『葬送のフリーレン』のフリーレンとヒンメルの二人について、現在アニメで放送されている範囲内で二人の関係性(=恋愛模様)を中心に考察していきたいと思います。
本記事には “一級魔法使い試験編” 開始までのネタバレが含まれます。問題ない方のみご覧ください。
目次
作品紹介
基本情報
出版 |
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作者 |
原作:山田鐘人さん 作画:アベツカサさん |
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連載 |
・・・にて連載中 |
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最新刊 |
12巻 2024年12月18日発売 |
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公式サイト |
(アニメ公式HP) |
出典: frieren-anime.jp
『葬送のフリーレン』は、週刊少年サンデーで連載中の漫画で、2023年にアニメ化され注目をあびています。魔王を討伐した勇者一行パーティーの一人、エルフで魔法使いのフリーレンが魔王討伐後の世界を旅するお話です。
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ヒンメルとフリーレンの関係
魔王を討伐したのは勇者ヒンメル・戦士アイゼン・僧侶ハイター・魔法使いフリーレンの4人パーティーですが、勇者ヒンメルはフリーレンに想いを寄せているとみられる節があり、それがわかるエピソードが作中でいくつかみられます。
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これに対してフリーレンは人間への興味が薄く、ヒンメルが老衰で亡くなって初めて人間を知ろうとしなかった事を後悔します。
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フリーレンはヒンメルの死後に人間を知ろうと思い、かつての魔王討伐の冒険の痕跡をたどる旅に出ます。もちろんヒンメルの想いには気づいていないようですが、フリーレンはその旅路のなかでヒンメルがどんな気持ちで過去に行動していたのかを振り返りつつ、少しずつ理解していくことになります。
ヒンメルとは
ヒンメル 魔王を倒した勇者一行の勇者。 仲間大好き。自称イケメン。 魔王討伐後、50年の時を経て老衰で亡くなる。 |
出典: websunday.net
少し自分に陶酔しているところもありますが、基本的には優しい人柄で困っている人がいるとほっておけない性格です。旅の先々で困った人々を助けてまわり、たくさんの人に慕われています。
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割と何事にも動じず年齢の割に達観していて感情の起伏はそんなに大きくないようにみえますが、フリーレンのスカートをめくった子供に対してブチギレた事があります。
裏表がなく、自分の考えに素直に行動するタイプのようです。
▲原作 第5話「人を殺す魔法」より
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フリーレンとは
フリーレン 魔王を倒した勇者一行の魔法使い。 エルフだから長寿。ドライ。魔法オタク。 |
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フリーレンは長命の種族であるエルフの少女で、既に1000年以上の時を生きています。子供の時に魔族に故郷を襲われ、魔族に対して強い憎悪の念をもっています。
1000年前に魔法使いの開祖ともいわれている大魔法使いフランメと出会い、フランメを師と仰ぎ長きにわたり自分の魔力を抑える修行を行ってきました。
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少しおっとりしていて物事にあまり強い執着を持たないようにも見えますが、新しい魔法を覚える事は大好きで、変な魔法を集めることを趣味としています。
長い時を生きてはいますが見た目通り幼い部分も多々あり、宝箱の罠にひっかかったり大した事ないところでどや顔を見せる、可愛い一面もあります。
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ヒンメルの想い
出会い
ヒンメルが魔王討伐の旅に向かう途中、魔法使いを探しているときに森の中で暮らしているフリーレンと出会います。(原作 第22話・アニメ 第10話)
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フリーレンは魔力を制御していたため、僧侶ハイターの魔力感知ではハイターの5分の1程度の魔力と判断されますが、ヒンメルは直感でフリーレンが強いと感じます。
「“君は僕が出会ってきたどの魔法使いよりも強い。”」
その理由を聞いたフリーレンに対し、「なんとなく」と答えるヒンメル。その昔、フリーレンが大魔法使いフランメと出会った時に言ったものと同じセリフです。
ヒンメルはこの時点でフリーレンに対し、何かを感じていたのではないでしょうか。見た目の強さに関係なくフリーレンと旅をしたいと強く願ったのかもしれません。
鏡蓮華の花言葉
ヒンメルのフリーレンに対する気持ちが一番わかりやすいのは、「鏡蓮華(かがみれんげ)」のエピソードです。(原作 第30話・アニメ 第14話)
昔、魔物討伐の報酬としてヒンメルは好きなアクセサリーをフリーレンに買ってあげると言い、フリーレンは何も考えず無造作に一つの指輪を選びます。その指輪の意匠が 鏡蓮華(かがみれんげ) であり、花言葉は「久遠(くおん)の愛情」。つまり永遠の愛情を表す花で、恋人に贈るものとされているものでした。
指輪の模様をみたヒンメルは一瞬無言になりますが、フリーレンには何も言わずに指輪を買います。そして、膝をつき、フリーレンの左の薬指にそっと指輪をはめます。
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フリーレンは花言葉の意味を後から知り、ヒンメルはそんな花言葉知らないと思う、とフェルンに言います。でもヒンメルの一連の行動は明らかに花言葉を意識したものであり、フリーレンへの秘めた想いを指輪にのせてフリーレンの指に指輪をはめたと思われます。ヒンメル、素敵すぎます・・・・♡
多くの銅像を建てた理由
ヒンメルは魔王討伐後、各地に数多くの銅像を建てています。その理由について「皆に覚えておいてほしい」と語りますが、一番の理由は「君が未来で一人ぼっちにならないようにするため」と話します。
ヒンメルが自分の死後も長く生き続けるフリーレンの事を考えたときに、彼女に何がしてあげられるのか精一杯考えた末での行動だと思われます。そして実際に魔王討伐から約80年後、ヒンメルの思惑通りフリーレンはヒンメルの像を見ては当時を思い出しています。
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フリーレンが寂しくないようにとのことですが、実際にはフリーレンの周りにはフェルンやシュタルク達がいて全然寂しい思いをしていません。
もしかしたらフリーレンの為と言いながら、本当は長い時を一緒に生きられないヒンメルが、銅像になって彼女の旅を末永く見守りたいという思いと、自分を忘れてほしくないという気持ちが込められていたのかもしれません。
ヒンメルは独身だった?
ヒンメルが結婚していたかどうかは、作品の中では特に触れていません。
ヒンメルの周りには親しい女性の気配もなく独り身のように見えますが、実はパートナーがいてもおかしくないような話の流れになっており、ヒンメルの結婚状況についてはっきりとされていませんでした。
しかし、筆者は「ヒンメルは独身だった」と考えています。その根拠は「魂の眠る地(オレオール)」の話の中にあります。(原作 第7話・アニメ 第4話)
この話のなかでアイゼンは「フリーレンとヒンメルが可哀そうだと思った」と語ります。ヒンメルが亡くなったあの日、フリーレンは「ヒンメルを知っておけばよかった」と口にします。その言葉をヒンメルに直接伝えるようにと、アイゼンは死者と対話する方法を見つけてヒンメルと話をすることをフリーレンに提案します。
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もしここでヒンメルが結婚していたらどうでしょう?
その場合アイゼンは、フリーレンに対してヒンメルに会いに行くよう伝えたでしょうか?とくにこの話はアイゼンだけではなく、ハイターとも文通でやりとりをしていて二人で決めたことのようです。ヒンメルにちゃんとしたパートナーがいればその相手を尊重して、ヒンメルに会いに行くようフリーレンに勧めなかったのではないかと考えます。
つまりこのことから、ヒンメルは生涯独身であったと考える方がつじつまがあうのです。
なぜ想いを伝えなかったのか
考察1:ヒンメルの葛藤
ヒンメルはフリーレンにあえて想いを伝えなかった・・・・わけではありません。
鏡蓮華のエピソードでもそうですし、蒼月草の話の中でもヒンメルは故郷に咲く蒼月草の花を「いつか見せてあげたい」とフリーレンに伝えます。ヒンメルは機会があればフリーレンに自分の気持ちをやんわりと伝えています。
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それでも恋愛感情が薄いエルフであるフリーレンには伝わらず、50年後の再開の約束をして別れるまできちんと気持ちを伝えないままでした。
これはフリーレンがエルフであり、ヒンメルとは寿命が違うためヒンメルの死後一人残されるフリーレンが可哀そうだから、、、という話をみかけます。しかし筆者はそうは思いません。
ヒンメルが本当に身を引いたなら、暗黒龍の角を後生大事にしまっていたのはなぜでしょう。クヴァールの封印を毎年確認しに行っていたのはどうしてでしょうか。ヒンメルはフリーレンへの気持ちを忘れられず、未練が残った状態で日々を過ごしていた のではないでしょうか。
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切ない恋愛をしたことがある人なら、身に覚えがあるのではないかと思います。好きになった人に想いを伝えられないもどかしい日々、本当に気持ちを伝えるのが正しいのか、伝えなくても一緒に過ごせるならそれで良いのではないか、嫌われることへの恐怖、どうするのが正解なのかわからずヒンメルなりの葛藤があったのではないか、と考えることができます。
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一つはこのようにフリーレンへの秘めた想いを胸にしながら言い出せないままでいた、という説があげられます。
もう一方でこれまでとは矛盾しますが、別れの時点でそこまでフリーレンの事を強くは想ってはいなかったのではないか、という考え方もできます。
考察2:後から想いが強くなった
ヒンメルは残りの人生をフリーレンと一緒に過ごすという選択肢もあったと思います。しかし魔王討伐後の別れのシーンを読み返すと、そこまでの気持ちは汲み取れず、あっさりフリーレンとの別れを見送っています。
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この時点ではフリーレンへの想いはそこまで強いように感じられず、フリーレンはあくまで仲間の一人、という扱いだったように見受けられます。もしそうだった場合、ヒンメルはその後一人で過ごす中でフリーレンへの気持ちが次第に募っていき、50年という時間をかけてゆっくり自分の中でフリーレンへの想いが強くなっていった、という説も考えられます。その結果が生涯独身であり、毎年クヴァールの封印を確認しにいった、という行動の現れではないでしょうか。
どちらの説にしてもヒンメルのフリーレンへの想いは、フリーレンそのものを大きく包み込む優しさで満たされたものだったのではないかと想像します。少し切なくどこかもどかしく、でも確かに優しさであふれていてとても愛おしい感情があったように感じられます。
(わかりづらい抽象的な表現ですみませんっっ、ニュアンスで感じてください)
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フリーレンの想い
種族による恋愛に対する違い
フリーレンの恋愛観を語るのであれば、避けて通れないのが「エルフ」という種族の特性です。
「エルフは長くは生きるけど、恋愛感情や生殖本能みたいなものが軒並み欠落している」とフリーレン自身が語っています(「解放祭」原作 第13話)。人間のように特定の人に恋愛感情を抱いたり、すぐにパートナーとしてどうだろうかと考える習慣があまり無いようです。そのため恋愛関係にはうとく、他人にたいして好きか嫌いかという意識をあまり持たないようです。
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つまりフリーレンは出会った人々に対して好きか嫌いか、異性としてどう思うかという事自体を考えたことがほぼないと思われます。フリーレンは見た目と同じように少し幼いところがあり、恋愛を考えるにはまだまだ早い年齢なのではないでしょうか。
死者の幻影で見たヒンメルへの信頼
それでもヒンメルへの確かな信頼がわかるエピソードがあります。
「死者の幻影」(原作 第9話・アニメ 第5話)では、その人にとって大切だった人の幻を見せる魔物と遭遇します。そこでフリーレンはヒンメルの幻と会いますが、幻のヒンメルはフリーレンに対して一言「”撃て。”」と言います。
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この幻はフリーレンの記憶をもとに、本人が一番言われたい事を言うようにできているようです。幻のヒンメルはフリーレンを完全に信頼しているかのような顔で、フリーレンもまた「ヒンメルならそう言う。」と一言いい、何のためらいもなくヒンメルの幻に魔法を放ちます。
これはよほど信頼していないとこうはいかないと思います。詳しい解説は不要でしょう、フリーレンにとってヒンメルとはどういう人物だったのか、信頼しあっている関係がとてもよくわかるエピソードです。
魔法収集へのこだわり
フリーレンの魔法収集へのこだわりは、彼女を魔法オタクと呼ばせるほど執着の強さを見せます。
それもくだらない魔法ばかりで、周りの人にはなぜ収集するのか謎なものがほとんどでした。フリーレン曰く、「”私の集めた魔法をほめてくれた馬鹿がいた。それだけだよ。”」とのことですが、ここでのほめてくれた人とはヒンメルを指します。
フリーレンが集めたささいな魔法をヒンメルがほめてくれた、それだけの事がフリーレンにとってはとても大切な思い出となって残っているようです。
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もともとフリーレンは、ヒンメルたちと会う前は森で一人で暮らしていました。それがヒンメルたちと魔王討伐の旅に出て、10年にわたる旅が終わる頃には一人で魔法収集の旅に出るほど魔法収集が自分の趣味になっていました。みんなと旅する10年の間で、些細な魔法をほめてくれた思い出がフリーレンの魔法収集への想いを強くし、フリーレンにとって生涯の趣味になるほど大事なものへと変わっていったのでしょう。
はっきりとした恋愛感情はもっていなくても、フリーレンの中ではヒンメル(達)との思い出はとてもあたたかく、大切なものだったに違いありません。それがヒンメルへの気持ちの表れだったのかはまだはっきりしませんが、もしかしたらこの時既にヒンメルになにかしらの想いを寄せていたのかもしれません。
まとめ
ヒンメルは確かにフリーレンを意識し、想いを寄せていた事が作中から見て取れます。
それに対してフリーレンはアニメ放送中の時点ではまだはっきりとした恋愛観は感じられず、ただ何かわからないけどヒンメルへの想いを感じていて、それが何かを知る為にヒンメルたちとの旅の痕跡を辿る旅を続けます。
これからのお話のなかで、より二人の想いに触れるエピソードが出てくる事を期待しています。そして旅の終わりに、フリーレンはヒンメルの想いに気づき受け止めてくれるのでしょうか。魂の眠る地にたどりついたとき、2人は無事に再開できるのでしょうか。願わくば二人の未来が明るい事を切に願いながら、物語の行く末を見守っていきましょう。
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