この記事では、『呪術廻戦』に登場する秤金次(はかりきんじ)は、東京都立呪術高等専門学校の3年生でありながら、そのアウトローな言動と破格の実力の持ち主です。そんな秤金次のプロフィール、術式の詳細、個性的な性格、そして物語における重要な役割について深く考察します。
規格外の術式
「ニューテクな術式」
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秤の術式は「ニューテクな術式」の典型であるとされています。
呪術界の保守派は「呪術とはこうあるべき」という思想を持ち、釘崎野薔薇の「芻霊呪法」のような伝統的な術式を好む傾向にあります。一方で、時代が進み、ニューテクノロジーと絡む術式に対しては批判的であり、秤のパチンコをモチーフにした術式が、まさにその典型と見なされていました。
作者の芥見下々先生自身も、秤の術式は「コンプラ的に怒られてしまうかも」と発言しており、少年誌におけるパチンコの描写がコンプライアンス上、難しいラインであったこともわかります。
ざらついた呪力
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秤の呪力は、他の術師とは異なり「ザラついている」という特殊な特性を持ちます。
虎杖『何だこの人の打撃は…!?威力の大小以前に”痛い”!!』
『ヤスリのついたバットでぶん殴られてるみてぇだ…!!』
出典: 呪術廻戦 18巻 第157話
と虎杖が秤に殴られた際にも感じています。これは、彼が呪力を纏って殴るだけでも相手に大きなダメージを与える要因となっています。
五条悟・乙骨憂太からの評価
五条悟はかつて、
五条「特に三年 秤、二年 乙骨。彼らは僕に並ぶ術師になる。」
出典: 呪術廻戦 2巻 第11話
生徒として、3年の秤と2年の乙骨憂太の名前を挙げています。
また、乙骨自身も秤について、
乙骨「ムラっ気があるけど、ノッてる時は僕より強いよ。」
出典: 呪術廻戦 17巻 第146話
と評価しています。禪院真希は即座にその発言を否定していますが、特級術師である乙骨が認めるほどの潜在能力を持つ存在であることが窺えます。
領域展開「坐殺博徒」のルールと効果
秤の領域展開は「坐殺博徒(ざさつばくと)」です。これは、彼がこよなく愛するパチンコ台「CR私鉄純愛列車1/239ver.」(作中に実在するパチンコ台)をモデルにした、極めて個性的な領域です。
そして、日車の領域と同様、「領域展開がデフォルトで組み込まれた術式」となっています。
「CR私鉄純愛列車1/239ver.」
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領域が展開されると、内部にはパチンコ台「CR私鉄純愛列車1/239ver.」の演出が始まります。この領域のルールは、相手の脳内に強制的に開示されます(必中効果)。
- 改札に囲まれた通常ステージで、秤が攻撃(予告演出)を行うとリーチに発展します。
- リーチアクションには4種類のステージがあり、中でも「華金終電リーチ」は期待度80%を超える激アツ演出です。
- 大当たりを引けば秤自身にボーナス効果がかかり、有利に戦闘を進められます。
- 領域内の敵は、パチンコの演出に干渉したり、邪魔をしたりすることはできません。
この術式は複雑で、パチンコ経験のない者にとっては理解しにくいものです。しかし、重要な点は「パチンコの演出には誰も干渉できない」、「当たりを引けば秤が強化される」という2点のみです。
必中効果と必殺効果の欠如
「坐殺博徒」は、その領域内にいる対象に、自身の術式ルールを強制的に開示するという「必中効果」を持ちます。さらにこのルールの開示は、術式の開示にもあたっているため、術式効果の底上げもなっています。
しかし、一般的な領域展開が持つ「必殺効果」(領域内にいる対象を必ず殺傷する効果)は持ちません。これは日車の領域「誅伏賜死」と同様の特性です。
大当たり後の無敵状態と反転術式
領域展開で大当たりを引くと、秤は約4分11秒間、「無制限の呪力」を得ます。このボーナス中は独特の音楽が鳴り響くのも特徴です。
この無限に溢れる呪力は、秤自身が反転術式を習得していないにもかかわらず、肉体が反射的に反転術式を発動させ、瞬時に肉体を回復・再生させます。これにより、秤は腕が吹き飛ばされても元に戻るほどの「実質不死身」の状態となります。
連続領域展開の可能性
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本来、領域展開を使用した後には、術式が一時的に焼き切れ、しばらく術式が使用困難になるというデメリットがあります。
しかし、秤の場合、大当たり中の4分11秒のボーナス時間中に呪力と焼き切れた術式が回復するという特性があります。そのため、「坐殺博徒」で大当たりを引き続ける限り、何度でも連続して領域を展開することが可能となります。
これが、乙骨が「ノッてる時は僕より強い」と評する所以であり、彼の強さの根源でもあります。
領域同士の押し合い
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日車の領域と同様、必中効果がルールの開示という相手への無害な効果であることと引き換えに、領域同士の押し合いに強い領域となっています。
これまで使用されていた領域対策である「相手の領域展開に対し、こちらも領域展開を行う」、「簡易領域の使用」などもほぼ意味がなく、領域内で秤を倒し切るか、パチンコの終了まで耐えきるかまで、領域の効果に付き合うしかありません。
ルールはわからなくても問題なし
作者の芥見下々先生も、ルールの説明がわからなくても
「なんとなくで読み飛ばして大丈夫です。」
「領域内の体験型のゲームで当たりを引いたらめっちゃ強くなるとだけ分かってれば大丈夫です。」
とおっしゃられています。
ですので、本当に当たれば強くなることがわかっていれば問題ありません。
領域展開時の手印「弁財天印」の意味
秤金次が領域展開を発動する際、右手でお金のジェスチャーを作り、左手を合わせたような構えを取ります。
このポーズは、仏教の神様である「弁財天」の手印(印相)と一致すると言われています。弁財天は金運アップの御利益があるとされる神様であり、ギャンブルをモチーフにした秤の術式にぴったりの象徴的意味を持っていると読み取れます。
死滅回游での活躍
「死滅回游」編で本格的に登場した秤金次は、その豪運と圧倒的な実力で、数々の強敵と渡り合いました。
ファイトクラブの運営と虎杖悠仁との出会い
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停学中の秤は、栃木県のとある立体駐車場跡地で、呪術師同士の賭け試合「ファイトクラブ」を運営していました。非術師を客としており、呪術規定8条「秘密」に違反する行為を行っています。ここで彼は、五条悟の封印解除のために協力を求める虎杖悠仁と伏黒恵、パンダと出会います。
当初、虎杖たちを高専の回し者と見なし、交渉は決裂しかけていましたが、虎杖が秤の拳を受け止め続け、自身の「呪いを払い続ける部品」としての「熱」を示したことで、秤は彼の熱意に応じました。
秤『これが部品の”熱(め)”かよ…!!』
『…”熱”に嘘はつけねぇ!!』
出典: 呪術廻戦 18巻 第157話
シャルル・ベルナールとの戦闘
死滅回游に参戦した秤は、東京第2コロニーで漫画家志望のプレイヤー、シャルル・ベルナールと対峙します。
シャルルの「G戦杖(ジーせんじょう)」という未来視の術式に対し、秤は死角からの攻撃で対応し、肉弾戦で圧倒。最終的に領域展開「坐殺博徒」でシャルルに勝利を収めました。
鹿紫雲一との激闘
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シャルル戦の後、パンダを助ける形で、秤は100点を保持している鹿紫雲との戦闘に突入します。「坐殺博徒」で2回も大当たりを引く豪運を見せ、領域展開の座標をずらして鹿紫雲を海に落とすなど、トリッキーな戦術で翻弄しました。
鹿紫雲の電気を帯びた呪力は海中で流れ続け、電気分解で塩素ガスを発生させるという予測不能な事態に発展します。
海中での激しい肉弾戦の末、鹿紫雲が呪力を一気に放出して水蒸気爆発を起こすと、秤の体はバラバラになったかに見えました。しかし、秤は腕を捨てるという縛りと引き換えに、腕を守るはずだった呪力を他に回し、生きて地上に帰還。鹿紫雲に一発を決め、勝利を収めました。
裏梅との攻防戦
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五条悟が宿儺との戦いで敗れた後、秤は裏梅と対峙し、宿儺への加勢に向かおうとする裏梅を足止めする任務を遂行しました。
この戦闘の詳細は作中では描かれていませんが、秤は粘り強さと豪運を駆使し、決戦が決着するまで一人で裏梅と戦い続け、任務を完遂したとされています。
物語に影響を与える「秤規定」
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秤金次は単に強力な術師であるだけでなく、その思想や行動が呪術界の未来に大きな影響を与える存在でもあります。
「秤規定」の誕生
『呪術廻戦』のスピンオフである『呪術廻戦≡(モジュロ)』では、秤金次がきっかけとなって呪術規定の見直しがされた「秤規定」という存在が明かされています。
これはまず、18巻第158話にて、呪霊の存在が公になったから呪術規定がいずれ改訂するであろうということで、秤が死滅回游を平定するのに協力する代わりに、呪術規定に口を挟むために協力してほしいと頼んでいました。
死滅回游後に呪術規定第8条「秘密」がうやむやになった際、秤が持ちかけた「公営ギャンブル化」の話が発端となっているようです。秤規定には「術師の商闘」を認める条項があり、これが「脅威」とされるシムリア星人との戦争の火種を回避する一助となったと描かれています。
秤金次とは?
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秤金次は、東京都立呪術高等専門学校の3年生で、虎杖悠仁の先輩にあたります。作中における彼の基本情報は以下の通りです。
項目 |
内容 |
|---|---|
所属 |
東京都立呪術高等専門学校3年 |
年齢 |
18 or 19歳 |
一人称 |
「俺」 |
身長 |
180cmである乙骨より少し高い |
等級 |
不明 |
術式 |
名称不明 (ギャンブル) |
領域展開 |
坐殺博徒 |
反転術式 |
特殊な状況下で使用可能 |
声優 |
中井和哉 |
外見と印象
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秤は老け顔でがっしりとした体格が特徴です。京都校の東堂葵を彷彿とさせるような印象を与えることもありますが、東堂とは異なり、どこかアンダーグラウンドな雰囲気をまとっています。
初登場時にはやや金髪に近い髪色で描かれていましたが、その後、より「金」を意識したようなデザインに変わったと読み取れます。
性格と信念
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秤の性格を一言で表すなら「生粋のギャンブラー」です。彼は「生きることはギャンブル」と豪語し、人間を「熱に浮かされるギャンブラー」と捉えています。
「熱」こそが人間の行動原理であると考え、「熱を愛している」と公言しています。しかし、大きく勝負に出られない人間や、引き際を知らない人間を嫌悪する傾向があります。
彼は「命を懸けること」を「熱」と解釈し、その熱量こそが最も重要であると信じています。そのため、時にはルールを破ることもいとわないアウトローな一面を見せますが、根底には純粋な正義感や人助けを好む心があったと読み取れます。
停学理由と背景
秤は呪術高専の3年生でありながら、長らく作中には姿を見せず、停学処分を受けていました。
秤が停学処分となったのは、作中の1年前に起きた「百鬼夜行」の際に、京都に出向した彼が保守派の呪術師たちと揉め、彼らを「ボコボコにした」ためとされています。この行動が問題視され、1年近くの停学処分となりました。
彼の停学には、上述した自身の術式の特性も深く関わっていたと読み取れます。伝統的な術式を重んじる保守派の考えとは相容れなかったのでしょう。これが保守派とのトラブルの火種になったと考えられます。
星綺羅羅との関係
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秤金次と常に一緒にいる星綺羅羅は、秤と同じ呪術高専東京校の3年生です。見た目はかわいらしいギャル系の女性に見えますが、実は男性であることがパンダの口から明かされます。
二人はファイトクラブを共同で運営しており、その距離感は非常に近いです。秤が元カノの話をした際に、綺羅羅が「元カノの話やめて」と嫌がったことから、二人が恋人関係にあるのではないかと推測されています。
まとめ
秤金次は、呪術高専3年生でありながら規律に縛られず、自身の「熱」と「豪運」を信じて戦い抜く異色の術師です。その術式「坐殺博徒」は、ギャンブルを模した特異な領域展開でありながら、無制限の呪力と自動反転術式による無敵状態で、特級術師にも匹敵する力を発揮します。
死滅回游や新宿決戦といった激戦を生き抜き、未来の呪術界に「秤規定」という新たな秩序をもたらすなど、その存在は物語全体に大きな影響を与えています。






























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