「薬屋のひとりごと」の壬氏(ジンシ)は、美貌の宦官(かんがん)として後宮に仕える人物。その正体には多くの謎が隠されています。アニメ第1期の情報をもとに考察します。
この記事には、アニメ第1期までの内容やネタバレが含まれます。問題ない方のみご覧ください。
目次
「薬屋のひとりごと」の壬氏とは?
壬氏は、美貌と知略を兼ね備えた謎多き宦官です。男女を惹きつける優雅な容姿と落ち着いた振る舞いの裏には、後宮に大きな影響を及ぼす計算高い一面が隠されています。
壬氏の基本情報
項目 |
情報 |
---|---|
年齢 |
公称24歳 |
性別 |
男性(宦官) |
一人称 |
「私」(公式の場)、本音では「俺」 |
特徴 |
美しい容姿・冷静な策略家・猫猫に執着 |
声優 |
大塚剛央 |
壬氏の声優
壬氏の声を担当するのは、声優の大塚剛央(おおつか たけお)さんです。2020年の第14回声優アワードで新人男優賞を受賞しました。
代表作は「【推しの子】のアクア役」などがあり、人気作品のキャラクターを演じています。
美しすぎる宦官
壬氏の美貌は、「天女のような顔立ち」「蜂蜜のように甘い声」「絹糸のようになめらかな髪」と称されるほど。男女を問わず人々を魅了し、もし女性であれば「傾国の美女」と呼ばれるほどの美しさです。
しかし、壬氏の美しさも猫猫(マオマオ)には通じず、冷たくあしらわれてしまいます。その冷たい態度は壬氏にとって新鮮でした。彼女から毛虫を見るような目で見られるたびに、なぜか悦びを隠しきれないのです。
壬氏の性格と純情な一面
壬氏は冷静で計算高い策略家ですが、猫猫に対しては嫉妬深く、純情な一面を見せることもあります。
計算高い壬氏の決断
壬氏は猫猫を玉葉妃(ギョクヨウヒ)の毒見役に抜擢しました。その理由は、ただ一つ。「使えるから」です。
彼は、相手を利用できるかどうかで判断する計算高い人物。猫猫の豊富な薬や毒の知識、そして後宮の事件を解決する才能を見抜き、半ば強引に彼女を妃の毒見役に指名しました。
また、玉葉妃の侍女不足という問題を解決するという政略的な狙いもあったのです。
猫猫に恋している?
当初、壬氏にとって猫猫は「使える存在」に過ぎませんでした。しかし、次第に彼女に惹かれ、気づけばその言動に一喜一憂するようになっていました。
そんな中、壬氏は猫猫に簪(かんざし)を贈ります。しかし、彼女が選んだのは別の男性、李白(リハク)の簪でした。さらに、李白とともに里帰りしたことを知った壬氏は、落ち込みながらも嫉妬心を隠しきれません。
李白に嫉妬するほど、猫猫は彼にとって“特別な存在”となっていたのです。自分の気持ちを持て余し、振り回される壬氏の姿が、物語の大きな魅力となっています。
宦官・壬氏としての立場と仕事
「薬屋のひとりごと」に登場する壬氏は、男性でありながら去勢されることなく、宦官として後宮に仕えている人物です。
後宮を支える宦官
宦官とは、去勢された男性が宮廷で仕える官職のことです。
宦官(かんがん)とは、去勢を施した、特に完全去勢を施された官吏をいう。古代から各文化圏に存在した。
出典: ja.wikipedia.org
後宮は基本的に男子禁制ですが、宦官だけは例外的に出入りを許され、女官や妃たちの生活を管理します。
「薬屋のひとりごと」の中では、壬氏や高順(ガオシュン)、やぶ医者のおっちゃんなどが後宮に出仕している宦官として登場します。
壬氏が宦官のふりをする謎
壬氏は通常の宦官とは異なり、去勢を受けていません。その代わりに「男でなくす薬」を服用し、宦官として後宮に仕えています。
しかし、なぜ彼はそこまでして宦官であろうとするのか。その理由は、彼の素性や後宮での立ち位置に深く関わっており、物語の重要な謎の一つとなっています。
壬氏の後宮での仕事内容
「薬屋のひとりごと」の壬氏は、後宮で特別な仕事や役割を果たす宦官です。
問題や事件を解決する
壬氏の主な仕事は、後宮で発生する問題や事件の調査・解決です。多くの妃や女官が暮らす後宮では、権力争いや人間関係のトラブルが絶えず、ときには命にかかわる事件も起こります。壬氏は、そうした問題をいち早く察知し、的確に対処していきます。
妃たちを試す「試金石」
妃は美しいだけ、教養があるだけでは足りない。帝に対しての忠誠心と、貞操観念がなければ。
出典: 薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 1巻(サンデー版)「第2話 媚薬」
壬氏には帝にふさわしい妃を選ぶという重要な役割があります。
本来、後宮は帝に仕える妃たちの神聖な場所ですが、中には壬氏のように美しい宦官に興味を持ち、部屋に誘う妃も。そこで壬氏は「試金石」として意図的に妃たちを試し、忠誠心があるかを見極めます。
もし帝以外の男性に心を寄せる妃がいれば、その情報を帝に報告し、適切な処置をとるのです。
壬氏の出生にまつわる事件と猫猫の推測
過去に、当時東宮だった皇帝の第一子が亡くなる事件が発生しました。この一件で、猫猫の養父・羅門(ルォメン)は重い刑を受けることになります。
さらに、この出来事には壬氏の出自に関する多くの謎が隠されていました。事件の真相を探る中で、猫猫が作中で立てた推測は、謎を解く重要な手がかりとなります。
壬氏と阿多妃の関係
猫猫は、後宮を去る阿多妃(アードゥオヒ)の姿を目にし、その容姿や雰囲気が壬氏によく似ていることに気づきます。そこから、二人の間には血縁関係があるのではないかと推測しました。
阿多妃と皇太后、同時期の出産
さらに猫猫が過去の記録を調べると、阿多妃と皇太后が同じ時期に出産していたことが判明します。
宮廷では皇太后の子が最優先です。阿多妃は我が子を守るため、皇太后が産んだ子とすり替えたのではないか──猫猫はその可能性にたどり着きました。
また、この入れ違いに気付けなかったからこそ、養父・羅門は後宮を追放されるだけではなく、肉刑まで受けたのではと考えたのです。
「いなくなった」の意味
息子が私のもとからいなくなってから、ずっと私は主上の友人だった。出典: 薬屋のひとりごと 3巻(サンデー版)「第12話 阿多妃」
阿多妃は、自らの息子について「死んだ」とは言わず、「私のもとからいなくなった」という表現を使いました。その微妙な言葉の違いに違和感を覚えた猫猫は、実は阿多妃の子どもが生きているのではないかと推測したのです。
壬氏の正体についての考察
猫猫の推測により、壬氏の正体に関する重大な可能性が浮かび上がります。そして、その背後には阿多妃の深い想いが隠されていました。
壬氏の本当の立場は皇弟?
もしこの推測が事実なら、壬氏は宦官ではなく、本来は皇弟という立場にあることになります。
さらに、宦官でありながら去勢されていない理由も、「皇弟だから」と考えれば納得がいきます。
壬氏を守るため?阿多妃の選んだ道
まさか淑妃に選ばれるとは思わなかったよ
お情けでやっていた飾りの妃を早く誰かに受け渡したかった
出典: 薬屋のひとりごと 4巻(ガンガン版)「第18話 阿多妃」
妃という立場になんの未練はないと語る阿多妃。しかし、そんな彼女がこれまで後宮に留まり続けた理由とは何なのか。
猫猫は、その理由が皇弟の微妙な立場にあるのではないかと考えます。阿多妃は、自分の子である壬氏を守るため、後宮に残り続けたのではないか──。そう考えると、彼女の行動にも納得がいきます。
猫猫の推測はどこまで真実か
猫猫の推測が合っているとすると、他の妃に男児がいない今、壬氏は皇位継承権第一位の東宮となりえる重要人物となります。
しかし、この推測には証拠がありません。猫猫自身も「ばかばかしいくらいの妄想だ」と評しています。
それでも、本当にただの妄想なのでしょうか。壬氏の立場、そして阿多妃の行動を振り返ると、すべてが偶然とは思えません。
まとめ
壬氏は、美しい容姿を持ち、冷静で有能な宦官です。しかし、猫猫に対しては驚くほど純粋で一途。そのギャップが、彼の魅力をさらに際立たせています。
また、彼は皇帝の弟かもしれないという立場にありながら、なぜ宦官として後宮にいるのか。その背景には、複雑な事情が隠されていそうです。
やがて明かされる彼の正体と恋の行方。最後まで目が離せません。
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