其の165『目に見えぬ束縛』 |
|||
時代 |
指定なし |
地域 |
指定なし |
刀剣 |
会話内容を見る
道誉一文字 |
ハッハァ! 亀甲貞宗か |
亀甲貞宗 |
君は……、一文字の? |
道誉一文字 |
失礼。俺は道誉一文字。金二百枚分の相方との縁は、君がくれたものだ。と言えばわかるかな |
亀甲貞宗 |
ぼくが贈った縁……。フフフ、縛られる相手がいるということは幸せなことだよ |
道誉一文字 |
フンー、こちらは二振りで金二百枚、君は一振りで金二百枚。貞宗さんは余裕っぷりが違う |
ただし、アーヤがいたら今頃君は海に沈んでいる |
|
亀甲貞宗 |
金二百枚か……。君はそういうことを気にする性質なのかい? |
道誉一文字 |
当然。ブランドにとってバリューは大事さ |
亀甲貞宗 |
ぼくに付いた折紙は武器としての価値ではなく、ただの演出だよ |
人の儀礼というものは実に理解不能だけれど、人を縛るものとして目に見えないところに存在してる。折紙は便宜上統一された価値観にすぎない |
|
道誉一文字 |
刀は権力者にとって実に都合のいい演出道具。長い年月をかけて武器からシンボルだけを取り出したとも言えるからな |
亀甲貞宗 |
そうだね、ぼくら貞宗は天下三作の一つ正宗の系譜で、正宗に類する評価を受けることもあって、支配と被支配の関係を誇示する品としての適性が高い…… |
見栄っ張りな演出家の、ちょうどいい立役さ。明かりが真正面から当たるね |
|
道誉一文字 |
ハッハァ! 実にドライだ |
亀甲貞宗 |
ぼくは、ぼく自信の世間的な価値というものには興味がないし、無銘のぼくを縛り付けてくれるものは他にある |
貞宗は、一振り一振りが思う貞宗であればいいんだよ |
|
道誉一文字 |
今の主にはだいぶご執心のようだが |
亀甲貞宗 |
ああ。ぼくは、ぼくが愛するものに縛られることで強くなる |
けれどそれは、ぼくだけではないはずだ。悔しいけれど。それは君も感じ取っているんじゃないかな? |
|
道誉一文字 |
さて、どうかねえ…… |
回想一覧はこちら
記事の間違いやご意見・ご要望はこちらへお願いします。