本記事では、『呪術廻戦≡モジュロ』第8話『ドゥーラ・ヴァル・ボビディ・メチカ(前編)』のあらすじ、主要登場人物、そして作品世界に深く関わる謎や考察について詳しく解説します。
本記事では、呪術廻戦本編の単行本最新巻と『呪術廻戦≡モジュロ』第8話までのネタバレを含んでいるのでご注意ください。
目次
第8話のあらすじ
マルとクロスの過去
第8話は、マルとクロスの過去回想の前編となっています。
故郷と親を亡くしたマルとクロスが盗みを働き、牢に入れられていたところにドゥーラという大人がお灸を据えて、「運河を作る手伝いをしろ」とマルとクロスに頼みます。
ドゥーラと運河
運河を作る理由として、マルとクロスたち「ルメル族」と他の部族の「デスクンテ族」との交易のために運河を作ることになっています。
しかし、ルメルが神聖視している動物「カリヤン」はルメルを襲わないものの、他の部族を襲うためにカリヤンを滅ぼすべきだと主張されていたのをルメルは拒否しました。だからこそ、ルメルは故郷を追われ、両親は殺されてしまっています。
運河の場所はカリヤンの棲家だから、マルとクロスたちルメルが運河を作らなければならない。それに対し、クロスはなぜ他の部族のためにそんなことをしなければいけないのかと憤っていました。
しかし、ドゥーラは「やられてもやり返しちゃ駄目なんだ」と、共存共栄について、よき隣人として繁栄していこうと努力していました。
運河の完成、しかし…
運河を作るのに反対しているルメルの者に妨害され、一緒にされたくないからとクロスも手伝い、3人で運河を作るのを頑張っていたところに、村をあげて運河計画を進めるようにもなり、順調に運河は作られていきます。
そして、運河は完成し、ルメルとデスクンテは運河で繋がりました。
デスクンテから港湾施設を作ってほしいと依頼が来て、いよいよ交易が再開する、これから這い上がるだけ、しかしその時、カリヤンがデスクンテ族長の娘を喰い殺してしまったという悲劇が伝えられ、第8話は幕を閉じます。
主要キャラの動向と考察
クロスとマル、ドゥーラとの出会い
当時の二人は現在のクロスと同様に尖った態度を見せていましたが、ドゥーラという人物が持つ力に惹かれ、次第になついていきました。この時期のマルは現在の雰囲気と大差ないものの、クロスは今と比べてはるかに柔らかい態度であったことが描写されています。
ドゥーラに負かされた後は素直に言うことを聞くようになり、その怪力に目を輝かせる姿が印象的でした。しかし、この「男の子らしさ」として規定しない描写には、作者のバランス感覚が反映されていると考えられます。
ドゥーラが説く「よき隣人」の教え
ドゥーラは、運河建設を通じて「共生」の理念をクロスとマルに教え込みました。彼の教えは、隣人との関係性を築く上での重要な観念であり、マルが本編で呪詛師に語った「隣人」の定義は、この幼少期の経験から培われたものとされています。クロスもまた、この教えを知っていたからこそ、真剣の言葉に心を動かされたと推測されます。
ドゥーラによる分かりやすい運河講座は、水の重要性を改めて認識させ、前回憂花と川について話していた場面と文脈が繋がります。彼は自身の指導力を過信せず、頼れる大人がいればその人に頼るという謙虚な姿勢も見せてました。
運河建設に当初反対していた人々も、ドゥーラたちの努力と目的を認め、最終的には水路を掘る力を貸すことになります。これは、共生を目指す上で人々の理解が広がる過程を描いたものでした。
また、「作るより壊す方が簡単」という言葉は、前回憂花が語った「人を憎むのも人から奪うのも簡単」という言葉とほぼ同義であり、クロスが一時的に簡単な選択肢を拒む側に回っていたことを示唆しています。ドゥーラが最初に謝罪することで「よき隣人」としての姿勢を示し、「理解できない」と語っていたクロスが「心」で理解するに至る変化が描かれました。
故郷を襲った悲劇
運河開通の宴で起きた衝撃の事件
出典: x.com
運河が無事開通し、ルメル族とデスクンテ族の交易再開を祝う宴が催される中、突如として悲劇が起こります。デスクンテ族長の娘がカリヤンという動物に喰い殺されるという衝撃的な事件が発生しました。
この事件は、直前に語られたジャバロマが過去に娘を殺されていたという話と重なる内容であり、複雑な背景を予感させます。デスクンテ族は大きなツノが特徴であり、本編に登場するダブラがデスクンテの末裔か、あるいはルメル族との混血である可能性もあります。
ジャバロマについて
出典: www.youtube.com
今回の事件は、ジャバロマと深い関連がある可能性が示唆されています。ジャバロマは宇佐美との挨拶時には底知れない印象でしたが、娘が死んだという情報と「10年……長かったですね」という独白によって、一気に人間味が増しました。
彼が過去に娘を失った経験があることから、今回の事件が彼の怒りを再燃させ、デスクンテ族への報復に繋がる可能性も考えられます。
父が握っていた石の伏線
マルとクロスの父が死ぬまで握り込んでいた石の存在も、重要な伏線として提示されています。
クロスの「今となっても~疑うことがある」という独白は、この石が原因で既に何か重大な事件が発生しており、それが現在のクロスに大きな影響を与えていることを示唆しています。今回の事件が、現在のクロスが持つ共生への複雑な感情や、彼の現在の態度に繋がる大きな要因となったことは間違いありません。
まとめ
『呪術廻戦≡モジュロ』第8話「ドゥーラ・ヴァル・ボビディ・メチカ(前編)」は、クロスとマルの幼少期と、彼らの故郷を襲った悲劇を描く重要な回となりました。
幼少期のクロスとマルは過酷な環境で盗みを働き、尖った態度を見せていた双子が、ドゥーラとの出会いを通じて「共生」の理念を学び、運河建設を通じて「よき隣人」となることの重要性を説き、人々の理解と協力を得る過程が描かれました。
これが現在のクロスが「共生」に強く反応する理由や、マルの「隣人」観念に繋がっています。
そして、運河開通の宴の最中に発生した、デスクンテ族長の娘がカリヤンに喰い殺される事件は、物語の転換点となりました。この事件は、ジャバロマの過去の経験と重なり、マクロス兄弟の父が握っていた石の伏線と共に、今後の展開に大きな影響を与えることが示唆されています。
この過去編は、現在のキャラクターが抱える問題や葛藤の深層を理解するための鍵となるでしょう。次話以降で、この悲劇がどのように現在の状況に繋がっていくのか、その真相が明かされることが期待されます。




















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