花札のゲーム「こいこい」は、日本で古くから親しまれてきたカードゲームです。あの任天堂とも深いつながりがあります。運だけでなく、勘や判断力などを試されるゲームなので、役を作って点数を競ったりローカルルールなども加えてより楽しく過ごしましょう。ルールや勝つコツ・3人で遊ぶ方法などを紹介しています。カードやSwitch・アプリゲームなどで遊ぶ際の参考にしてみてください。
花札とは?
花札は日本に古くからある室内ゲームの一種です。2人で遊ぶ「こいこい」や2~3人で遊ぶ「六百間(ろっぴゃっけん)」・3人で遊ぶ「花合わせ」など、様々な種類のゲームがあります。
この中でも「こいこい」はよく遊ばれるゲームで、アプリやオンラインゲームも多くあります。1対1の駆け引きや勝負の勘・判断力・先読みをする力・度胸などが試される頭脳戦を楽しめるゲームです。
札の種類は48種類
花札には光札(20点)・種札(10点)・短冊札(5点)・カス札(1点)の4種類があります。合計で48枚あり、光札×5枚・種札×9枚・短冊札×10枚・カス札×24枚の構成です。
花札を準備して楽しむ場合、花札が1組でも十分に楽しめますが、2組準備しておくと、よりスムーズにゲームを楽しめます。
花札(こいこい)のルール
準備するもの
- 花札(48枚)
- 結果を記録するメモ用紙とペンなど
プレイマットとして座布団があると、より快適に楽しめます。
基本ルール
基本のルールは下記のとおりです。後で喧嘩にならないように最初によく確認しておきましょう
- 親を決める(先行)
- 札をシャッフルした後、親と子・場に配り、残りは山札にする
- 手札と同じ月の札を場から取る(※1)
- 山札から取った札と同じ札が場にあれば取る(※2)
- 取った札で役を作る(五光、猪鹿蝶など)
- 役ができたら「勝負」または「こいこい」を宣言(※3)
- 決めた回数分の勝負を行い、合計点数が多い方が勝ち(※4)
※1・2…同じ月の札がない場合は札を場に置く
※3…相手が先に上がった場合は「こいこい」した側の点数は無効になる。また、倍返しのルールを採用している場合は、後から上がった人の点数が2倍になる。
※4…1回のゲームを1月として12月まで行える。何回戦までするかは、最初に決めましょう
以下から詳しく解説していきます。
ローカルルールについて
こいこいは、地域や年齢ごとに様々なローカルルールが存在します。「倍返し」は、その内の1つです。相手がこいこいをした後に自分が「勝負」をした場合に2倍得点がもらえるというルールで、採用すれば、よりスリルのあるゲームを楽しめます。
遊び方の流れ
開始前の準備
札を引いて親を決める
山札から一枚ずつ札を取ります。若い月(数が小さい)の札を取ったほうが親(先攻)となります。
例えば、自分が取った札が「1月松に鶴」で、相手が取った札が「7月萩に猪」だった場合は、自分が親になります。
どちらも同じ月だった場合は、引き直しましょう。
札を親と子・場に配り、残りは山札にする
花札をよく混ぜてシャッフルします。
8枚ずつ裏を向けて自分の手札・相手の手札に8枚配り、自分と相手の間に場札として8枚表向きに配置します。残った札は山札としてまとめて置いておきましょう。
ゲームスタート
手札と同じ月の札を場から取る
親が先攻で、ゲームを進めていきます。自分の番が来たら、自分の手札にある札の中から場札と同じ月の札を探します。同じ月の札があれば、それを出して場札を出した札と一緒に取りましょう。場札と同じ月の札が複数ある場合は、より高い得点が狙える役の札や短冊などの役を作りやすい札を選びましょう。
山札から取った札と同じ月の札を取る
次に、山札から1枚引いた札と同じ月の札が場札にあれば、自分の取札として取ります。これを自分と相手で交互に進めていきます。
「勝負」または「こいこい」を宣言
ゲームを終了する条件は下記の3つのいずれかが起きた場合です。
こいこい
役ができた後に「こいこい」と宣言することで、ゲームを継続できます。これは、今ある役よりももっと良い役を作れそうな場合に使う手法です。しかし、宣言後に相手が自分よりも先に役を作って「勝負」と宣言すると、負けになります。
勝負
作った役で相手に勝てる見込みがある場合に「勝負」と宣言します。そうすると、今回のゲームは終了となります。相手が「こいこい」を宣言した場合であっても、役が揃っていれば「勝負」と宣言することは可能です。自分が「こいこい」を宣言した場合は、新しい役ができた後に「勝負」を宣言しましょう
手札がなくなった
親も子も手札8枚がなくなり、役ができなかったときは終了となります。その場合は、親権で親が6点もらえます。
合計点数が多い方が勝ち(※5)
あらかじめ決めていた回数分の勝負を行います。最終的に合計点数が多い方が勝ちとなります。
※5…1回のゲームを1月として12月まで行える。基本は12回ですが、最初に決めておけば3回や6回でゲームを終えることも可能です。
役がお互いに作れなかった場合
親も子も手札がなくなるまでに役を作れなかった場合は、「親権」で親に6点入ります。
3人での遊び方
花合わせという遊び方で遊べます。こいこいと違って役がなく、札の得点で合計点数を競います。この遊びは馬鹿花(ばかっぱな)と呼ばれることもあります。
3人で遊ぶ場合も、様々なローカルルールが存在しており、役ができたら終わりとなったり、「柳に小野道風」のカス札を柳同士以外であればどの札とも合わせられる「鬼」として使ったりします。鬼を採用する場合は合わせることを「咬む」と表現します。
親になるメリットとは?
親になると下記のメリットがあります。
- 先攻でゲームをすすめられる
- どちらも役が作れない場合は、親権で6点入る
先攻でゲームをすすめられる
花札(こいこい)では、親が先攻でゲームを進めます。場に出ている札を先にとれるようになるため、相手が役を作るのを阻止したり、自分が欲しい札を取りやすくなったりします。
どちらも役が作れない時に有利
ゲームを進めていて、どちらも役が作れなかった場合は、親に親権で6点与えられます。ゲームをしていて、どちらも運が悪くて、うまくいかなかったときの保険にもなります。
点数計算
点数別の札の種類
役や点数を計算するには、まず札の種類を覚えましょう。札には点数別に分類して4種類の札があります。
※10点フダ、20点フダ、と呼ばれることが多いのですが、その点数は「こいこい」ではなく「3人花札」の点数に起因しています。こいこいではこの点数ではなく、完成した役によって点数が決まります。
①光札 20点フダ ※ (5枚) |
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②たね札 10点フダ (9枚) |
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③たん札 5点フダ (10枚) |
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④カス札 1点フダ (24枚) |
計算の仕方
最初に決めた月の数だけゲームをしたら終了となり、獲得した点数を計算して勝敗を決めましょう。
- 出来上がった役をもとに点数を計算する
- 7点以上は倍の点数で計算
- こいこいが失敗した場合(先に相手の役が成立した場合)は自分の点数は無効になる
- 猪鹿蝶や種(タネ)などの役は同じ札でも、重複して成立させることができる
- 三光~五光までの光札による役は重複して成立できないため、一番強い役だけが成立する
- それぞれの月の点数を合計する
ローカルルール
ローカルルールを採用している場合は、これを計算に入れましょう。
例えば、倍返しを採用している場合は、自分がこいこいをした後に先に相手の役が成立したら、相手の点数は2倍で計算します。
役の種類と点数表一覧
役名 |
組み合わせ例(画像)/詳細 |
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五光 (10点) |
「松に鶴」「桜に幕」「芒に月」「柳に小野道風」「桐に鳳凰」
光札5枚で構成された花札の中で最も強い役 ※五光の役ができた場合は、「三光」「雨四光」「四光」は成立しない |
四光(8点) |
「松に鶴」「桜に幕」「芒に月」「桐に鳳凰」
「柳に小野道風」以外の光札4枚を揃えた役 |
雨四光 (7点) |
「柳に小野道風」と他の光札3枚(「松に鶴」「桜に幕」「芒に月」「桐に鳳凰」)の組み合わせ |
三光 (5点) |
「柳に小野道風」以外の光札3枚(「松に鶴」「桜に幕」「芒に月」「桐に鳳凰」) |
花見で一杯 (5点) |
「桜に幕」と「菊に盃」 |
月見で一杯 (5点) |
「芒に月」と「菊に盃」 |
猪鹿蝶 (5点) |
「萩に猪」「紅葉に鹿」「牡丹に蝶」の10点札3枚の組み合わせ
他の10点札が1枚増えるごとに1点加点 |
赤短 (5点) |
文字入りの短冊3枚による役
他の短冊札が1枚増えるごとに1点加点 |
青短 (5点) |
あおい短冊の3枚による役です。
他の短冊札が1枚増えるごとに1点加点 |
ぶっく(10点) ※赤短・青短の重複 |
赤短と青短の合計6枚による役です。
この役が出来ると、「赤短」「青短」が成立しなくなります。 |
種(タネ/1点) |
10点札5枚、10点札1枚増えるごとに1点加点 |
タン(1点) |
短冊札5枚、短冊札1枚増えるごとに1点加点 |
カス(1点) |
カス札10枚、1枚1枚増えるごとに1点加点 |
手役
手札が配られた際に下記の組み合わせがあった場合は、その時点であがり となります。配られたら該当するものが無いかを確認しましょう。
役名/組み合わせ例(画像) |
詳細 |
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手四(てし/6点) |
同じ月の札×4枚 |
くっつき(6点) | 同じ月の札2枚×4組 |
特殊な札
札名 |
詳細 |
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菊に盃 |
化け札として、10点札やカス札としても使用できる ※併用不可 |
月ごとの絵柄一覧
1月から12月までの札があります。親決めや札を取る際にも関係してきます。
同じ月の札には、同じ植物が描かれています。
※…札の別の名称
1月 松に鶴 |
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2月 梅に鶯(うぐいす) |
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3月 桜に幕 |
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4月 藤に不如帰(ホトトギス) |
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5月 菖蒲(アヤメ)に八つ橋 |
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6月 牡丹に蝶 |
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7月 萩に猪 |
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8月 すすきに月 ※ススキに月・雁 |
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9月 菊に盃 |
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10月 紅葉に鹿 |
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11月 柳に小野道風(おののみちかぜ) ※小野道風にカエル、柳にツバメ |
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12月 桐に鳳凰(ほうおう) |
攻略のコツ
できるだけ早く役を作る
より早く役を作って点数を獲得することが勝利への第一歩ともいえます。早めに役を覚えてみたり、いつでも一覧を見ることができるように工夫しておきましょう。
ゲームの序盤の内に手札や場の札を確認してどの役・札を狙って進めていくか、優先順位を決めておきましょう。相手の動きによっても狙える役・札は変わる場合があるので、最初に狙っていた札が取れなくても切り替えられるようにしましょう。
相手の出方をよく観察する
相手がどの札を持っているのか、場に出ている札や獲得した札を見ながら判断していきましょう。先に相手が狙っていそうな札や高得点が狙える札が場にあれば、できるだけ先にとって相手の戦略を妨害していきましょう。高得点を狙える役が作れる札が場に出ていても相手が取らない、といった相手の動きを把握しておくと相手の手札の予想を立てやすくなります。
着実に役を作れる札を取る
短冊やカス札などの役を作りやすそうな札があれば、着実に取るようにしていきましょう。確実に札を取っていくことで、役を作りやすくすることで、より安定した点数を稼いでいくことができるようになります。
場合によってはリスクよりも高得点重視
相手との駆け引きも、こいこいの面白さです。
ゲーム状況や相手の行動・戦略によっては、着実に役を作っていては負けてしまう可能性があります。危険な場合は、多少自分の手札が相手にばれたり他の役が成立したりするリスクを負ってでも札を取る勇気も必要になります。そのため、そういった場面では積極的に高得点を狙える札を取るようにしましょう。しかし、あまりにもリスクを顧みずに行動していると、失点の可能性が出てきてしまうので、リスクとリターンのバランスをよく考えて決めましょう。
例えば、複数の札が取れる状態の時に最終的に得点が高い方の札を取ったり手札に残すという判断、相手に狙っている役がばれてしまっても役を作るのに必要となる札は相手に取られないうちに早めに集めるといったことが当てはまります。
相手の行動に合わせて戦術を決めていきましょう。
こいこいと勝負の違いを把握する
こいこいは、手札や場にある札を取っていき、札の特定の組み合わせ「役」を作って合計点数を競うゲームです。
こいこいでは、役を揃えると、そのまま今持っている点数で勝負(あがる)となります。
しかし、もっと点数が取れる役を作れそうな場合やゲームを継続したい場合は、「こいこい」と宣言することで、現在のゲームを継続できます。
迷った時は「勝負」を宣言
役が揃ってから「こいこい」をしてゲームを継続するか、「勝負」で今回は逃げ切るかどうかは、その時の手札や相手の持っている札によっても変わってきます。役ができる見込みがある場合は更に得点の追加が狙えます。しかし、ローカルルールの倍返しを採用している場合は、相手が役を作れそうな状況の場合は、相手に倍の点数を渡してしまうため、場に出ている札や自分の作れそうな札の点数なども考慮してこいこいをするかどうかを判断しましょう。迷う場合や相手の捨て札に期待するような状況であれば、最初に役が揃った時点で先に「勝負」を宣言しましょう。
こいこいのメリット
- 手札で更に高得点を狙える役を作るチャンスにつながる
- 新しい役を作れれば、さらに点数が稼げる
こいこいのデメリット
- 「こいこい」した側は新しく役ができるまであがれない。
- 相手が先に上がった場合は点数が2倍になり、「こいこい」した側の点数は無効になる(※)
※…ローカルルール「倍返し」を採用している場合
勝負のメリット
- 今持っている点数を維持できる
- 相手が役を作るチャンスをなくせる
勝負のデメリット
- 今持っている点数を増やせない
花札と任天堂
任天堂の原点
任天堂というと、現在は家庭用ゲーム機Nintendo SwitchやWiiU・3DSなどのメーカーやマリオ・ポケモンなどのゲームのイメージがあります。そのため、花札やトランプなどを扱っていることが意外だと感じる方もいると思います。
1889年 (明治22年)に創業した任天堂株式会社の前身「山内房治郎商店」は、花札やトランプを主に取り扱って経営してきた会社です。ゲーム機メーカーとして実績を積んだ今も、任天堂の原点として「都の花」「大統領」といった伝統的な花札やトランプを取り扱っており、オーダーメイドのトランプ制作もサービスとして提供しています。
現在では、花札やトランプをカードゲームとしてだけでなく、Nintendo Switch用ゲームソフト「世界のアソビ大全51」で花札が無くても気軽に遊べる形で提供しています。
また、マリオシリーズのキャラクターが描かれた絵柄が特徴的な「マリオ花札」といった形でも、現在の任天堂のイメージを商品に反映されています。
出典: www.amazon.co.jp
花札が購入できるお店
「花札」といってもいろんな種類のものがあります。ドラえもんやマリオ、名探偵コナンなどのキャラクター柄の花札もあります。ノーマル絵柄の場合でも、お手頃価格なものから桐の箱に入った高級品まで多種多様なものがあります。興味がある方は Amazon や 楽天市場 等でも扱っていますので一度見てみてください。
キャラクター柄
出典(参考文献)
この記事は、下記サイト・YouTubeチャンネルの情報を参考に作成しました。
参照時期:2023年10月下旬
- 任天堂公式HP
(花札・株札「歴史・遊び方」)
https://www.nintendo.co.jp/others/hanafuda_kabufuda/howtoplay/index.html - えとはな!干支っ娘 花札バトル
(花札の遊び方)
https://etohana-koikoi.com/rule/ - Youtube:花札ゲーム紹介チャンネル
https://www.youtube.com/@hanafuda123 - X(旧Twitter):火付けマッチ
(【こいこい遊び方1】【こいこい遊び方2】)
https://x.com/mrmatch777/status/1361056198590488580?s=20 - りんとちゃーの花しらべ
(【花札2人】「こいこい」のルールと役一覧・点数表|月札の覚え方・PDF付き)
https://rinchar.site/hanahuda-koikoi/ - Wikipedia「花合わせ(遊び方)」
https://ja.wikipedia.org/wiki/花合わせ
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