この記事では、『呪術廻戦』に登場する特級呪物「呪胎九相図」の一番が受肉したのが脹相です。当初は呪霊側の戦力として登場しましたが、主人公・虎杖悠仁との意外な血縁関係が判明しました。脹相の特異な生い立ちから能力、作中での活躍を掘り下げて考察します。
この記事では、『呪術廻戦』最終話、『呪術廻戦モジュロ』の最終話までのネタバレが含まれているのでご注意ください。
目次
脹相とは?
出典: x.com
脹相は、特級呪物である「呪胎九相図」の1番目が受肉した存在です。
彼の生みの親は「史上最悪の呪術師」と称される加茂憲倫(羂索)の実験によって、呪霊の子を孕む特異体質の女性から生まれました。このため、脹相はいわば人間と呪霊のハーフという特殊な存在です。
年齢 |
およそ150歳 |
|---|---|
等級 |
特級呪物(特級呪霊、一級術師相当) |
好きな物 |
家族(虎杖悠仁、壊相、血塗など) |
嫌いな物 |
羂索 |
生得術式 |
赤血操術 |
特殊体質 |
呪力を血液に変換可能 |
反転術式 |
会得済み |
担当声優 |
浪川大輔 |
脹相の人物像
出典: jujutsukaisen.jp
彼は常に無気力そうな見た目をしていますが、内面には非常に強く熱い兄弟愛を秘めています。
同じ呪胎九相図から生まれた弟の「壊相」と「血塗」に深い愛情を注いでいます。弟たちが祓われたと知った際には強い憤りを見せ、彼らの仇を討つことを決意しました。
脹相『壊相は血塗のために、血塗は俺のために、俺は壊相のために生きる。』
『俺達は三人で一つだ。』
出典: 呪術廻戦 7巻 第60話
また、「出来が良かろうと悪かろうと兄は弟の見本になる」というモットーを持ち、弟の前で命を張ることをためらいません。この思想は、後に虎杖悠仁を「弟」と認識して以降も、彼の行動原理の核として変わらず存在しました。
脹相『デキが良かろうと悪かろうと兄は弟の手本なんだ。』
『兄が道を誤ったのなら、弟はその道を避ければいい。兄が正道を歩んだのなら、弟は後をついてくればいい。』
出典: 呪術廻戦 16巻 第142話
加茂家相伝の術式「赤血操術」
出典: x.com
脹相は、呪術界御三家の一つである加茂家に相伝される術式「赤血操術」の使い手です。この術式は、自身の血液を自在に操るもので、汎用性が非常に高く、近接戦から中距離、遠距離まであらゆる間合いでその力を発揮します。
呪力変換による血液の無限利用
赤血操術は通常、大量の血液を消費するため、生身の人間が使用すれば失血死のリスクを伴います。
しかし、脹相を含む呪胎九相図の兄弟は、呪力を血液に変換できる特異体質を持つため、血液の消費を惜しまず長時間の戦闘を可能にしています。これにより、人間の術師では不可能な強みを得ています。
血液が持つ強力な毒性
出典: jujutsukaisen.jp
脹相の血液は呪霊の血も流れているため、他の生物に対して猛毒として作用します。
この血を体内に取り込んでしまうと即座に体が蝕まれ、ほとんどの者は戦闘不能に陥ります。この毒は反転術式による解毒にも時間を要するほど強力であり、虎杖悠仁のような特殊な耐性を持つ者でなければ、かすり傷ですら致命傷につながりかねません。彼の操る多くの技にこの毒効果が付随しています。
多彩な技の数々
脹相が操る技は、その応用力と破壊力において群を抜いています。
百斂(びゃくれん)
出典: x.com
血液を加圧し、限界まで圧縮する基本技です。
加圧された血は赤い血の玉に変化し、この玉が小さいほど圧縮されており、練度が高くなければ高圧縮できないことから、百斂の血を玉の大きさを見ればどれほどの赤血操術の使い手なのかを判断できます。
穿血(せんけつ)
出典: x.com
百斂で圧縮した血液を一点から解放し撃ち出す技で、端的に言うと直線上の対象を撃ち抜く血のレーザーであり、初速は音速を超え、高い貫通力を誇ります。
弱点として避けられてしまうと隙だらけになってしまいますが、一度避けられても、腕を振ることで周囲を薙ぎ払うように攻撃を軌道修正する様子も見られました。
超新星(ちょうしんせい)
出典: x.com
150年間術式と向き合い続けた末に習得した脹相オリジナルの拡張術式です。百斂で圧縮した血液を全方位に散弾のように撃ち出す広範囲攻撃で、回避が困難な強力な技です。
穿血ほどの威力はありませんが、攻撃範囲はかなり広く、百斂で大量の血の玉を作っておけば、さらに攻撃範囲を広げることも可能。汎用性が高い強力な技となっています。
苅祓(かりばらい)
血液をチャクラム状に圧縮し、投擲する技です。加茂憲紀も使用しますが、脹相のものは規模と威力が段違いです。
血刃(けつじん)
ナイフ状に輪郭を定めた血液をチェーンソーのように高速回転させ、殺傷力を高めて攻撃します。
血星磊(けっせいせき)
出典: x.com
血液を凝固させた弾丸を打ち出す技で、穿血ほどの威力も速度もありませんが、片手で圧縮し発射できることから不意打ちや牽制に適しています。
水浸しの環境でも使用できる利点があったり、大量の血をドームのように囲うことで相手の攻撃から防御することもできます。
赤鱗躍動(せきりんやくどう)
体内の血中成分を操作することで、身体能力を大幅に増幅させるドーピングのような技です。応用として、外眼筋の血流操作により動体視力を強化したり、体温を上昇させて凍った肉体を解凍したりすることも可能です。
赫鱗躍動・載(せきりんやくどう・さい)
出典: jujutsukaisen.jp
赤鱗躍動の出力を最大限まで高めた上位互換の技です。
翅王(しおう)
壊相の術式、「蝕爛腐術」の「極ノ番・翅王」を真似た技です。血で象った翅を背中に複数作り、穿血のように撃ち出した血に追尾機能を付与させています。
こちらも穿血ほどの威力も速度もありませんが、より広範囲に自由自在に追尾して攻撃することができます。
術式の弱点
出典: jujutsukaisen.jp
赤血操術は、術式効果を向上させるために血液の凝固反応をオフにしており、水に溶けやすいという弱点があります。水と混ざって血中成分が破壊されると血液としての性質を失い、操作が不可能になります。また、逆に血液を強く凝固させると威力が低くなるうえに、血栓症のリスクを伴います。
さらに、穿血などの高威力の技はある程度溜めないといけないことから、速い相手や近接戦が得意な相手には相性が悪く、苦戦を強いられてしまいます。
しかし、脹相は体内で血液操作を完結させる柔軟性や、呪力で血液を生成できる体質により、これらの弱点をある程度克服して戦うことが可能です。
虎杖悠仁との複雑な関係性
脹相の物語において、最も大きな転換点となったのが虎杖悠仁との出会いです。
「存在しない記憶」の真相
出典: jujutsukaisen.jp
渋谷事変にて虎杖と激しい戦闘を繰り広げ、虎杖にトドメを刺そうとした際、脹相の脳内に突如「存在しない記憶」が流れ込みます。それは、壊相や血塗ら兄弟と共に食卓を囲む幸せな光景であり、その中心には「兄ちゃん」と呼ぶ虎杖の姿がありました。
脹相の術式には、血の繋がった兄弟の危機を感じ取る「感応能力」が備わっています。虎杖を瀕死にまで追い詰めた際に、生物にとって最大の変化である「死」を目前とした虎杖から強烈な異変を感じ取ったことが、この記憶の引き金となりました。
これにより、脹相は虎杖が自身の血の繋がった弟であると確信します。
羂索が繋いだ血縁
虎杖と脹相の間に血縁があるという衝撃の事実は、羂索の存在によって明らかになります。加茂憲倫は肉体を乗り換える術式を持つ羂索の仮の姿であり、呪胎九相図を生み出した張本人です。
後に羂索は虎杖の母・虎杖香織の肉体にも宿っていたことが判明します。つまり、虎杖は羂索が生み出した存在であり、脹相も羂索がその血を混ぜて生み出した存在であるため、二人は兄弟関係にあると言えます。
出典: jujutsukaisen.jp
この事実を知った脹相は、弟たちの仇だと思っていた虎杖が血の繋がった弟であること、そして憎むべき羂索が虎杖を駒として利用し、兄弟同士を殺し合わせようとしたことに激怒します。
以降、脹相は虎杖の「お兄ちゃん」として行動を共にすることになります。
虎杖『脹相こそいいのか?俺はオマエの弟も殺したんだぞ。』
脹相『いい、アレは事故だ。壊相も血塗も俺の立場なら同じようにしたはずだ。』
『赦す赦さないじゃない、兄弟とはそういうものだ。』
出典: 呪術廻戦 16巻 第138話
脹相の作中での活躍
脹相は物語を通じて、その行動原理と立ち位置を大きく変えていきました。
渋谷事変での激闘と覚醒
出典: x.com
渋谷事変では、漏瑚や花御と共に五条悟の封印に協力しますが、弟の仇ではない五条との戦いには当初消極的でした。
しかし、虎杖悠仁と会敵した際には、弟たちの仇として激昂し、自身の術式を駆使して虎杖を追い詰めます。この戦いの最中に「存在しない記憶」を見て、虎杖が弟であると確信したことで、彼の運命は大きく変わりました。
その後、羂索の正体を知り、彼の悪辣な計画に怒りを覚えた脹相は、虎杖を守るために戦うことを決意します。
死滅回游での献身
渋谷事変後、脹相は自身の責務に押しつぶされそうな虎杖に寄り添い、共に呪霊退治に尽力します。
出典: jujutsukaisen.jp
天元のいる薨星宮に向かう道中では、呪術高専に保管されていた他の「呪胎九相図」の亡骸の気配を感じ取れるからこそ、天元への道を判別することができました。そして、弟たちを今の状況では回収できないことを理解し、「後で必ず迎えに来る」と約束します。
薨星宮では、天元護衛のために九十九由基と共に残り、そこに現れた羂索と対峙します。羂索から呪胎九相図の創造理由や自身の計画を聞かされ、激しい怒りを感じながらも、自ら囮となって羂索の術式を引き出すための尖兵となりました。重傷を負いながらも、獄門疆「裏」を確保して生還します。
九十九『脹相、”呪い”としての君はここで死んだ。』
『生きろ。』『今度は”人”として。』
出典: 呪術廻戦 23巻 第208話
この一連の戦いを通して、脹相はかつて自分が壊相と血塗に「呪いとして生きる道」を選ばせたことを後悔し、虎杖と出会ったことで「人として苦しみながら戦い生きる」ことの意味を見出し始めました。
彼の行動原理は、盲目的な兄弟愛から、より広い意味での「弟を守る」という献身的な姿勢へと変化していったと読み取れます。
宿儺との最終決戦と最期
生還を果たした脹相は、その後も虎杖悠仁の傍らで彼を支え続け、宿儺(すくな)との最終決戦である「人外魔境新宿決戦」にも参戦します。
虎杖を支え、共に戦う
宿儺との激戦で、虎杖と日車寛見が戦う中、日下部篤也や猪野琢真と共に加勢に入ります。
宿儺の圧倒的なスピードと攻撃力に翻弄されながらも、虎杖に反転術式の運用を促したり、百斂で圧縮した自身の血を渡して穿血を発動させるなど、兄としての最大限のサポートを果たします。
「ありがとう、悠仁」
出典: jujutsukaisen.jp
宿儺の強力な領域展開と最終奥義「竈(カミノ)」の爆炎が虎杖を襲った際、脹相は血星磊で作ったドームで虎杖を守り抜きました。その身は炎に焼かれ、崩れゆく中で、彼は虎杖との精神世界で対話します。
弟をまた独りにしてしまうことを謝罪し、そして、壊相・血塗と乗り越えた150年と、虎杖と過ごした数日が同じであったことを悟ります。
脹相『悠仁、すまないな。オマエをまた一人にしてしまう。』
虎杖『そんなこと考えてたのか?』『……一番しんどい時、隣りにいてくれたろ。それだけで十分だ。』
脹相『そうか……。俺たちの150年は悠仁にとってあの数日だったのか。』
『ありがとう、悠仁。俺の弟になってくれて。』
虎杖『……ありがとう。兄貴。』
脹相は、かつて存在しない記憶の中で見た、兄弟たちと食卓を囲む温かい場所で、虎杖や壊相、血塗と話し、虎杖に礼を伝え、最期を迎えました。その死は、虎杖にとって「正しい死」や「歯車の精神」について深く考えるきっかけとなったと読み取れます。
最終決戦後、東堂葵や猪野琢真といった高専術師たちも彼の死を惜しんでおり、彼は「呪い」としてではなく「人」として受け容れられ、その生を貫き通したと言えるでしょう。
呪術廻戦モジュロでの脹相
モジュロでは登場せず、しかし…
宿儺との戦いの最中で亡くなってしまったことから、宿儺との戦いから68年後である『モジュロ』の物語でも登場はしませんでした。しかし、68年後の成長した虎杖のセリフの中に、脹相を思わせるセリフがありました。
それは、シムリア星人のマルが、これから地球人とシムリア星人のいざこざを抑えるためにはどうすれば良いのかを考えた結果、「呪霊の生まれない世界」を作ること決意し、それを虎杖に伝えた場面です。
マル『呪霊の生まれない世界を作りたい。』
虎杖『……それは。……俺の兄貴が世話になった人の悲願なんだ。』
出典: 呪術廻戦≡モジュロ 第21話
68年経った世界でも”兄貴”と呼んでおり、虎杖の中にはまだ脹相への想いは残ったままでした。
読者からの評価と影響
脹相は、当初こそ謎の多いキャラクターでしたが、渋谷事変終盤以降は読者からの絶大な支持を得て、屈指の人気キャラクターとなりました。
人気投票と名言の数々
『呪術廻戦』の公式人気投票では、初登場時の第1回こそ30位以下でしたが、第2回では7位、第3回では10位、第4回では6位と、常に上位にランクインするほどの人気を誇ります。
バレンタインのチョコ数ランキングでも、作者の芥見下々先生が「誰かにチョコをあげるならコイツかな」とコメントするほど、読者と作者双方から愛される存在です。
出典: jujutsukaisen.jp
そして、彼の人気を語る上で欠かせないのが、数々の名言・迷言です。
脹相『どけ!!!俺はお兄ちゃんだぞ!!!』
『全力でお兄ちゃんを遂行する!!』
特にこのようなセリフは変なセリフにも関わらず、本人は至って真面目に言っていることからシュールな笑いを提供したことで、SNSでも大きな話題となり、作品を知らない層にもその存在を知らしめました。
シリアスな展開の続く作品の中で、彼の人間味あふれる「お兄ちゃん」としての言動は、読者の精神安定剤のような役割を担っていたのかもしれません。
炭治郎との共通点
作者の芥見下々先生自身も、「油断すれば炭治郎になる」と発言するほど、『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎との共通点が多いと指摘しています。
家族愛と長兄としての強い自覚、そして血液や身体能力を操作する技術など、両者に共通する要素は多く、脹相が「お兄ちゃん」として描かれる上で影響を受けている可能性も考えられます。
まとめ
脹相は、人間と呪霊の混血という特異な生い立ちを持ちながら、弟たちへの純粋で盲目的な愛情を原動力に生きるキャラクターでした。当初は呪霊側の戦力として登場し、虎杖悠仁の敵対者でしたが、自身の「感応能力」と「存在しない記憶」を通して虎杖との血縁を知り、その関係性は大きく変化しました。
渋谷事変や死滅回游を経て、彼は自らの過ちを悔い、虎杖を守り、彼と共に戦う「お兄ちゃん」としての道を選びました。そして、宿儺との最終決戦において、最愛の弟を庇って命を落とすという壮絶な最期を迎え、その遺志は虎杖悠仁の心に深く刻まれることとなります。
脹相の存在は、『呪術廻戦』という物語に、血縁や出自を超えた「家族」の絆、そして「人として生きる」ことの尊さを深く問いかける、重要なテーマを提供したと言えるでしょう。彼の狂気と優しさ、そして一貫した兄弟愛は、多くの読者を魅了し、作品をより深く楽しむための重要な要素であり続けました。
































記事の間違いやご意見・ご要望はこちらへお願いします。