 |
はいよ |
水心子正秀 |
失敬 |
水心子正秀 |
……うん、折れる刀と折れない方なとの違いはと問われれば、永禄から天正の激しい戦国において曲がったと伝えわる事なく、上作でなくとも業物だとして諸侯の指料にもなり、そして何より斬れる刀! これぞ武士たる者が求める好むべき姿と言われている。うんうん、分かる、分かるぞ |
水心子正秀 |
茎をよく焼かなければ目釘穴から折れると言うけれど、目釘穴から折れるような刀はそもそも切っ先から折れるのだと。刀が折れる原因は焼きなのかとも……。すごい、これが……かつて刀工水心子正秀が傑作と讃えた孫六兼元! |
水心子正秀 |
刀剣を知らないド素人がド素人に語るから真贋もわからなくなってしまうし……、押形に似ていれば真作だなんて木を見て森を見ないような話がまかり通ってしまう。見た目だけを追い求めるのは不仁の極、刀への冒涜! やはり水心子正秀は間違っていなかったんだ |
孫六兼元 |
視線が熱いねえ……、火傷しそうだ。ここにはもっと珍しい伝説持ちの刀もあるだろうに |
水心子正秀 |
とても勉強になる! 兼元も、之定も、虎徹も、国広も! |
孫六兼元 |
はは、そうかい。これぞ無我夢中ってやつだな |
孫六兼元 |
……後を継ぐ者がここにもか |
水心子正秀 |
さて。では、ちょっと失礼 |
孫六兼元 |
はいはい、ん??? んな、大胆な! あひゃひゃひゃひゃ |
記事の間違いやご意見・ご要望はこちらへお願いします。