其の155『江戸紫花合 朝顔』 |
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時代 |
江戸の記憶 |
地域 |
江戸 |
刀剣 |
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条件 |
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大慶直胤 |
せっかく江戸に来たんだし、ちょっと寄り道してこ! |
源清麿 |
あっ! ああ……。行っちゃった |
源清麿 |
寄り道するって言っても…… |
源清麿 |
……? |
源清麿 |
……これは、刀を打つ槌の音 |
源清麿 |
ここに居たのか…… |
大慶直胤 |
やっぱりこの時代の鋼は弱いよね |
大慶直胤 |
でも、この時の江戸は活気があっていいよー |
源清麿 |
大慶は江戸の町が好きなんだね |
大慶直胤 |
うん? 江戸三作なんて大層な括りで呼ばれるからかなー |
大慶直胤 |
刀工大慶直胤はいろいろなところに行って、刀を打って、気ままな放浪旅をしていたけど、一番地に足が着いている感触があるのが江戸なのかも |
源清麿 |
そうか |
大慶直胤 |
清麿くんは? 山浦環の故郷は信濃でしょ |
源清麿 |
考えたことなかった。四谷正宗とも呼ばれるし、江戸……、なのかもね |
源清麿 |
でも、驚いたよ。君から山浦環……、刀工源清麿のかつての名前が出てくるなんて |
大慶直胤 |
それこそ、江戸三作だしー? |
大慶直胤 |
それに、俺たちが打たれたのは海の外から来る脅威と戦わんと皆が躍起になって斬れる刀を求めていた時代だよ。折れず、曲がらず、よく斬れる。その上で刃が欠けず、こぼれず、手に合うもの。四方詰めの源清麿は時代に求められた刀だった |
源清麿 |
どうかな |
大慶直胤 |
源清麿の刀の実と熱、あれが才だよ。時代を魅了する |
大慶直胤 |
大慶直胤も水心子正秀も随分貧乏をして刀工になったし、源清麿のように若くして注目もされなかったしねー |
源清麿 |
よほど君の方が知っているね |
大慶直胤 |
それって、刀工のこと? 刀のこと? それとも…… |
源清麿 |
僕は君に嫉妬している |
源清麿 |
……君たちはとてもよく似ているよ |
大慶直胤 |
そっか。……うん、この間はごめんね |
源清麿 |
……え? |
大慶直胤 |
所詮、与えられたものかもしれないけど、俺たちの行動次第で少しは融通が利くみたい……だよね? |
大慶直胤 |
集めて、丹念に織り込めば、強くて斬れる鋼になる |
大慶直胤 |
そうでしょ、清麿 |
源清麿 |
…… |
源清麿 |
だから、君が来るのが嫌だったんだけど |
大慶直胤 |
むぎゅぎゅぎゅー |
源清麿 |
ははっ、嘘。嘘だよ、大慶 |
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