アニメ『薬屋のひとりごと』第43話「祭り」――猫猫は“狐の里”で開かれる祭りに参加します。そこで浮かび上がる、子翠や響迂(キョウウ)、“シェンメイ様”の謎。そして飛発をめぐる疑惑とは? 複雑に絡み合う伏線を、感想を交えてわかりやすく解説します。
※本記事には、アニメ第2期の最新話に関するネタバレが含まれています。ネタバレが大丈夫な方のみご覧ください。
目次
第43話『祭り』の感想|猫猫らしさ全開と不穏な空気
アニメ「薬屋のひとりごと」第43話『祭り』は、幻想的な祭りの描写、子翠と翠苓を交えた女子会のような和やかなムードから始まります。
ですが、その裏では数々の人物と伏線が複雑に絡み合い、物語は大きく動き出していたのです。
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猫猫らしさ全開! 薬や毒が大好き
第43話は、囚われの身のはずなのに、猫猫らしさが発揮された回でした!翠苓(スイレイ)との掛け合いでは、なんと「蘇りの薬」のレシピをねだる一幕も。
人質であることを忘れ、薬への尋常ならざる執着を見せる彼女に、思わずクスッと笑ってしまったファンも多いはず。
他にもおもしろかったのが、蛙の串焼きを見た瞬間の彼女の「遠い目」。第36話のカエル事件を思い出したのでしょう。毒にはめっぽう強い彼女も、恋…そしてカエルはちょっと苦手みたいです。このギャップがたまりませんね。
美しくも不穏な祭りの風景
第43話の主な舞台は、幻想的な雰囲気漂う“狐の里”で開かれるお祭り。
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色鮮やかな提灯や狐のお面が並び、華やかで楽しげな光景が広がります。
しかし、そこはさすが「薬屋のひとりごと」。美しさの裏には、ゾクリとするような不穏な空気が漂っていました。「何かおかしい…」と思わせる巧妙な仕掛けが散りばめられていたんです。
子翠に隠された秘密! 彼女の正体は一体…!?
第43話では、子翠の明るい笑顔の裏に隠された、彼女の過去と秘密が垣間見えました。
子翠も「王母の血筋」?
お祭りで狐のお面をつける場面で、猫猫は子翠の「緑色の眦(まなじり)」に違和感を覚えます。
普通、眦(まなじり)は赤で塗るのが定番。しかし、子翠はそれを緑で染めていました。これは第40話『巣食う悪意』の子昌(シショウ)と同じく、「色覚異常」であることを表しています。つまり、「王母の血族」かもしれないということ。
さらに、 この里には緑の眦を描く人物が複数存在していました。このことから、色覚異常がこの集落に広く見られる特徴であるとわかります。
こうした描写は、子翠の出自や“狐の里”の謎に迫る重要な伏線なのかもしれません。
「ただその子を残すのみ」の意味
櫓の上で狐面が燃え盛る中、子翠が呟いた「虫は冬を越せない。ただその子を残すのみ」という言葉。
どこか寂しげで、深い意味を含んだこのセリフは、第34話『怪談』で子翠が語った“鈴虫をモチーフにした怪談”を思い出させます。この話の女性は、子を産むために相手を食べてしまう鈴虫のメスだったのではないでしょうか。
今回の”ただ子を残すのみ”という言葉と、”相手を犠牲にしてでも命をつなぐしかない”という怪談の内容――自分や相手を犠牲にしてでも、子を残すことだけを選ばざるを得ない切実さが表現されていたようにも思えます。
子翠もまた、そうした複雑な事情を抱えているのではないでしょうか。
母親という存在にトラウマ?
子翠の過去には、母親からの厳しいしつけや虐待があったことが明かされます。さらに、作中では堕胎剤としても知られる鬼灯を、「毒と知りつつ食べる」というシーンも。
こうした描写からは、子翠が“母親という存在”そのものに対して、拒否感やトラウマを抱えていることがうかがえます。
子を残すことしか許されないという思いと、母になることへの拒絶。第43話は、そんな彼女の複雑な心の内と境遇に迫る、胸が締め付けられるような回でした。
ついに現れた黒幕!?「シェンメイ様」と特使の謎
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第43話の後半、響迂の協力を得て、ついに猫猫は里の深部”使われていないのに夜に明かりが灯るという謎の倉庫”の中へ潜入します。
そこで彼女を待ち受けていたのは、異国の特使、そして、謎の女性「神美(シェンメイ)」との対峙でした!
夜も明かりが灯る倉庫の中には…
倉庫の中には、飼育された鼠や薬瓶がずらりと並んでいました。「蘇りの薬」をはじめとする薬物の研究や実験が行われていた痕跡も。
そして倉庫の奥で、猫猫は驚くべきものを目にします。それは――分解された“飛発(フェイファ)”の残骸や解体図だったのです。
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しかし、その直後、猫猫は絶体絶命のピンチに見舞われます。なんと、倉庫に人が入ってきたのです。その人物とは、今回の黒幕と目される神美と異国の特使でした。
響迂や翠苓が怯える“神美さま”
神美という女性に対し、響迂が露骨に怯えている様子が描かれています。
そんな神美の声を演じるのは、深見梨加さん。その演技が、彼女の底知れない怖さを一層際立たせているんです。
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派手な化粧に豪華な衣装や装飾品、そして長いべっこうのネイルキャップ……それらすべてが、さらに彼女の威圧感をより強く印象づけていました。
また、猫猫と響迂が隠れていた場所へ迷いもなく剣を向けたりする容赦のなさ。その姿からは、相手を痛めつけることすら楽しんでいるかのような、冷酷で残忍な一面がひしひしと伝わってきました。
気になる特使の存在
神美の傍らには、赤いイヤリングやネックレスを身につけた異国の特使の姿が。
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この特使は、第29話『月精』で皇帝を誘惑しようとした姶良(アイラ)と思われます。
そして、彼女が「飛発(フェイファ)」を持ち込んだ可能性も浮上。
ここで謎が残るのがもう一人の特使、愛凛(アイリーン)の存在。愛凛は、この事実を知っているのか。それとも、何らかの形で関わっているのか――いずれにせよ、今後の展開に注目です。
神美と特使の“取引現場”?
異国の特使とひそかに通じていた神美。
その姿からは、狐の里が単なる避難の地ではなく、“異国との取引現場”として利用されている実態が浮かび上がります。
第19話『偶然か必然か』と第35話『狩り』で描かれた皇弟・華瑞月暗殺未遂事件。前者では翠苓が関与したとされ、後者では飛発が使用されたことが明らかになっています。
――そして今、すべての糸が狐の里の神美へとつながり始めているのではないでしょうか。
やんちゃな「お坊ちゃま」響迂、陰謀の渦中へ
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第41話『狐の里』から登場した響迂は、何かと猫猫にちょっかいを出す、やんちゃで自由奔放な少年です。
しかし、そのあどけない姿の奥には、何かを抱えているような雰囲気があるのです。
響迂の両親はどこへ
響迂の両親は作中に登場していません。彼自身も「母さま、見ていてくれたらいいのに」と話しており、母親はすでに亡くなっているか、離れて暮らしているようです。
親族のいない環境で育ったのか、それとも家を継ぐ跡取りとして特別な扱いを受けてきたのか――。詳しいことはわかりませんが、どこか特別な事情を抱えているようにもみえます。
滅びゆく一族のお坊ちゃん?
響迂の言動からは、“裕福な家庭で育ったお坊ちゃま”といった印象を受けます。
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食器を片付けることなど使用人の仕事だ、と思っているような態度。さらに、「ばあや」や「侍女」がいるなど、金銭的に恵まれた家庭で育ったことを思わせる描写がありました。
しかし、猫猫が子翠に「いいところの坊ちゃんなんじゃないの?」と問いかけると、返ってきたのは「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」という意味深なひと言――どんな名家も、やがては滅びるという言葉です。
彼は、すでに滅びかけている家の子、もしくは狐の里全体の行く末を象徴する存在なのかもしれません。
そして子翠は、その未来をすでに悟っているようにも感じられます。
狐の里の陰謀に巻き込まれる
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第43話のクライマックスで、猫猫とともに倉庫の中にいた響迂は、恐ろしい神美に見つかってしまいました。
飛発のような危険物に加え、「蘇りの薬」の実験まで進められていた狐の里の闇に触れてしまった響迂。この出来事をきっかけに、彼もまた陰謀に巻き込まれていくのは間違いないでしょう。
今後、彼がどのように物語に関わっていくのか――猫猫との関係を含め、彼は今後の展開の鍵を握る存在となりそうです。
狐の里で始まった恐るべき計画、そして明らかになる真実の数々。猫猫たちを待ち受ける運命とは一体――。物語の核心へと突き進む、これからの展開にぜひご注目ください!
まとめ|第43話の感想や謎を解説しました!
第43話「祭り」は、美しい祭りの情景とは裏腹に、陰謀や秘密が交錯する緊迫の回となりました。
子翠や翠苓との女子会のようなひとときでは、猫猫の薬マニアぶりが全開で、ファンにはたまらないシーンが満載でしたね。
一方で、子翠が抱える過去や心の内、そして新たに現れたシェンメイの存在が、物語全体に張り詰めた空気をもたらしました。
これまで「囚われの身」だった猫猫も、いよいよ「事件の渦中」へと本格的に足を踏み入れることに。そして、数々の事件を引き起こしてきた翠苓さえ怯える神美に目をつけられてしまった猫猫たち。
果たして、猫猫はこの陰謀の核心にどう迫っていくのでしょうか。 次回からの展開も、絶対に見逃せません!
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