『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』で登場した「名塚底根(なづかそこつね)」は、「すべての魔女の始まりの場所」とされる重要な領域です。
本記事では、名塚底根の正体や誕生の経緯、マルグリートや円環の理との関係、救済の魔女、ポストクレジットのキュゥべえについて解説・考察します。
この記事は『TVアニメ 魔法少女まどか☆マギカ』、『劇場版 [新編]叛逆の物語』、『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』の多大なるネタバレを含みます。
名塚底根とは?
名塚底根は、『ワルプルギスの廻天』で初登場した特殊な領域です。公式サイトでは「すべての魔女の始まりの場所」と説明されており、内部には魔女に関する膨大な記録が本として残されています。
「すべての魔女の始まりの場所」と呼ばれる理由
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『まどか☆マギカ』に登場する魔女には、「薔薇園の魔女 / ゲルトルート」「お菓子の魔女 / シャルロッテ」「人魚の魔女 / オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ」など、それぞれ固有の名前、姿、性質があります。
しかし『廻天』では、こうした一人ひとり異なる「魔女」が最初から存在していたわけではなかったことが示されます。名塚底根が生まれる以前、絶望した魔法少女は名前や姿を失い、「誰でもない呪いの塊」のような存在になっていました。
名塚底根は、そこに名前や姿、性質を与え、一人ひとりを別の存在として残す仕組みだったと考えられます。その意味で「すべての魔女の始まり」とは、最初の魔女が生まれた場所というだけでなく、現在知られている「名前と個性を持った魔女」という概念の始まりを意味しているのでしょう。
魔女を生む場所というより「記録する場所」
名塚底根そのものが魔法少女を絶望させ、魔女へ変えているわけではありません。魔法少女が魔女になる原因は、希望が絶望へ反転し、ソウルジェムが限界を迎えることにあります。
名塚底根が関わるのは、その後です。絶望によって自分自身を失った少女に魔女としての名前や姿を与え、その存在を記録する。そのため、「魔女の製造工場」よりも「魔女に形を与え、その情報を保存する巨大な記録庫」と考えた方が近いでしょう。
名塚底根はどのように誕生した?
名塚底根の誕生を理解するうえで欠かせないのが、はるか昔に存在した魔法少女「マルグリート」です。
マルグリートも魔法少女を救おうとしていた
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マルグリートは、苦しむ魔法少女たちを救うため、彼女たちが抱える呪いや苦しみを自ら引き受けていました。
しかし、後に宇宙の法則そのものを書き換えた鹿目まどかとは異なり、マルグリートには魔法少女の運命そのものを変えるほどの力はありません。救いを求める少女が増えるほど、マルグリート自身にも多くの呪いが蓄積していきました。
すべての魔法少女を救いたい。それでも自分一人の力では救いきれない。この限界が、名塚底根の誕生へつながったと考えられます。
「救えなくても、名前だけは残す」
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マルグリートは魔法少女が絶望する運命そのものを消すことはできませんでした。しかし、絶望した少女まで「誰でもない呪い」となり、その存在が完全に失われることを受け入れられなかったのでしょう。
そこで生まれたのが、少女たちへ魔女としての名前や姿を与え、その存在を残す名塚底根です。
つまりマルグリートが残したのは、「絶望させない」という救済ではなく、「救えなくても、その少女が存在した証だけは消さない」という別の形の救済だったと考えられます。
マルグリートとワルプルギスの夜の関係
マルグリートが少女たちを救おうとしながら、自身も呪いへ飲み込まれていく一連の出来事は、後のワルプルギスの夜へとつながっていきます。
複数の少女の呪いがワルプルギスの夜へ
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ワルプルギスの夜は、シリーズでも「複数の魔女の集合体」とされてきた特殊な存在です。『廻天』では、その起源にマルグリートと彼女を取り巻いていた魔法少女たちが深く関わっていたことが明かされます。
ただし、「名塚底根が完成した後にマルグリートたちが魔女化した」といった細かな前後関係までは断定しづらい部分があります。マルグリートが少女たちを救おうとする中で名塚底根が生まれ、その一連の出来事の果てにワルプルギスの夜へつながった、と捉えるのが自然でしょう。
他人の名前を残した少女が、自分の名前を失った
名塚底根の物語では「名前」が大きな意味を持っています。その一方で、ワルプルギスの夜へつながった少女たちは、一人の魔女としての名前を持たない集合体となりました。
他の少女たちの名前を残そうとしたマルグリート自身が、結果として「名前のない存在」へつながっていった。『廻天』に登場するワスが自らの名前を求めていることにも、この過去が関係していると考えられます。
「ハリボテ」とは?名塚底根の記録から魔女を再現できる?
名塚底根の本は、ただ魔女について読むための資料ではありません。『廻天』では、保存された魔女の情報から、その姿や性質を再現したような「ハリボテ」が登場しています。
「ゴムの魔女のハリボテ」が登場
※画像は「MagiaExedra」に登場したゴムの魔女
紫丁香に関係する魔女の姿については、公式パンフレットによると「ゴムの魔女のハリボテ」という表現が使われています。
重要なのは、本物の「ゴムの魔女」ではなく、あえて「ハリボテ」と呼ばれている点です。「ハリボテ」という言葉から考えても、過去に存在した魔女本人がそのまま復活したのではなく、保存された記録をもとに作られた再現体と見るのが自然でしょう。
名塚底根は魔女の「情報」まで保存している?
ハリボテを作れるのであれば、名塚底根に保存されているのは魔女の名前や過去だけではありません。その姿や性質、能力に関わる情報まで記録されているのでしょう。
つまり名塚底根は、「失われた魔女の記録庫」であると同時に、その記録を使って魔女の力を現世へ再現できる巨大なデータベースのような場所とも考えられます。
この性質は、後にキュゥべえが名塚底根へ到達した意味を考える上でも重要です。
救済の魔女が名塚底根に残されていた理由
名塚底根を考察するうえでもう一つ重要なのが、鹿目まどかの魔女である「救済の魔女」の記録です。
救済の魔女とは?
「救済の魔女 / クリームヒルト・グレートヒェン」は、鹿目まどかが魔女化した場合に誕生する魔女で、その性質は「慈悲」です。ほむらが時間遡行を繰り返したことでまどかへ巨大な因果が集中し、時間軸を重ねるほど強大な存在となっていきました。
しかしTVアニメ最終話では、まどかが「すべての魔女を生まれる前に消し去る」という願いによって宇宙の法則を書き換えます。そのため最終的な世界では、まどかが救済の魔女になる未来そのものがなくなっています。
セルマが救済の魔女の記録を持ち出した
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『廻天』では、セルマ・テレーゼが名塚底根から救済の魔女の記録を持ち出し、それをまどかへ関わらせることで大きな異変を引き起こします。
ここからも、名塚底根の本が単なる歴史資料ではないことが分かります。保存された魔女の記録には、その魔女の性質や力を現世へ影響させるほどの情報が含まれているようです。
また、ゴムの魔女のハリボテと同じ仕組みが使われているのであれば、作中に現れた救済の魔女も過去の魔女本人が復活したのではなく、名塚底根の記録から再現された「ハリボテ」に近い存在だった可能性があります。だからこそ、TVシリーズで登場した救済の魔女と姿が違っていたのかもしれません。
ただし、救済の魔女についてはハリボテと明言されているわけではありません。
過去の時間軸も記録している?
では、現在の世界では存在していない救済の魔女が、なぜ名塚底根に記録されているのでしょうか。
一つ考えられるのは、ほむらが経験してきた過去の時間軸も名塚底根に記録されているという説です。実際、過去の時間軸にはまどかが魔女化し、救済の魔女となった世界が存在します。
もう一つは、名塚底根が実際に誕生した魔女だけではなく、それぞれの魔法少女が持つ「魔女になる可能性」そのものを保存しているという説です。
現時点ではどちらなのか断定できませんが、救済の魔女の本が存在することで、名塚底根が「現在の歴史に存在した魔女だけを記録する場所」ではないことがうかがえます。
円環の理と名塚底根の違い
名塚底根と比較したい存在が、鹿目まどかによって生み出された「円環の理」です。どちらも苦しむ魔法少女を救おうとした少女から生まれた仕組みですが、その方法は大きく異なります。
円環の理は魔女になる前に救う
まどか『すべての魔女を生まれる前に消し去りたい。すべての宇宙、過去と未来のすべての魔女を、この手で。』
出典: 魔法少女まどか☆マギカ 12話
まどかは「すべての魔女を生まれる前に消し去りたい」という願いで宇宙の法則を書き換えました。その結果、ソウルジェムが限界を迎えた魔法少女は、魔女になる前に円環の理へ導かれるようになります。
つまり円環の理は、魔女になるという結末そのものから少女を救う仕組みです。
名塚底根は魔女になった者の存在を残す
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一方のマルグリートには、魔女になる運命そのものを消すことはできませんでした。その代わり、魔女になった少女へ名前や姿を与え、その存在を一人ひとり異なるものとして残しました。
その違いを簡単に表すなら、円環の理は「絶望の結末から救う仕組み」、名塚底根は「絶望してしまった者を忘れない仕組み」といえるでしょう。
マルグリートとまどかは、どちらも「苦しむ魔法少女を救いたい」という似た願いを持ちながら、持っていた力の違いによって別々の救済へたどり着いたと考えられます。
なぜ円環の理から名塚底根を通って現世へ戻れた?
『廻天』では、紫丁香、セルマ・テレーゼ、ワスが、かつて円環の理に導かれた少女でありながら、名塚底根を通って現世へ戻っています。
名塚底根は円環の理とは別の領域?
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名塚底根には上述の通り、円環の理が成立する以前の魔女だけでなく、現在の世界では存在しない救済の魔女の記録まで残されています。
このことから、名塚底根は現在の宇宙や円環の理だけに従属する場所ではなく、それらとは別の領域に存在している可能性があります。作中に明言されていた、名塚底根は「宇宙の外側」にあるというのはこのことでしょう。
だからこそ、円環の理に導かれた少女であっても、名塚底根を経由することで現世へ再び干渉できたのかもしれません。
ほむらの世界改変で「綻び」が生まれた?
暁美ほむら『私が奪ったのは、ほんの断片でしかないわ。まどかがまどかでなくなる前の、人としての彼女の記録だけ。』
もう一つ考えられるのが、『叛逆の物語』でほむらが起こした世界改変です。ほむらは円環の理から「鹿目まどか」という一人の少女の部分を引き離し、世界を再構築しました。
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この出来事によって円環の理が以前とまったく同じ状態ではなくなり、本来は閉じられていた経路に何らかの「綻び」が生じた可能性があります。その結果として、名塚底根を通じて円環の理にいた少女たちが現世へ戻れるようになったとも考えられます。
ただし、「ほむらの世界改変によって名塚底根への道が開いた」と作中で明言されているわけではありません。
「名塚底根」の名前・元ネタを考察
「名塚底根」という独特な名称にも、その役割を示す意味が込められている可能性があります。公式から語源が明かされているわけではないため、以下は考察です。
「名塚」は名前を残す墓標?
「名塚」は、「名」と「塚」に分けることができます。「塚」は死者を弔ったり、何かの痕跡を残したりする場所を指すことがあるため、「名前を残す塚」という意味を連想できます。
救うことができなかった少女へ名前を与え、その存在を忘れないための場所という名塚底根の役割とも一致します。名塚底根全体を、失われた魔法少女たちの名前を残す巨大な墓標のように見ることもできるでしょう。
「底根」は「底つ根の国」が元ネタ?
「底根」という言葉からは、日本神話などで語られる「底つ根の国」も連想できます。底つ根の国は地下や異界、死者の世界などと結びつけられる言葉です。
現世とは異なる場所に失われた少女たちの記録が集まる名塚底根にも共通するイメージがあります。「名を残す塚」と「世界の底にある異界」を組み合わせた名称である可能性があります。
ポストクレジットでキュゥべえが名塚底根へ
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名塚底根が『廻天』だけで完結する設定ではないと考えられる大きな理由が、物語の最後に描かれるポストクレジットシーンです。そこではキュゥべえが名塚底根へ到達しています。
キュゥべえは名塚底根を何に利用する?
名塚底根によって再び重要になるのがキュゥべえです。インキュベーターは魔法少女から得られるエネルギーを利用して宇宙の寿命を延ばしてきましたが、円環の理が成立したことで従来の魔女化によるエネルギー回収は成立しなくなり、『叛逆の物語』では円環の理そのものを観測・制御しようとしました。
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名塚底根では、本来なら円環の理に導かれたまま戻れない魔法少女が現世へ帰還しています。キュゥべえがこの仕組みを解析すれば、今度は円環の理を直接支配するのではなく、「円環の理を迂回する」バックドアのようなものとして利用する可能性があります。
さらに、名塚底根が通常の宇宙の外側にあるなら、世界改変の影響を受けないバックアップ領域になる可能性も考えられます。世界が再び書き換えられても、外側にいる個体や情報が改変前の状態を保持できるのであれば、インキュベーターにとって非常に大きな意味を持つでしょう。
「魂のリサイクル計画」の可能性
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つまり、一度円環の理へ導かれた魔法少女を名塚底根経由で現世へ戻し、再び活動させる。いわば「魔法少女の魂のリサイクル」です。
円環の理へ導かれた紫丁香たちが名塚底根を経由して現世へ戻ったことを考えると、キュゥべえがこの仕組みに注目する可能性もあります。一度円環の理へ導かれた魔法少女を再び現世へ戻せるのであれば、インキュベーターにとって新たな利用価値を持つためです。
ただし、キュゥべえが実際に魔法少女を繰り返し現世へ戻そうとしているのか、それによってエネルギーを得られるのかは明らかになっていません。現時点では、名塚底根の性質から考えられる可能性の一つです。
ハリボテを利用する可能性
さらに「ハリボテ」を利用する可能性もあります。
もし名塚底根の記録から魔女の姿や能力をハリボテとして再現できるのであれば、キュゥべえがその仕組みを解析し、新たな利用方法を探そうとする可能性は考えられます。
ただし、ハリボテを作れば従来と同じエネルギーを得られるわけではありません。今後キュゥべえが名塚底根を何のために利用するのかは、シリーズに残された新たな謎の一つです。
トカゲさん電話との関係は?
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ポストクレジットでは、「トカゲさん電話」を連想させる要素も気になります。トカゲさん電話は、ほむらが改変した世界で少女たちに力を与える仕組みとして登場しました。
もし名塚底根に保存された魔女の情報と、少女へ力を与えるトカゲさん電話が結びつけば、魔女の能力を別の少女へ与えるような新たな仕組みへ発展する可能性もあります。
ただし、この点について具体的な仕組みはまだ明らかになっていません。今後への伏線の一つとして見るのがよいでしょう。
まとめ
名塚底根は、「すべての魔女の始まりの場所」とされる特殊な領域です。その内部には魔女の名前や姿、性質などにつながる記録が残されており、魔女となった少女を「誰でもない呪い」にしないための仕組みだったと考えられます。
その誕生には、すべての魔法少女を救おうとしたマルグリートが深く関係しています。まどかのように魔女化そのものを消すことができなかったマルグリートが残したのは、「救えなくても、その少女が存在した証だけは残す」という別の形の救済でした。
さらに、名塚底根に保存された情報からは「ハリボテ」と呼ばれる魔女の再現体を生み出せることが示されています。現在の世界では存在しない救済の魔女の記録も残っていることから、名塚底根には失われた時間軸や魔女化の可能性まで記録されているのかもしれません。
そしてポストクレジットでは、キュゥべえが名塚底根へ到達しました。『叛逆の物語』で円環の理へ干渉しようとしたキュゥべえが、今度は「すべての魔女の始まり」にたどり着いたことで、名塚底根は今後の『まどか☆マギカ』シリーズでも重要な存在になる可能性があります。



















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