命の危機を免れた男は、そのまま地面に叩きつけられる。 「あ…あ…あぁ…」 そう、それは一本の剣であった。見紛うこともない。広げられた翼を象った鮮やかな蒼色の鍔に、聖遺物が彫られた神々しい輝きを放つ白銀の刀身は、伝説に語り継がれる最強の武具───男が憧れ続けた退魔の剣そのものであった。 それを手にしモリブリンを圧倒しているのは、一人の少年であった。整った顔立ちに、陽光のように鮮やかな金髪、噂に聞く天才少年騎士リンクだ。 男は一瞬にして、彼が見せる華麗な剣技に釘付けとなった。地面に這いつく...
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命の危機を免れた男は、そのまま地面に叩きつけられる。
「あ…あ…あぁ…」
そう、それは一本の剣であった。見紛うこともない。広げられた翼を象った鮮やかな蒼色の鍔に、聖遺物が彫られた神々しい輝きを放つ白銀の刀身は、伝説に語り継がれる最強の武具───男が憧れ続けた退魔の剣そのものであった。 それを手にしモリブリンを圧倒しているのは、一人の少年であった。整った顔立ちに、陽光のように鮮やかな金髪、噂に聞く天才少年騎士リンクだ。 男は一瞬にして、彼が見せる華麗な剣技に釘付けとなった。地面に這いつくばったまま、戦いから目を離せなかった。 軽やかな動きがモリブリンを翻弄し、男を苦しめた蹴りも拳も全くとしてリンクに命中することはない。それどころか、攻撃後のわずかな隙に、リンクは目にも止まらぬ速さで連撃を叩き込む。 男とその同僚を蹴散らした黄金のモリブリンは、一瞬にして討伐された。
「ま、待ってくれ!!」
血塗れの口から思わず咄嗟に言葉が出た。リンクが水晶のような澄んだ目でこちらを振り向いた。
「……それは…その剣は……俺の、俺のものだ…俺が、握るはずの…な、なのに、なんで……」
まともに口が動かない中、気づけば男は誇りも品もない醜く惨めな言葉を口にしてまっていた。自分こそが退魔の剣を振るうことになると、心から信じていたからこその言葉であった。 二人の間に沈黙が広がる。その時、沢山の人の声が辺りから聞こえるのに気がついて、リンクと共に援軍が来たんだと、男は初めて理解した。 それでも、命が助かったことへの感慨も、己の口から出た醜い言葉への羞恥も、男は感じなかった。 今はただ、目の前の剣から目を離せなくて、そして───
「大丈夫ですか!?」
背後から突然声をかけられる。
「酷い傷だ…でも、大丈夫!きっと助かりますからね。」 援軍と共に駆けつけた衛生兵が、男の元へ駆け寄ったのだ。 安心したのか、リンクは残りのモリブリンを殲滅すべく走り去っていく。
「ま、待ってくれ…!それは、それは…!」
動揺しながらも手を伸ばし、尚惨めな言葉が口から漏れ出す。男のことを気にも留めず遠ざかっていくその背中を、彼は薄れゆく意識の中でただ見つめることしかできなかった。
世界が逆転した。刹那、モリブリンが右足を蹴りあげ、男の体を吹き飛ばしたのだ。 流石黄金種だけあり、その蹴りの重みは桁違いであった。体のどこかが折れてしまっただろうか。妙な感覚が全身を襲った。 だが、痛みだけは感じなかった。それはきっと、限界まで奮い立った脳が、余分な情報を感じとるまいとしていたからだろう。 ボロボロの体を無理矢理起こす。なぜ立っていられるのかも不思議な程の重症。それでも男は諦めない。諦める訳にはいかない。 「…だから、だから俺は…」 再び、手の中にある重い鉄の塊を...
世界が逆転した。刹那、モリブリンが右足を蹴りあげ、男の体を吹き飛ばしたのだ。 流石黄金種だけあり、その蹴りの重みは桁違いであった。体のどこかが折れてしまっただろうか。妙な感覚が全身を襲った。 だが、痛みだけは感じなかった。それはきっと、限界まで奮い立った脳が、余分な情報を感じとるまいとしていたからだろう。 ボロボロの体を無理矢理起こす。なぜ立っていられるのかも不思議な程の重症。それでも男は諦めない。諦める訳にはいかない。
「…だから、だから俺は…」
再び、手の中にある重い鉄の塊を構えた。自分の中に残る全ての力を総動員させ、今一度走り出す。
「…こんなところで…!!」
モリブリンがまた、満身創痍な男の肉体を潰さんと拳を振り上げる。
「負ける訳は…!!」
切っ先を標的に向け、思いっ切り剣を押し出した。それがモリブリンの体を穿ち、貫き、勝利に導いてくれると信じて。
「いかねぇんだよ!!!」
だが、現実はどこまでも非情であった。 獲られた───そう刹那に理解した。このままでは、間に合わない。モリブリンの拳はいずれ男の体を潰すことになるだろう。 そう分かった瞬間、やけに冷静になった。拳が振り下ろされるまでの一瞬がとてつもなく長く感じられた。 ああ、自分は死ぬんだと、目の前の現実を理解しきった後、頭に浮かぶは在りし日の情景だった。 自分を支え、決断を信じてくれた同僚への謝罪も言うことなく終わってしまうのか、自分を笑顔で送り出してくれた両親にもう会うことはできないのか、数々の後悔が津波のように心に押し寄せた。それでも顔を伝うのは涙ではなく、薄汚れた泥と血で、なんとも言えないやるせなさに襲われる。 血のにじむような果てしない努力も、今、全てが無意味となる。あぁ、幼き頃から夢見ていた退魔の剣。その姿を、一度でいいから拝み見たかったものだ。 もう、どうにでもなってしまえ、そんな諦めに近い感情を抱いたその時─── 一筋の蒼い光が、モリブリンを貫いた。それの速さ、それの美しさはまるで流星のようで、それは星にも勝る神秘の輝きを放っていた。
男はその言葉の意味を理解した瞬間、サッと血の気の引く感覚に襲われた。 視線を前にやると、そこには黄金の体表に覆われたモリブリンが猛々しく咆哮を上げていた。 「嘘…だろ…?」 黄金モリブリン───白銀モリブリンを超える圧倒的なまでの肉体を誇るモリブリンの最上位種。 ライネルにすら匹敵するとされるその頑丈さから、近衛兵クラスの手練数人規模で討伐するのが一般的とされている。 だがしかし、男は今、それをたった一人で相手しなくてはならないのだ。 「…」 恐怖で震えようとする足を、無理矢理抑...
男はその言葉の意味を理解した瞬間、サッと血の気の引く感覚に襲われた。 視線を前にやると、そこには黄金の体表に覆われたモリブリンが猛々しく咆哮を上げていた。
「嘘…だろ…?」
黄金モリブリン───白銀モリブリンを超える圧倒的なまでの肉体を誇るモリブリンの最上位種。 ライネルにすら匹敵するとされるその頑丈さから、近衛兵クラスの手練数人規模で討伐するのが一般的とされている。 だがしかし、男は今、それをたった一人で相手しなくてはならないのだ。
「…」
恐怖で震えようとする足を、無理矢理抑え込む。耳元で血潮の脈打つ音が聞こえた。目の前の脅威に、体のあちこちが悲鳴を上げるのを感じる。 それでも黄金のモリブリンは止まらない。鮮血のような深紅の双眸で男を捉え、一歩、また一歩とこちらへ迫ってきていた。 覚悟を決めなければ。 「…俺は───」
男は両手に握る漆黒の大剣を構え、男は踏み出した。目の前の敵を討つがため、己の恐怖心に打ち勝つがため、男は駆ける。
「俺は───!!」
口から言い放たれる言葉は、己を鼓舞し、自らの恐怖を忘れさせるためのもの。 前へ踏み出される足はなおも加速し、風の如く疾駆する。
「退魔の剣に!!」
獲物の急接近を好機と見たか、モリブリンはその拳を大きく振り上げた。だが、いずれ振り下ろされるであろうその拳も、男にとってはもう恐怖ではなかった。
「選ばれる男なんだ!!!」
獲った───そう確信し、剣を力あるままに振り回す。その切っ先が、モリブリンの胴体を両断する、その筈だった。
「───あ」
第二章「退魔の剣に選ばれる男」 男が巧みに振るう近衛の両手剣は本来、集団戦には不向きなものであった。 その超重量は敵を断ち切る絶大な力を生み出すと同時に、持ち主の動きを鈍らせる枷ともなるのだ。故に、例えその強力な一撃を叩き込むことができても、その後には大きな隙が生まれ、敵に反撃の好機を与えてしまう。また、近衛装備に共通する特徴として、耐久性にも問題があった。 本来なら一対一の短期決戦に向いたその武器を、集団戦においても問題なく運用できているのは、間違いなく男の絶え間なき努力によるもの...
第二章「退魔の剣に選ばれる男」
男が巧みに振るう近衛の両手剣は本来、集団戦には不向きなものであった。 その超重量は敵を断ち切る絶大な力を生み出すと同時に、持ち主の動きを鈍らせる枷ともなるのだ。故に、例えその強力な一撃を叩き込むことができても、その後には大きな隙が生まれ、敵に反撃の好機を与えてしまう。また、近衛装備に共通する特徴として、耐久性にも問題があった。 本来なら一対一の短期決戦に向いたその武器を、集団戦においても問題なく運用できているのは、間違いなく男の絶え間なき努力によるものだった。図太き二の腕の筋肉は刀身を軽々と持ち上げ隙も生み出さず、鍛え抜かれた剣技は、剣への負担を最小限に、最大限の威力を発揮することを可能にしていた。
「…ッ!くたばりやがれっ!この…デカブツがぁ!!!」
また一体、漆黒の剣先によりモリブリンが切り伏せられた。 すかさず、男の背後から別のモリブリンの拳が振り下ろされる。振り向く暇もない。男はすぐさま横へ跳び攻撃を回避、その後振り返りざまに刀身をモリブリンの拳へ叩きつけた。 硬い音がしたあと、モリブリンはぎえぇ、と苦悶に歪んだ声を上げ、砕けた拳をもう一方の手で痛々しそうに抑える。 男はその隙を見逃さず渾身の突きをモリブリンに喰らわせる。その威力に、さすがの巨体も吹き飛ばされ、仰向けの状態で地面を滑っていった。 吹き飛ばされたモリブリンを追いかけるように男は全力疾走で距離を詰める。 最後に両足で地面を蹴り高く跳躍すると、重力に乗せて剣を仰向けのモリブリンの胸元に突き刺した。
「はぁ…ッ!はぁ…ッ!」
度重なる戦闘での消耗から、呼吸が荒くなる。だがしかし、男は同僚との共闘の末、既に当初の半分近くのモリブリンを殲滅することに成功している。 さらには、両者共にここまで致命的な攻撃を受けずに戦えてきているのだ。
「このまま行けば───やれる!」
確信したその時、突如として男の足元に同僚が転がり込んできた。
「ぐっ…クソッ…」
同僚の泥まみれの制服には、赤黒い鮮血が滲み出ていた。
「おまっ…どうして…!」
突然のことに理解が追いつかない。
「舐めていた…この群れに…いたのは…白銀種だけじゃぁ…なかったんだ…!」
ご覧頂きありがとうございます。感想まで述べていただけるとは本当にありがたいばかりです。
語彙が豊富とはこれまた嬉しいお言葉ですね。人並み以上に読書をしていたり、学校での国語科の成績が良かったりということはございませんが、日記を書くなど常日頃から言葉で表現する機会が多かったのが形になったのかもしれません。 お恥ずかしながら詩人ではございません…生憎言葉を生業にできるほどの表現力は持ち合わせていないものでして。
───コモロ駐屯地へと襲来する魔物の大群に、戦いは混沌を極めていた。血と泥に塗れた激戦の渦の中、男は非情な現実を目の当たりにすることとなる。─── 激動と絶望の第二章「退魔の剣に選ばれる男」は明日投稿予定です。
そう言って頂けると非常にありがたいです。 原稿が書き上がっている今となってはメモアプリの文章をコピー&ペーストするだけの作業なので、随時更新していく予定です。
ガーディアン装備と古代兵装が一番好きです。両者共に他の武器とは一線を画す奇抜なデザインが非常に良い。ガーディアン相手の青い閃光のようなエフェクトやギラりと輝く刀身が爽快感を駆り立ててくれます。
デザインだけで言うのならシーカー族の武器の洗練された無駄なきデザインもまた好みですね。残心の太刀と風斬り刀、護心の盾は耐久移植してまで愛用しています。
istであらかじめハイリアの盾を引きつくことでフラグがバグるそうで
青バフ付きのは出たんですけど、黄色までは程遠いですかね?
99.91%で残りマズラ橋で100%になりました。橋には名前がある!
そうかそうか
どうやって木の枝で倒すのですか。
マジでクソこれほんまいらん
ウルフリンクほしいよーーーー^^ーーーーー
4つ射抜いても祠が出ません…どうゆうことですか?
この料理は実在しないのでは?
すんなり勝てた
いいえ、自由度はかなり高いとをもいます
なるほど?
馬が死んじゃって泣きそうになってたから良かった~
後二体いないんだけど
売り値としてパリッセにあげてできるルビー、サファイア、 トパーズの交換値を入れたらいいのでは
にわか
1番最後で、ライネルの火の矢でゲームオーバー。 1番最後のステージ、古代矢が残っている場合は、ステージに降りたってス...
説明が無能過ぎてお腹よじれる
ラッシュが上級者向けなのは意味不明
ブレワイですか
ド根性ガケとドクロ池の間にいるライネル表示されてなくない?
本記事の内容は攻略大百科編集部が独自に調査し作成したものです。 記事内で引用しているゲームの名称、画像、文章の著作権や商標その他の知的財産権は、各ゲームの提供元企業に帰属します。 ©2017 Nintendo
命の危機を免れた男は、そのまま地面に叩きつけられる。
「あ…あ…あぁ…」
そう、それは一本の剣であった。見紛うこともない。広げられた翼を象った鮮やかな蒼色の鍔に、聖遺物が彫られた神々しい輝きを放つ白銀の刀身は、伝説に語り継がれる最強の武具───男が憧れ続けた退魔の剣そのものであった。
それを手にしモリブリンを圧倒しているのは、一人の少年であった。整った顔立ちに、陽光のように鮮やかな金髪、噂に聞く天才少年騎士リンクだ。
男は一瞬にして、彼が見せる華麗な剣技に釘付けとなった。地面に這いつく...
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世界が逆転した。刹那、モリブリンが右足を蹴りあげ、男の体を吹き飛ばしたのだ。
流石黄金種だけあり、その蹴りの重みは桁違いであった。体のどこかが折れてしまっただろうか。妙な感覚が全身を襲った。
だが、痛みだけは感じなかった。それはきっと、限界まで奮い立った脳が、余分な情報を感じとるまいとしていたからだろう。
ボロボロの体を無理矢理起こす。なぜ立っていられるのかも不思議な程の重症。それでも男は諦めない。諦める訳にはいかない。
「…だから、だから俺は…」
再び、手の中にある重い鉄の塊を...
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男はその言葉の意味を理解した瞬間、サッと血の気の引く感覚に襲われた。
視線を前にやると、そこには黄金の体表に覆われたモリブリンが猛々しく咆哮を上げていた。
「嘘…だろ…?」
黄金モリブリン───白銀モリブリンを超える圧倒的なまでの肉体を誇るモリブリンの最上位種。
ライネルにすら匹敵するとされるその頑丈さから、近衛兵クラスの手練数人規模で討伐するのが一般的とされている。
だがしかし、男は今、それをたった一人で相手しなくてはならないのだ。
「…」
恐怖で震えようとする足を、無理矢理抑...
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第二章「退魔の剣に選ばれる男」
男が巧みに振るう近衛の両手剣は本来、集団戦には不向きなものであった。
その超重量は敵を断ち切る絶大な力を生み出すと同時に、持ち主の動きを鈍らせる枷ともなるのだ。故に、例えその強力な一撃を叩き込むことができても、その後には大きな隙が生まれ、敵に反撃の好機を与えてしまう。また、近衛装備に共通する特徴として、耐久性にも問題があった。
本来なら一対一の短期決戦に向いたその武器を、集団戦においても問題なく運用できているのは、間違いなく男の絶え間なき努力によるもの...
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ご覧頂きありがとうございます。感想まで述べていただけるとは本当にありがたいばかりです。
語彙が豊富とはこれまた嬉しいお言葉ですね。人並み以上に読書をしていたり、学校での国語科の成績が良かったりということはございませんが、日記を書くなど常日頃から言葉で表現する機会が多かったのが形になったのかもしれません。
お恥ずかしながら詩人ではございません…生憎言葉を生業にできるほどの表現力は持ち合わせていないものでして。
───コモロ駐屯地へと襲来する魔物の大群に、戦いは混沌を極めていた。血と泥に塗れた激戦の渦の中、男は非情な現実を目の当たりにすることとなる。───
激動と絶望の第二章「退魔の剣に選ばれる男」は明日投稿予定です。
そう言って頂けると非常にありがたいです。
原稿が書き上がっている今となってはメモアプリの文章をコピー&ペーストするだけの作業なので、随時更新していく予定です。
ガーディアン装備と古代兵装が一番好きです。両者共に他の武器とは一線を画す奇抜なデザインが非常に良い。ガーディアン相手の青い閃光のようなエフェクトやギラりと輝く刀身が爽快感を駆り立ててくれます。
デザインだけで言うのならシーカー族の武器の洗練された無駄なきデザインもまた好みですね。残心の太刀と風斬り刀、護心の盾は耐久移植してまで愛用しています。