『鬼滅の刃』に登場する上弦の弐・童磨(どうま)、常に笑顔を浮かべ、穏やかに見えるその裏側には、感情を持たない冷酷な素顔が隠されています。なぜ童磨は鬼になったのか、そしてその圧倒的な強さはどこから来るのか。
この記事では、童磨の壮絶な過去から、歪んだ「救済」思想、そして因縁を持つキャラクターたちとの関係性を徹底的に解説します。
本記事には、「鬼滅の刃・19巻」までのネタバレを含みます。ご注意ください。
目次
鬼になった経緯と偽りの救済

出典: kimetsu.com
鬼になった経緯
第163話にて、童磨は20歳の頃に鬼舞辻無惨と出会い、鬼にされたことが判明しました。 無惨が童磨を鬼に選んだ具体的な経緯は明言されていません。しかし、独自の価値観を持ち、人間としての情動が欠落していた童磨に対し、無惨が「鬼として有用である」と判断したからこそ、その変生が叶ったと考えられます。
偽善的な使命感
童磨は幼い頃から、万世極楽教の教祖として「人々を救い、幸せにする」ことが自らの使命であると考えていました。 しかし、童磨の使命感は心からの慈しみではなく、「可哀想な人たちを助けてあげたい」という極めて偽善的、かつ見下したような考えに基づくものでした。童磨にとって他者の苦しみは、共感の対象ではなく、ただの「観察対象」に過ぎなかったのです。
死による救済

童磨にとって、神や仏、天国や地獄といった概念は、存在しないただの空想でした。 内心では、苦しみから逃れるために祈る大人たちを「頭が悪いと辛いよね」と冷ややかに憐れんでいます。童磨は、現実世界で善人が報われず、悪人がのさばるという理不尽を目の当たりにし、「死後に天罰が下る」という考えは、弱い人間が精神を保つために作り出した妄想にすぎないと結論づけていました。その結果、童磨は人々を救済する唯一の方法は「死んで無になること」であると信じるようになります。 しのぶとの戦いの中で放たれた 『誰もが皆死ぬのを怖がるから だから俺が喰べてあげてる』
出典: 鬼滅の刃16巻141話
歪んだ救済の形
という言葉には、童磨の歪んだ救済の形が表れています。童磨自身、感情に振り回される哀れな人間たちを永遠に「救済」し続けるため、不老不死の存在となることを望んだのではないかと推察されます。自らの一部として取り込むことで、死の恐怖から解放してあげるという童磨の思想は、鬼という永遠の命を得たことで完成されたと言えるでしょう。
他者との因縁と冷酷な行動
童磨がいかにして上弦の弐の地位に上り詰めたのか、そして猗窩座や胡蝶しのぶ、妓夫太郎と堕姫、伊之助といったキャラクターたちと、どのようにして深い因縁を持つようになったのかを詳しく解説します。
万世極楽教

出典: x.com
鬼となった後も、童磨は「万世極楽教」の教祖を続けています。この宗教は「穏やかで楽しい人生を送り、苦しいことは避けるべき」と説いており、信者は約250人です。
童磨は信者を食べることを「永遠の命を与え、苦しみから救うこと」だと考えており、それが自分の務めだと語っています。
鬼になってからは、童磨は鬼舞辻無惨を明確に神として信仰するようになりました。
童磨と猗窩座の力関係

出典: x.com
童磨は、女性をより多く食べることで栄養を効率的に摂取し、猗窩座よりも遅れて鬼になったにもかかわらず、猗窩座を上回る実力を持っています。
童磨は、猗窩座が入れ替わりの血戦を挑んでも自分には勝てないと断言し、猗窩座の攻撃をわざと受けたり、成長を評価したりするなど、常に猗窩座を見下しています。
鬼舞辻無惨の許可を得て、下位の鬼が上位の鬼に挑む「入れ替わりの血戦」は、十二鬼月内の序列を入れ替える公式な制度です。この血戦は、単なる序列変更ではなく、敗者が勝者に吸収されるという命がけの戦いです。
なぜ稀血ではなく、女性なのかを考察

出典: kimetsu.com
鬼は人間を喰らうことで強くなりますが、女ばかりもしくは、より多くを喰らう鬼は童磨と沼の鬼だけです。もし「女性の方が栄養価が高い」というのが事実なら、他の鬼たちも男性より力の弱い女性を狙うはずです。しかし、そのような描写はありません。
一方、沼の鬼は、女性の肉は16歳を過ぎると味が落ちると語っています。このことから、もし味が理由であれば、童磨も16歳以下の女性を優先的に喰らうはずです。しかし、作中では17~18歳の琴葉を食べていることからも16歳以上の女性も食べていることが分かります。

出典: kimetsu.com
ここで注目したいのが、稀血(まれち)を持つ人間です。稀血の人間は、一人喰らうだけで50~100人分の力を得られると言われています。にもかかわらず、童磨や沼の鬼は稀血ではなく、あえて女性ばかりを喰らっています。
このことから、「女性の方が栄養価が高い」、「味が良い」という理由だけが、童磨の本質ではない可能性が高いでしょう。
童磨が女性ばかりを喰らうのは、父親の行いと関係しているのかもしれません。もしかすると、童磨は父親と同じように、自らの欲望を満たすために女性を喰らっていたのかもしれません。
童磨は感情を持たないため、自身の行いに罪悪感を抱くことはありません。しかし、父親と同じ道を辿る自分を否定したいという無意識の願望があったのかもしれません。もしそうだとしたら、童磨は「女性の方が栄養価が高い」という理屈を盾に、自身の行動を正当化しているのかもしれません。
妓夫太郎と堕姫が鬼になった経緯

出典: kimetsu.com
上弦の陸である妓夫太郎と堕姫は、鬼舞辻無惨ではなく、当時の上弦の陸だった童磨によって鬼にされました。
遊郭の最下層で生まれ、過酷な生活を送っていた兄妹は、妹の梅(堕姫)が客の侍を傷つけたことで、報復として生きたまま焼かれてしまいます。その姿に泣き崩れる妓夫太郎でしたが、背後から侍に斬りつけられ、怒りに任せて侍と遊女屋の女将を返り討ちにしました。
童磨との出会い
丸焦げになった梅を抱え、力尽きて雪の中に倒れた妓夫太郎の前に、偶然にも女性を喰らっていた童磨が現れます。瀕死の二人を哀れんだ童磨は、自身の血を分け与え、彼らに鬼として生きる道を与えたのです。
この場面は、アニメ「遊郭編」第11話で童磨が初めて姿を現した重要なシーンでもあります。雪道を血で染め、肩に担いだ死体すら装飾の一部のように見せてしまう虹色の瞳の童磨は、その圧倒的な存在感によって、不気味さを一層引き立てました。
童磨と伊之助の関係性

出典: x.com
15年前、夫や姑からひどい暴力を受けていた伊之助の母・琴葉は、逃げ込んだ先の「万世極楽教」で童磨に保護されます。
顔が腫れあがるほど傷ついていた琴葉ですが、童磨による手当てで、伊之助に瓜二つの華奢で柔らかな表情の美しい顔立ちに戻りました。心の綺麗な琴葉を童磨は気に入り、「食べずに寿命が尽きるまでそばに置く」と決めていました。
しかし、琴葉は童磨が信者を食べる現場を目撃し、伊之助を抱えて寺院から逃げ出します。琴葉は伊之助だけでも助けようと崖から突き落とし、琴葉は童磨に殺されて骨まで残さず食べられてしまいました。幸いにも、童磨は伊之助が死んだと思い込み、確認しなかったため、伊之助は助かりました。
胡蝶しのぶとの関係性

出典: kimetsu.com
胡蝶しのぶは、姉の胡蝶カナエを童磨に殺されました。
死の間際、カナエはしのぶに鬼殺隊をやめるよう告げますが、しのぶは姉の仇を討つことを誓い、鬼の特徴を尋ねました。カナエは、頭から血を被った鬼で、鋭い一対の扇を武器に使う、と話しました。この証言から、しのぶは童磨が姉の仇だと確信します。
一方、童磨も花の呼吸を使う鬼殺隊の少女と戦ったことを覚えていました。しかし、夜明けが迫っていたため食べることができなかった、と語ります。
童磨の感情欠如と生い立ち
童磨の常に穏やかな表情の裏には、人間としての感情が一切欠落した、恐るべき素顔が隠されています。なぜ童磨は感情を欠如しているのか、その答えは童磨の壮絶な生い立ちにありました。
生まれ持った特異な外見、両親の悲劇的な死、そして感情の欠如が、いかにして童磨という冷酷な鬼を作り上げたのかを解説します。
童磨の子供時代

出典: x.com
童磨は、瞳の中に虹があり、白橡の頭髪をもって生まれました。童磨の両親は、白橡の頭髪は無垢な証であり、神の声を聞こえる特別な子だと信じ込み、極楽教という宗教団体を立ち上げました。
童磨は、両親の頭の鈍さに絶望していました。童磨は神も仏も存在しないと考えており、両親の鈍さに絶望していました。両親を哀れに思った童磨は、いつも話を合わせていただけでした。
そんな中、信者の女性に手を出していた父親を母親が刺殺し、自らも半狂乱になりながら服毒自殺するという悲劇が起こります。
両親の死後も、童磨は鬼舞辻無惨によって鬼にされるまで教祖として極楽教を続けていたと考えられます。
感情の欠如

出典: kimetsu.com
絶対的な感情の欠落
童磨は、この世に生まれてきた人達が当たり前に感じる喜び、悲しみや怒り体が震えるような感動といった人間の感情を一切理解できませんでした。
自身の両親が目の前で凄惨な死を遂げた際にも、悲しみや寂しさを感じることはなく、「部屋を汚さないでほしい」「血の匂いが臭い」といったことばかり考えていました。人間の感情というものは童磨にとって他所事の夢幻であり、自身が死ぬ際も死ぬことへの恐怖や、負ける事への悔しさも一切感じませんでした。
作られた感情
童磨は、頭がいいため、感情があるかのように嘘をつき、取り繕って生きていました。
普段から明るく穏やかに振る舞っていましたが、上弦の鬼が招集された際、空気の読まない発言や、他の上弦の鬼から嫌われているところをみると完璧には取り繕えておらず、童磨の偽りの姿は、精神的に弱った信者にしか通用しなかったのではないかと考えられます。
カナヲの指摘
カナヲは、過去の自分と同じ「心の欠落」を童磨に見抜き、童磨に指摘しました。指摘に対して、童磨はそれまでのヘラヘラとした態度を一変させ、底冷えするような無表情を見せました。
カナヲは、炭治郎に背中を押されたことをきっかけに、自らの心の声に耳を傾ける努力を重ねてきました。対する童磨は、心が無いのを承知で、高い知能を駆使して「心があるフリ」を完璧に演じ続けてきました。感情を理解しようと成長する「人間」と、偽物の感情に固執する「怪物」という対比が、この戦いの結末に大きな意味を持たせていると思われます。
本当に感情はなかったのかを考察

出典: kimetsu.com
童磨は自らを「感情を持たない」と語っていますが、その行動や表情には、喜びや悲しみといった単純な感情ではない、より複雑な感情の兆候が見られます。
公式ファンブックでは「感情がない」と記述されている箇所がありますが、「無惨との出会いに感動した」と記述もあることから、完全に感情がないとは言い切れないと思われます。
童磨が垣間見せる感情の片鱗

出典: kimetsu.com
童磨が鬼舞辻無惨を「神」と呼び尊敬であり、心から尊重しているという感情です。一方、自身の信者たちに対しては、「哀れな存在」と見下し、「救済」として彼らを食べます。童磨の信者に対する態度には明確な侮蔑や優越感がうかがえます。
さらに、伊之助と対峙した際、童磨は伊之助の予期せぬ行動や言動に戸惑いを隠せません。童磨が、予期せぬ出来事に直面し、感情を抑えきれずに素の表情が現れたようにも思えます。
そして、命を落とす瞬間、童磨は死の恐怖を感じていないと語りますが、負けて「自分は可哀想」と自嘲したり、走馬灯のように過去を思い出したりしています。この童磨の姿からは無意識のうちに敗北への焦りや執着心があるように見えます。

出典: kimetsu.com
童磨は、「感情がない」と語り続けていましたが、両親からの歪んだ愛情と特殊な生い立ちが、感情を深く閉ざさせ、自身を守るために「偽りの仮面」を被らせた結果だったのかもしれません。
童磨は、感情がなかったのではなく、その感情を非常に歪んだ形でしか表現できなかったのではないでしょうか。あるいは、童磨にとって感情とは、本能的な「快・不快」への反応、もしくは感情がある演技をしているだけに過ぎなかったのかもしれません。
童磨の基本情報
童磨の基本情報について解説します。
童磨プロフィール

出典: x.com
| 本名 |
不明 |
|---|---|
| 年齢 |
133歳以上200歳未満 |
| 身長 |
187cm |
| 体重 |
86kg |
| 役職 |
万世極楽教教祖 |
| 階級 |
十二鬼月・上弦の弐 |
| 血鬼術 |
冷気発生 |
| 趣味 |
酒風呂、水煙草、舞踊 |
| 声優 |
宮野真守 |
| 初登場 |
鬼滅の刃・11巻第96話 |
血鬼術
童磨の血鬼術は、自身の血から生成した氷を操るものです。
広範囲攻撃と毒
- 粉凍り(こごおり): 凍てついた血の霧を扇で散布し、吸い込むと肺胞が壊死する猛毒の攻撃です。
- 凍て曇り(いてぐもり): 霧によって広範囲を凍結させます。
- 散り蓮華(ちりれんげ): 氷の蓮の花びらを広範囲に放出します。
- 冬ざれ氷柱(ふゆざれつらら): 空から無数の巨大な氷柱を降らせる遠距離攻撃です。
近距離攻撃
- 蓮葉氷(はすはごおり): 蓮の花の形をした氷で攻撃します。
- 枯園垂り(かれそのしづり): 扇を連続で振るう近接攻撃です。
- 蔓漣華(つるれんげ): 蓮の花から蔓状の氷を伸ばして攻撃します。
特殊能力と奥義
- 寒烈の白姫(かんれつのしらひめ): 氷でできた巫女を2体作り出し、その凍てつく吐息で周囲を凍らせます。
- 結晶の御子(けっしょうのみこ): 童磨の最強技の一つ。腰の高さほどの氷人形を複数体生み出し、童磨と同等の強さで自律戦闘を行います。
- 霧氷・睡蓮菩薩(むひょう・すいれんぼさつ): 巨大な氷の大仏を作り出す大技で、仏像から放たれる強烈な冷気で広範囲を凍り付かせます。
無惨はなぜ童磨を高く評価しなかったのか?

出典: x.com
鬼舞辻無惨は、童磨を高く評価していませんでした。さらに公式ファンブックでは、無惨は童磨を「あんまり好きじゃない」と公言しています。
童磨に対する無惨の虚無心
鬼舞辻無惨は、強い渇望や執着を持つ鬼こそが真に強くなると信じていました。しかし、何に対しても無関心で空虚な童磨にはその「飢え」がなく、無惨から期待を寄せられることはありませんでした。磨が上弦の弐という高位にいるのは、あくまで「入れ替わりの血戦」という実力主義の制度を勝ち抜いた結果に過ぎず、無惨の寵愛によるものではありません。
任務への消極性
無惨が鬼たちに最も求めていたのは、「産屋敷一族の屋敷」と「青い彼岸花」の捜索でした。しかし、童磨は探索能力が低く、これらの最重要任務を任されることはありませんでした。
実戦での戦闘力こそ圧倒的でしたが、無惨の悲願達成に直結する貢献が乏しかったことも、童磨が評価されなかった大きな要因です。
相容れない価値観
無惨は鬼を単なる「駒」として支配していましたが、童磨は他の鬼に対して馴れ馴れしく仲間意識を持とうとしました。この価値観の根本的なズレも、無惨が童磨を高く評価しなかった理由の一つです。
また、一部のファンブックや考察では、無惨のお気に入り度を鬼の眼球に刻まれた文字の配置で見分けるという説があります。この説では、童磨の眼球の配置は「嫌い」に分類されるとされています。これにより、童磨と無惨の冷え切った関係性を裏付けています。
まとめ
以上、童磨の過去についてまとめました。
『鬼滅の刃』に登場する上弦の弐・童磨は、喜びや悲しみといった感情を一切持たない特異な鬼です。童磨は「人々を救いたい」という歪んだ使命感を抱き、信者を食らうことで「永遠の命を与え、苦しみから解放している」と信じていました。
その圧倒的な強さで上弦の弐に上り詰めた童磨は、猗窩座や妓夫太郎、そして胡蝶カナエなど、多くのキャラクターに深い因縁を残します。しかし、童磨の感情の欠如は、主である鬼舞辻無惨にさえ嫌われる要因となりました。
童磨は、ただ強いという理由だけでその地位に君臨していたのです。その冷酷な仮面の下に隠された、底知れぬ空虚さが、童磨というキャラクターの最大の魅力であり、恐ろしさと言えるでしょう。
童磨の本質は単純な「悪」では片付けられません。先天的な感情の欠如と歪んだ生い立ちが、悪意を超えた異質な空虚さを生んだといえます。
※コメントありがとうございます。ご指摘の通り、「童磨を鬼にした際の無惨の姿」、「女を喰らう理由」、「童磨の感情」についてを修正しました。









童磨は女の姿の鬼舞辻に鬼にしてもらったのではありません。この画像の通り、男のままです。(髪が長いが、半天狗や狛治を鬼にした時の姿と同じ)
原作で無惨が女の姿になったのは下弦粛清の時だけです。
公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」1と2にも書いてますが、童磨が女を食べるのは栄養価のためだけです。それに女「だけ」食べるのではなく、女をより多く食べるというだけです。
童磨には感情も執着も一切ないと作者さんがバッサリ断言されてますよ〜
なので大抵は感情のある演技か、生物なら必ず持っている快不快への反応に過ぎないのではないでしょうか
作者の出した設定通りならそうなりますね