『葬送のフリーレン』のフェルンとシュタルクの二人について、現在アニメで放送された範囲内で二人の関係性(=恋愛模様)を中心に考察していきたいと思います。
本記事には、アニメで放送された”一級魔法使い試験編” までのネタバレが含まれます。問題ない方のみご覧ください。
目次
基本情報
出版 |
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作者 |
原作:山田鐘人さん 作画:アベツカサさん |
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連載 |
・・・にて連載中 |
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最新刊 |
12巻 2023年12月18日発売 |
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公式サイト |
(アニメ公式HP) |
出典: frieren-anime.jp
『葬送のフリーレン』は、週刊少年サンデーで連載中の漫画で、2023年にアニメ化され注目をあびています。魔王を討伐した勇者一行パーティーの一人、エルフで魔法使いのフリーレンが魔王討伐後の世界を旅するお話です。
フェルンの生い立ちと性格
フェルンの生い立ち
幼少期、戦火に巻き込まれ戦争孤児となったフェルンは絶望から命を絶とうとしましたが、勇者一行パーティーのハイターに「今死ぬのは勿体ない」という言葉に救われ、その後はハイターと共に生活していました。
出典: twitter.com
自身を救ったハイターを敬愛しており、彼への恩返しと、寿命も近いハイターが安心して逝けるよう、一人で生きていける術として一人前の魔法使いを目指すようになりました。
魔法使いとしての資質は、彼女の稽古をつけるようになったフリーレンが一目見ただけでその才に驚く程で、フリーレンとの4年間の修業を経て一人前の魔法使いに成長し、ハイターの死を見届けた後はフリーレンの旅に加わることになりました。
フェルンの性格
丁寧な口調で、誰が相手でも敬語で話し、基本的に生真面目で几帳面な性格の少女で、師であるフリーレンにも似て口数は多くなく、感情を表情に表す方でないので物静かでクールな印象を与えます。
フリーレンとの旅の最中では長命種故に時間や私生活にだらしないフリーレンをお世話しており、度が過ぎれば例え師が相手でもお説教するなど、ちゃんと言うべきことは言うサバサバとした一面も見られます。
フリーレン一行にとって「お母さん」的なポジションであり、激昂せず静かに怒るタイプでもあるので、フリーレンとシュタルクも「怖い」と口を揃えて漏らしています。
そんなドライな一面が多いフェルンですが、「誰かに貰ったもの」を大切にしており、ハイターから貰った杖、フリーレンからの髪飾り、シュタルクからのブレスレットを手入れする時は、笑顔で嬉しそうな表情を見せるようです。
恐らく戦争で何もかもを失った過去から、新たに得た「大切な物」は彼女にとって何にも替え難い宝物なのかもしれません。
シュタルクの生い立ちと人物像
シュタルクの生い立ち
出典: twitter.com
幼少期は高名な戦士の一族の村で過ごしており、当時は戦士としての才が伸びず、父親からは優秀な戦士であった兄シュトルツと常に比較されて見下され、冷遇された環境にありました。
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その後、故郷を魔族に襲われ唯一の理解者であった兄に「生き延びろ」と促され独り逃げ出し、魔族によって滅ぼされた村の生き残りとなってしまいました。
その後、孤独に彷徨っているところを勇者一行のアイゼンに拾われ、アイゼン自身も魔族によって家族を失ったシュタルクの境遇と自分を重ねてか、弟子として引き取り戦士として修業をつけるようになりました。
ところが成長したシュタルクは、アイゼンとの行き違いから喧嘩別れしてしまい、その後紅鏡竜の被害を受けていた村に辿り着くことになります。
シュタルクの性格
フリーレン一行が滞在する町や村では現地の人々ともすぐ打ち解けられるほど社交的でお人好しな性格の好青年です。
しかし、戦士としての才はないと冷遇され、村を襲われた時も何もできずに逃げ出してしまった過去も関係しているのか、強大な相手を前にすれば真っ先に逃げ出したいと思ったり、些細な事でも腰を抜かしてしまう非常に憶病な性格です。
しかし、一度覚悟を決めれば竜を単騎で倒してしまうほどのとんでもない実力を秘めたいわゆる「やればできる男」です。
実はアイゼンとの喧嘩別れも、シュタルクが「魔物と戦いたくない」と駄々をこねた時に無意識に発したオーラにアイゼンが怯え、アイゼンも無意識で手を上げてしまった事が原因で、その際にシュタルクは師に失望されたと勘違いし、アイゼンの下に帰れなくなっていました。
互いに特殊で、共通した生い立ち
お互い同年代とは異なる時を過ごしてきた
お互い戦火による孤児としてフェルンはハイターに、シュタルクはアイゼンの弟子として、かつてのフリーレンの仲間の元で作中の描写を見る限りお互い俗世とはかけ離れた子ども時代を過ごしていると考えられます。
フェルンに関しては魔法の才を研鑽すべく魔法の鍛錬に傾倒しており、フリーレンがハイターに「常人なら10年かかる道を4年で越えた」と評価しつつも、「あの子は打ち込み過ぎだ、あまりいいことじゃない」と苦言を呈しています。(アニメ2話別に魔法じゃなくたって…より)
あくまで考察ですが、フリーレン自身も魔法に傾倒した人生を振り返り、今後フェルンの人間としての情緒的な発達に問題が生じるのではないかと危惧していたのかもしれません。
フェルンとシュタルクの進展が見られるエピソード
アニメ5話:第一印象は最悪
シュタルクがフリーレン一行と初めて会うのはアニメ5話、「死者の幻影」のBパートにて紅鏡竜の巣の近くにある村で出遭うことになります。
フリーレンたちが訪れる3年前に遡りますが、シュタルクは村を襲う紅鏡竜を退け、その後も紅鏡竜が村を襲うことがなくなったことから村の英雄として慕われ現在に至っています。
シュタルクとしては紅鏡竜はあくまで気まぐれで退いてくれただけで、自分一人では紅鏡竜に太刀打ちできない、かといって3年間慕ってくれた村の人々を見捨てることもでず、ただ立ち往生していると涙ながらにフリーレンに訴えかけています。
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事前にアイゼンから事情を聞いていたフリーレンは呆れつつも納得していたようでしたが、それを知らないフェルンはとても冷め切った表情で「こいつはダメです、他をあたりましょう」とシュタルクを見下していました。
アニメ6話:シュタルクがパーティに加わるまで
紅鏡竜討伐に参加するか一日の猶予をシュタルクに与えた後、宿に戻るフリーレンとフェルンですが、シュタルクが居座っていた谷からの轟音に気づいたフェルンにフリーレンはさも当然のように「シュタルクでしょ?気になるなら見てくれば?」と答え一人宿へと戻っていきます。
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様子を見に行ったフェルンの目の前には、岩盤を己の身体と斧一つで叩き割る常人離れの技を放つシュタルクの姿が。
フェルンはシュタルクの背後にあった谷の正体は修行の跡であった事を悟り、竜と戦う気はないのになぜ修行を続けているのかとシュタルクに問いかけました。
シュタルクその問いに、村が再び紅鏡竜の脅威晒された際は、村の英雄として戦わなければならないという覚悟と、「とは言っても実際は逃げ出してしまうかも」と自嘲気味に答え、自分は師匠にも失望された臆病者なんだと身の上を語ります。
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それを聞いたフェルンはシュタルクの手を握り、「シュタルク様は、逃げないと思います」とはっきり答え、フェルン自身も初めて魔物と戦った時の思い出を語り、シュタルクに「必要なのは覚悟だけ」「必死で積み上げたものは決して裏切らない」と発破をかけます。
翌日、シュタルクはその言葉に背中を押されたのかフリーレンたちの前に現れ、紅鏡竜の巣へと向かいます。
しかし、恐怖から震えている手をフェルンに指摘され「怖いものは仕方ない」とあっさりと恐怖を認めますが、その姿がフリーレンにとってはかつてのアイゼンと全く同じで、「怖がることは悪い事じゃない」「その恐怖が俺をここまで運んでくれた」とアイゼンが語っていたことを思い出しました。
師匠もまた、恐怖と戦っていたことを知ったシュタルクは紅鏡竜に立ち向かい、意外にもあっさりと、しかも独力のみで紅鏡竜を討伐した事実に、シュタルク自身が一番驚いていました。
紅鏡竜討伐後は嘘偽りのない英雄として村を後にし、「自分もくだらない旅をしたくなった」とフリーレン一行に加わる事になります。
その後訪れた城塞都市ヴァールでは、幼少期にアイゼンと訪れた酒場のマスターに「アイゼンの旦那ももう歳だ、しっかり親孝行してあげなよ」と言われた際には「その最中だよ」と答えるあたり、アイゼンとの行き違いは解消されたのかと思われます。
アニメ11話:北側諸国の冬
出典: frieren-anime.jp
北側諸国デッケ地方で激しい寒波に晒され遭難しかけた際、やむを得ずフェルンがシュタルクを担いでいた時、シュタルクが寝言で言った「いい匂い…」に対して「置いて行っていいですか?」とフリーレンに辛辣なコメントを述べ、さらにやっとの思いで見つけた山小屋では半裸でスクワットをして暖をとっているクラフトを変態呼ばわりしています。
その後、目覚めたシュタルクがクラフトの肉体を見て「いい身体」と漏らした際にはすぐにフェルンが反応し、シュタルクも「そういう意味じゃない」と反論しているあたり、お互い基本的な性知識はあるのだと考察できます。
アニメ12話:シュタルクへの誕生日プレゼント
アニメ12話「本物の英雄」Bパートでは、宿でフリーレンからシュタルクの18歳の誕生日であることを突然知らされ、フェルンは急遽シュタルクへのプレゼント選ぶ事になりますが、シュタルクが喜びそうなものがよくわからないため本人に探りを入れようと町中を探し回ります。
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その中で町の人々の人助けをしていることを知り、フリーレンの提案した服を溶かす薬などを喜ぶような人ではないとシュタルクを見直しています。
このシーンからフェルンの方が異性に対する意識は世間一般に近いというのが考察できます。
あくまで考察ですが、この段階ではフェルンが自身が貰った贈り物を大切にする性格から、「誕生日は誰かに祝ってもらうのが嬉しい事」という意識が先行し、異性へのプレゼントと言うよりは、この段階では「仲間のお祝いくらいちゃんとしよう」という意識の方が強かったのではないかと考察できます。
アニメ14話:フェルンへの誕生日プレゼント
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アニメ14話「若者の特権」ではフェルンの誕生日にプレゼントを用意していなかったシュタルクにフェルンが怒って喧嘩してしまい、危うくシュタルクが離脱しかねない状況から始まります。
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しかし事の詳細を知ったアニメ13話から加入したザインよりそんなフェルンに対してシュタルクを追いかけたほうがいいのではないかという言葉をかけられ、広場で佇むシュタルクを見つけますが、どう言葉をかければよいかわからずフェルンへのプレゼント選びをしているザインを再び尋ねることにします。
そこでザインはシュタルク自身がそういった機微に疎い事を教えつつ、フェルンはシュタルクの事が嫌いなわけじゃないという事を再確認させる人間としての年長者らしいアドバイスを送りました。
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それを受けフェルンとシュタルクは無事仲直りをして、シュタルクはフェルンに鏡蓮華のブレスレットを選んでプレゼントし一件落着となりました。
…が、鏡蓮華の花言葉は「久遠の愛」、つまり鏡蓮華の意匠のアクセサリーは恋人への贈り物の定番と後にザインより明かされて、そんな花言葉を知らなかったシュタルクは大きく動揺しフェルンに買いなおしを提案しますが、フェルンは「これはシュタルク様が一生懸命選んで私にくれたものです、二度とそんなこと言わないで」と、普段のフェルンらしからぬ強い口調でそれを拒否しました。
その後のザインの反応を見るに…、うーん、青春ですね…。
アニメ15話:息ぴったりな社交ダンス
フェルンとシュタルクのダンスシーン フル。
―『葬送のフリーレン』
第15話「厄介事の匂い」より。#フリーレン #frieren pic.twitter.com/abgS0dyrf0— 『葬送のフリーレン』アニメ公式 (@Anime_Frieren) December 19, 2023
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アニメ15話「厄介事の匂い」では北側諸国フォーリヒを訪れる一行が、突然現れた貴族に先日戦死した長男と瓜二つのシュタルクを三か月後の社交界に影武者として参加させたいという依頼を受け、フェルンも社交ダンスのパートナー役として3ヶ月間社交界での所作を学ぶことになります。
そして迎えた社交界当日、原作版ではあっさりとした描写ですが、アニメではしっかりと踊る二人が描かれており、最初は緊張しているフェルンですが、シュタルクのリードで徐々に解れ、お互い笑顔で華麗に踊り切っています。
そんな二人を注目する参加客たちも、台詞こそありませんが「あらお似合いのカップルね…」と囁いているようにも見えますね…。
アニメ17話:触られるのは嫌じゃない
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アニメ17話「じゃあ元気で」のAパートではまたもやフェルンとシュタルクが喧嘩してしまいまい、見かねたフリーレンが酒場にいたザインに仲裁を求めます。
状況に呆れたザインはフェルンとシュタルクを一人ずつ別室に呼び、お互いの話を聞いて仲直りのためのアドバイスをしてあげました。
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そもそも喧嘩の発端は、以前シュタルクがフェルンに冷たくなった手を頬に当てられた事への仕返しというとても幼稚な原因で、ザインはシュタルクに年頃の女の子は普通顔を触られていい気はするものじゃないと、大人として至極まっとうなアドバイスをしています。
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一方、フェルンはシュタルクに顔を触られる際、肩を抑えた手の力が強く、少し怖かったのが怒ってしまった原因で、顔を触られたことに対しては気にしていないとザインに打ち明けています。
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それを聞いたザインはフェルンに「シュタルクの事は嫌いか?」と問いかけると、フェルンは驚いた様子でなぜそんなことを聞くのか、自分がそう見えるのかと問い返しています。
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その後ザインの仲裁あって二人は無事仲直りできましたが…、このやりとりこそ後のあの名言に繋がっていきます。
俗世を知る大人、ザインからの見た二人
二人を見守る数少ない大人
筆者の感想ではありますが、フェルンとシュタルクの関係はザインが加入していた14話~17話でぐっと縮まったように見られ、「酒・煙草・ギャンブル・女好き」とハイターを上回る破戒僧と評されつつも、ハイターとの回想を重ねたフリーレンはザインを「ちゃんと大人をやれている」と評していることから、フリーレン一行にとっては二人の仲を取り持つ立派な大人でもありました。
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「もう付き合っちゃえよ!」
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アニメ17話「じゃあ元気で」よりフェルンとシュタルクが無事仲直りした後の「もう付き合っちゃえよ!」はじれったい二人の関係を見かねたザインの名言であり、我々視聴者の気持ちを代弁した屈指のワンシーンとして印象深いですね。
フリーレンから見た二人
フリーレン自身が恋愛感情に疎い
エルフは「繁殖本能やそれに基づく恋愛感情が軒並み欠落していて、緩やかに滅びていく種族である」ということを明言しており、自身もその例に漏れないと自覚しています。
年長者でありながらもフェルンとシュタルクの関係を発展させる適切なアドバイザーとしてはかなり残念なお姉さんなのかもしれません。
出来れば仲間として仲良くしていてほしい
人の心にまだ疎いフリーレンですが、恋愛感情とは別にヒンメル、ハイター、アイゼンは共に10年苦楽を分かち合った大切な仲間であり友あると意識しており、二人が仲間として、友として仲良くしてほしいという意識は十分にあると考えられます。
今後の展開に期待
フェルンとフリーレンの師弟の絆
「一級魔法使い試験編」では魔法使いであるフリーレンとフェルンが主役となっており、シュタルクの出番はほとんどなく、アニメ22話では一次試験で生活面においてうるさいフェルンが不在な事をいいことに、束の間のだらだらした生活を楽しんでいました。
出典: twitter.com
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フェルンにバレて怒られてしまいますがあくまで日常に一コマ的なもので、その後はフリーレンとフェルンの二人にフォーカスされていったため、二人の進展に関わるような事柄は見られませんでした。
今後の旅路が二人の関係をどう変えていくのか
無事一級魔法使いの資格を得たフェルンのお陰でフリーレン一行の旅は北部に向けて再開されます。
シュタルクもパーティーの前衛として活躍の場も増えていく事から、この先の旅路でどのように二人の関係が進展するのか楽しみですね。
期待される第二期では、筆者としてもザインよろしく「もう付き合っちゃえよ!」とジョッキを机に叩きつけながら視聴することになる未来が容易に想像できそうです…。
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