この記事では、映画『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』という第2部の内容について、ネタバレを含めて徹底的に解説・考察します。あらすじ、主要な登場人物、作品の背景にある世界観、注目のモビルスーツ、そして見どころとなる各シーンの演出や意味まで深掘りしていきます。
本記事は映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』第2部まで、およびその他宇宙世紀のガンダム作品の核心的なネタバレを含みます。
目次
閃光のハサウェイ キルケーの魔女とは?
2026年に公開された映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』とは、前作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の続編、第2部として公開されました。
本作は、第1部と同様にシリーズの中でも根強い人気を誇る富野由悠季氏の同名小説を原作とし、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から12年後の「宇宙世紀 0105年(U.C.0105)」を舞台にした物語です。
全3部作として描かれるこの壮大な物語の第2部では、主人公ハサウェイ・ノアだけでなく、ヒロインのギギ・アンダルシアや地球連邦側のケネス・スレッグなど、他のキャラクターもしっかりと内面が描かれます。
最終作である第3部はいつ公開なのかはまだ詳細不明となっています。
キルケーの魔女のざっくりあらすじ解説
オエンベリの虐殺と情報戦
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地球連邦海軍の目を掻い潜りながら、アデレード会議襲撃作戦と並行して、オエンベリにいるマフティー第1軍を名乗る反地球連邦政府運動の確認をするために出撃準備を進めていました。
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出撃直前、ケリアはハサウェイの変化に気づき、その危うさから出撃するのを止めたり、今後の作戦のことで衝突してしまいますが、ハサウェイはケリアを突き放してしまい、そのまま出撃してしまいます。
そこでは、地球連邦軍のキンバレー部隊によって、マフティーを名乗る私設軍隊が虐殺されていました。キンバレーはアデレード会議を目前に控え、新司令ケネスの赴任前に実績を挙げようと焦っていました。
しかし、この惨状は独立系メディアSPTVによって配信され、キンバレー部隊はマフティーによって制圧され、キンバレーも確保されます。ハサウェイはオエンベリで私設軍隊のリーダー、ファビオを救出し、連邦会議の開催地がアデレードではなく香港のコワンチョウに変更されたという情報を掴みます。
ギギの想いと「勝利の女神」
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一方、ギギは地球に来た本来の目的である、ニュー・ホンコンへとケネスの計らいで行きます。伯爵の別邸に到着し、本来やるべきをしているのにもかかわらず、ハサウェイのことばかり思い出したり、考えてしまいます。
翌朝、ハサウェイの連絡先へランニングを装って公衆電話で連絡。ケネスからもらっていた連絡先でしたが、合っていたことに驚きつつも、盗聴の可能性も考えながらもハサウェイにメッセージを残すことに成功します。『「デート」はアデレードで。』と。
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ハサウェイとケネスの戦いを見届けるため、ケネスのもとに身を寄せます。ケネスはギギのニュータイプのような「直感」を信じ、彼女のアドバイスを戦術に生かすことでマフティーの戦力を削ぎました。
最初はケネス以外の隊員の信用を得られなかったギギですが、予言的な言動が的中し、次第にキルケー部隊で本当に「勝利の女神」と目されるようになります。
追い詰められるハサウェイの精神
諜報網経由でギギからのメッセージを受け取ったハサウェイ。会議の開催地はアデレードで間違いないと確信し、ファビオたちと合流した時に開催地に変更はないことを告げつつ、連邦軍を騙す作戦を持ちかけます。
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一方、ハサウェイの心が向いていないことを察したケリアは、今回の作戦後にマフティーから抜けることを決意。諜報員として作戦に出撃した時には遅く、それを知ったハサウェイはケリアを失ったことに狼狽えてしまいます。
そして、拠点としていた船「ヴァリアント」が撃沈され、多くの構成員が命を落とします。ハサウェイ自身は生き残るものの、彼はあまりにも多くの命を背負うことになります。さらに、ハサウェイは「へそポイント」へと向かう途中、ハーラ機の残骸、ロッドの姿は見つからずと、再び構成員を失うことになります。
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それと同じようにハサウェイの精神状態も追い詰められ、さらに不安定になっていきます。心の中にはクェス・パラヤの幻影を飼い、彼女との会話が彼の妄想の産物であると読み取れます。クェスとチェーンの死から立ち直れていないハサウェイは、これだけの人の死を背負い、精神が崩壊寸前であると推測できます。
ハサウェイとギギの再会
ハサウェイたちは「へそポイント」こと、エアーズロックに到着。作戦の準備を進めます。
一方、ギギは預言者のように扱われることに戸惑いを覚えるも、エアーズロックに観光に行きたいとケネスに伝え、ケネスはエアーズロックにマフティーがいるかもしれないと威力偵察部隊を編成し、ギギとともにエアーズロックに向かいます。
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キルケー部隊は本当にハサウェイたちがいることに驚きつつも、交戦の準備をし始めます。マフティーはこれ以上戦力を失うわけにはいかないため、ハサウェイがしんがりを務めて攻撃を仕掛け、交戦に突入。ハサウェイは次々と撃破していくも、レーン・エイムが搭乗している「アリュゼウス」が立ちはだかります。
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アリュゼウスがパージすると、「量産型νガンダム」が現れ、それを見たハサウェイはアムロのνガンダムを思わせ、シャアの反乱とクェスが蘇り、ハサウェイの瞳にはレーンは映っていませんでした。
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レーンを追い詰め、とどめを刺そうとする瞬間、ギギの声とクェスの声が届きハサウェイを現実へと引き戻します。人質になることを申し出たギギは、ついにハサウェイと再開を果たしたのでした。
キャラクターの深堀り
ハサウェイの内なる矛盾
本作では、マフティー・ナビーユ・エリンとしての使命と、ハサウェイ・ノアとしての自己の間で揺れ動く主人公の精神状態が克明に描かれています。特に、過去のトラウマが彼の行動原理に深く影響していることが示されます。
ハサウェイの精神状態
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ハサウェイは劇中、クェス・パラヤやアムロ・レイとの会話を幻覚として見ていたと読み取れます。
ケリアとの関係においては、ハサウェイが寝台で横になっている際のケリアの咀嚼音に過敏に反応する描写がありました。これはハサウェイが精神的に不安定だからこそ神経質になっていること、そしてケリアへの気持ちが離れつつある心理状態を示していると推測されます。
ハサウェイの理想
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ハサウェイは果たさねばならないこと、いわゆる宿命のようなものを自分に課しています。それはそのままの通り、マフティーとして重力に魂を引かれた者たちを粛清しなければならない、それは自分にしかできないことであり、ひいては人類のためにもなると思っています。
だからこそ、ケリアとの破局やギギのことを考えてしまったり、ジュリアの胸を見て少し興奮してしまったりと、まだまだ世俗も肉欲にもまみれてしまっている自分が許せないのです。
アムロとの対決と自己否定
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本作の終盤、ハサウェイはレーン・エイムが操縦する量産型νガンダムと対峙する中で、幻影のアムロと対話します。このアムロは、ハサウェイ自身の理性や良心の具現化であり、過去の過ちや現在の行動に対する内なる問いかけであると考えられます。
シャア『私はお前と違ってパイロットだけをやっているわけにはいかん!』
アムロ『なんだと!?』
シャア『地球は人間のエゴ全部を飲み込めやしない!』
アムロ『人間の知恵はそんなもんだって、乗り越えられる!』
シャア『ならば、今すぐ愚民ども全てに叡智を授けてみせろ!』
ハサウェイは、アムロに対してかつてのシャアのセリフを繰り返すことで、彼自身がシャアの思想に取り込まれてしまっている状況を示しています。
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アムロがハサウェイに道を踏み外さぬよう諭すも、ハサウェイはその声を受け入れません。
彼の根底には、チェーンを殺害したことへの負い目があり、それがマフティーとして引き返せない一線、消せない罪となっていると読み取れます。このアムロとの戦いは、ハサウェイが自身の矛盾や自己を否定する姿が視覚化されたものとして捉えられます。
ギギの思惑
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物語のタイトルにも冠されている「キルケーの魔女」ことギギ・アンダルシアは、その存在自体がハサウェイやケネス、ひいては戦局全体を翻弄するファム・ファタールとして描かれています。
伯爵の愛人としての顔と自立への衝動
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ギギは、超富豪であるカーディアス・バウンデンウッデン伯爵の愛人という立場にあります。彼女は伯爵のために香港に用意された別邸の内装や調度品を完璧に整えるなど、プロの愛人として、伯爵のためにセッティングし秘書業務を果たしていました。この別邸の「部屋を整える」シーンは、物質的充足だけでは精神の充足に繋がらないというギギ自身の内面的な葛藤を暗示していると読み取れます。
他にも、多くの靴や脱ぎ散らかした下着を置いたのは、伯爵への「せめてもの慰み」であり、「さっきまで住んでいた女が身一つで消えた」という生活感を演出するためであったとされています。
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伯爵が語る「本当に良い一日があれば、残りの365日の寂しさには耐えられる」という言葉は、人生の大半が退屈で孤独な我慢の連続であるという諦観を示していますが、ギギは最終的にこの「生き延びるための我慢」だけでは足りないと悟り、ハサウェイへの衝動に従って彼の元へと向かいます。彼女は、1000年先の理想を追うマフティーとは対照的に、刹那に生きる「人間」であることを選択したと解釈できます。
ギギの「魔女」としての能力
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ギギは、ニュータイプではないのにもかかわらず、その直感力や洞察力、状況判断力によって戦況を予測する能力を持っています。
彼女がダーウィン空港着陸直前、空港に恐怖を感じ、ケネスが着陸中止の指示を出すと滑走路が爆破されます。結果的に部隊の危機を救ったことは、彼女が「預言者」としての働きを期待される所以です。
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彼女はケネスを巧みに操り、ハサウェイと接触するための情報を伝達するなど、その言動一つ一つが計算された戦略的なものとして描かれています。
ある意味、ギギはハサウェイにとって「嘘を見破る人」であり、彼が抱える欺瞞を暴き、マフティーとしての仮面を剥がしてしまう危険な存在として描かれています。
ケネスのリアルな正義
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ケネスはハサウェイとは違い、良くも悪くも世俗にまみれながらも、自身の俗物であることを自覚し、現実に即した戦略を実行する人物です。彼はハサウェイの正体を見抜き、マフティーを追い詰めるために巨大なビームバリアー発振器を設置するなど、有能な軍人としての手腕を発揮します。
彼の「つまらん」というセリフは、ハサウェイがマフティーではないという情報に接した際の、好敵手を求める彼の本音をうかがわせるものとして解釈できます。
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さらに彼はメイス・フラゥワーとのベッドインなど肉欲に正直な一面を見せますが、一方で対テロの指揮官としての重責の中で、メイスをガス抜き要員として側に置くなど、人間的な側面も持ち合わせています。ハサウェイとは対極的な存在でありながら、互いの本質を理解し合う関係性は、もし敵対していなければ親友になっていたかもしれないという可能性を感じさせます。
レーン・エイムの純粋さと苦悩
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レーン・エイムは、主人公かと勘違いするほど本気で純粋な青年であり、大人たちの政争や組織の腐敗に反感を抱いています。
ギギを勝利の女神として置いているケネスにも不満を持っており、「観光地にマフティーがいるわけねえだろ!」という彼のセリフは、彼の現実的な側面をよく表しています。
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彼はハサウェイのライバルとして、あるいは狂気に染まる以前のハサウェイの姿として描かれていると読み取れます。しかし、実力差は明白で、ハサウェイには眼中にないほどの一方的な敗北を喫します。
彼はハサウェイの幻影のアムロとの戦いに巻き込まれ、狂人から勝手にアムロを投影されてボコボコにされるという、ある意味で最も不憫なキャラクターの一人です。彼の乗機であるアリュゼウス(量産型νガンダム)は、ペーネロペーのフライトフォーム訓練用として使用され、原作にないアリュゼウス戦が増えたことでミサイル消費が激しいなど、戦略的な制約も抱えています。
ケネスとメイス、ギギの関係
メイス・フラゥワーはハウンゼン(前作でハイジャックされたシャトル)の客室乗務員であり、ケネスが移動中に口説き落とした相手です。
メイスとギギのバトルは、端的に言うならただのマウントの取り合いです。ギギが再びケネスの元に戻ってきたから、メイスが「あなたの居場所はないよ」とマウントを取るも、ギギが反撃のマウントを取り返し、最終的にメイスがビンタをした、このような流れです。
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ギギのメイスへの耳打ちは劇場版では聞き取れないようにフィルターがかけられていますが、原作小説でハッキリと書かれており、かなり刺激的なことを言っています。要約すると、ギギは「先に大佐と寝ています」というマウントで、まだそこまで進んでいないなら「そこまでの関係じゃないのですね」とマウントが取れるようなことを言っています。
ちなみに、ケネスとギギはベッドインはしていません。伯爵の別邸にケネスが来た時にギギがフォーマルな服を着ていたのも、「そのような気持ちはないですよ」という、間接的にあらかじめ伝えているのです。
ケネスはバツイチの独身であるため、メイスは愛人ではなく自由恋愛の関係とされています。一方、ケネスがギギに対して「カーディアスに目をつけられるぞ」と忠告したシーンは、ギギが伯爵の関係者であるため、彼女に手を出せば自身の将来が危うくなるという警告でした。
ケリアの決別
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ハサウェイの恋人であるケリア・デースは、彼をマフティーに誘った人物であり、その活動を支えてきました。しかし、ギギの登場やハサウェイの精神的な不安定さ、そして自身の不法居住者という立場が結婚を阻むジレンマなどから、彼女はハサウェイのもとを去ることを決意します。
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彼女が髪を短くしていく描写は、マフティーとしての覚悟を示すものでありながら、同時にハサウェイへの無言の抵抗とモヤモヤも感じさせます。
去っていくケリアを必死に追いかけるハサウェイの姿は、彼がいかに人間的な感情にいまだに囚われているかを示しており、これもハサウェイは自身を追い詰める要因となってしまっています。
ケリアは、ギギが「ハサウェイの中のクェスを消してしまうかも知れない」と予言します。これは単なる恋愛関係の終わりではなく、クェスの存在によってマフティーを演じようとするハサウェイの仮面が、ギギによって破壊される可能性を暗示していると読み取れます。
ブライト・ノアの立ち位置
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ブライト・ノアは、一年戦争やシャアの反乱で活躍した経験豊富な軍人ですが、その功績ゆえに連邦軍内部で疎まれ、干され気味の状況にありました。そのため、軍を辞めて政治家を目指し、一般市民の生活を知るためにレストラン経営を考えていたとされています。
メサイアが店舖の内検を予定していると語っていたのは、そのことであると読み取れます。第2部ではケネスの要請により、MSが絡むテロ対策の指揮を執るため、第13独立部隊として追加補充されました。これは、実戦経験の少ないキンバレーが無茶な行動を起こしたことや、ケネスが議会の防衛とハサウェイ追跡で多忙であることから、最適な人選であったとされます。
モビルスーツと戦闘の考察
本作のモビルスーツ(MS)戦は、前作の第1部同様、リアリティと象徴性を追求した演出が特徴です。特に、ハサウェイのΞガンダムとレーンのアリュゼウス(量産型νガンダム)の対決は、物語の核心に迫る意味合いを持っています。
Ξガンダムの顔の変形と意図
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ラストシーンでレーン・エイムとの戦闘によりマスクが割れ、中からお馴染みの「ガンダム顔」が現れる描写がありました。
これは、作中ではΞガンダムの製造元が不明瞭なように偽装されており、ガンダム顔ではないこともその一環であった可能性が示唆されます。
また、ゲームや小説後半のイラストではこのガンダム顔が採用されているため、原作ファンへのサービス、およびこのデザインでの商品展開を意図したメタ的な演出であると考えることもできます。
「量産型νガンダム」と「アリュゼウス」の性能
レーン・エイムが搭乗していた量産型νガンダムに「アリュゼウス」という追加装備を施した機体は、原作の小説には登場しない劇場版オリジナルの機体です。
量産型νガンダムはνガンダムの8割程度のスペックを持つとされています。アリュゼウスは、ペーネロペーの開発時のテストパーツや、ミノフスキー・クラフトではなく、ジェットエンジンで飛行する訓練用のブースターを外付けした疑似的なペーネロペーの役割を果たしていました。ペーネロペー配備前の機種転換訓練機としてレーンが使用していたとされます。
その他の背景情報
マフティーと学生運動的共同体
マフティー内部の人間関係は、ハサウェイやケリアの色恋沙汰で盛り上がったり、中高生のような距離感や大学生サークルのような雰囲気が描写されています。
これは、富野由悠季氏がマフティーをどこか学生運動的な共同体として描いているためと考えられます。腐敗した社会構造を変革しようとする彼らの思想には、拭いがたい青臭さが残ることとなっています。
加速する連邦政府の腐敗と弾圧
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地球連邦政府は、特権階級による私物化と暴力的な弾圧が常態化しています。冒頭で描かれるマンハンター組織によるオエンベリ住民への虐殺シーンは、正規軍のMS(グスタフ・カール)が生身の人間を握り潰すという衝撃的なものでした。
この非道な行為の映像がメディアにリークされても、連邦政府はメディアを統制し、世論をコントロールすることで、その影響を矮小化します。
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劇中で描かれるニュー・ホンコンやダーウィンは、連邦政府が目指す「特権階級によるパラダイス世界」そのものです。彼らにとって、人類の大部分がいなくなり、戦乱もなくなった地球を自分たちだけの楽園にすることが目的であり、スペースノイドへの関心は失われています。
メディアもまた特権階級の一部と化し、「本当の事なんかない」と言われるほどの統制が進んだ社会は、多くの人々の無関心を誘い、マフティーのようなテロ組織が台頭する土壌を生み出していると読み取れます。
マン・ハンターと連邦軍の関係性
マン・ハンターは本来、地球連邦政府警察機構で、地球に滞在する不法居住者の摘発をしています。
おそらくですが連邦軍にとっては、既得権益に手を突っ込んでくる新興勢力であり、金で雇われた傭兵のような組織が正規軍でもないのに大きな顔をしていることにケネスが悪態をつくなど、両者の関係は良好ではなかったと読み取れます。
クワック・サルヴァーの目的
マフティーの元締め的な存在であるクワック・サルヴァーの目的については、作中では明確にされていません。
おそらく「連邦の非主流派が現主流派の退場を狙って仕掛けている」という説や、「マフティーにMSを提供することで、連邦と小競り合いを起こさせ、MS開発やインフラを推進させてアナハイム・エレクトロニクスに利益が出るよう動いている」といった推測ができますが、これといった根拠はなく、考察の域を出ません。
カーディアス・バウンデンウッデン伯爵とは
ギギのパトロンであるカーディアス・バウンデンウッデン伯爵は、詳細は不明ですが原作では「高齢だが健康な大資産家」と表現されています。ケネスの台詞にもあるように、非常に影響力のある人物です。
ただし、この名前は『機動戦士ガンダムUC』に登場するカーディアス・ビストとは一切関係がありません。
ラストシーンと第3部への展望
ラストシーンについて
本作のラストシーンは、ハサウェイとギギの関係、そして物語全体のテーマを象徴的に示しています。戦闘で損傷したΞガンダムのマスクが割れ、「ガンダム顔」が姿を現す場面は、ハサウェイが「偽物」としてのマフティーから「本物」のガンダムパイロットとして、自身の矛盾と向き合わざるを得なくなることを暗示しています。
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そして、ハサウェイとギギがキスを交わす場面は、原作小説からの大きな変更点です。今作は、「ハサウェイを想うただの普通の女の子」という描写も多かったことから、別邸にいる時も、ケネスといる時もずっとハサウェイに会いたいという気持ちを抱えており、それがラストシーンで爆発してキスをしたのだと思われます。
ヘルメットを開けさせたのは演じることで壁を作り断絶するのではなく、ありのままをさらけ出せる関係を求めた二人の姿を描いているとも解釈できます。この一連の描写は、ハサウェイがクェスという「死」の亡霊から、ギギという「生」の現実に引き戻された瞬間であると読み取れます。
ちなみに、原作小説だとハサウェイとギギはキスせずに終わってしまうので、劇場版は第3部からどうなってしまうのか、期待をしたいところです。
第3部はどうなっていく?
ケネスがアデレードで見据える巨大な装置は、第3部でマフティーとΞガンダムを追い詰めるための「巨大ビームバリアー発振器」であると予想されます。ミノフスキー粒子、Iフィールド、動力・推進・制御といった技術的な会話が丁寧に挿入されていたことは、この装置の伏線であると考えるのが自然です。
エンディングを飾るガンズ・アンド・ローゼズの「Sweet Child O’ Mine」は、「Where do we go? Where do we go now?」という歌詞が、破滅へと向かうハサウェイと、不確かな未来に投げ出されたギギの不安を代弁しているかのようです。
原作から大幅なアレンジが加えられた本作の最終章が、どのような結末を迎えるのか、期待と不安を抱くようなラストとなっています。
原作小説の結末(ネタバレ含む)
※ここからは原作小説の結末に触れます。映画版の今後の展開を一切知りたくない方は読み飛ばしてください。
映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、富野由悠季氏の原作小説を基にした全3部作として制作されています。
関連作品と見る順番
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、宇宙世紀シリーズの作品であり、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の直接的な続編であり、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』第1部の続編でもあります。そのため、本作をより深く楽しむためには、過去の関連作品を視聴しておくことが推奨されます。
最低限見ておきたい作品
特に最低限見ておきたいのは、『キルケーの魔女』は第2部なこともあるので、第1部である『閃光のハサウェイ』は見ておきたいです。
そして、本作の直接的な前作である『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』です。ハサウェイの過去や彼がマフティーとなった理由、そしてアムロやシャアといったキーパーソンとの関係性を理解する上で非常に重要です。
他に見ておきたい作品
さらに、宇宙世紀の大きな流れや、ハサウェイの父ブライト・ノアの活躍を知るためには、以下の作品もおすすめです。
- 『機動戦士ガンダム』 (TVシリーズまたは劇場版3部作)
- 『機動戦士Zガンダム』 (TVシリーズまたは劇場版3部作)
- 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
- 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
少なくともこれらの作品を見ることで、宇宙世紀の世界観や登場人物の背景、MSの技術発展の歴史などが理解でき、『閃光のハサウェイ』の重層的な物語をより深く味わうことができるでしょう。
これらの過去作品や『閃光のハサウェイ』は、様々なVOD(動画配信サービス)で配信されています。サービスによっては、多くの宇宙世紀作品を網羅している場合もあるため、まとめて視聴するのに便利です。
まとめ
映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は、ハサウェイ・ノアの内面的な苦悩と、彼を取り巻く複雑な人間関係、そして地球連邦政府の腐敗を深く掘り下げた作品です。
ハサウェイは、クェスの死とチェーン殺害のトラウマに囚われ、マフティーという仮面を被ることで現実から逃避しようとします。しかし、ギギ・アンダルシアという「魔女」の介入により、彼は自身の欺瞞を暴かれ、マフティーとしての役割とハサウェイ・ノアとしての人間性、双方に正面から向き合うことを迫られます。
ケネス・スレッグ大佐の現実的な戦略、レーン・エイムの純粋な苦悩、そしてブライト・ノア夫妻の悲劇的な運命など、登場人物たちのドラマも物語に深みを与えています。本作は、ハサウェイが幸せになるルートを自ら握りつぶしていくかのような、破滅の必然性を積み上げる描写で観客の心を揺さぶります。
2026年2月現在、次章の公開時期は未定ですが、原作からの大胆なアレンジが、どのような結末をもたらすのか、その行方が注目されます。


































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