アニメ「薬屋のひとりごと」第45話『蠆盆』――拷問“たいぼん”で猫猫が見せた驚きの行動。そして、神美・翠苓・大宝・子翠(楼蘭)──“子の一族”に秘められた因縁の真相とは。物語が大きく動き出す第45話を、感想と考察を交えてわかりやすく解説します。
※本記事には、アニメ第2期の最新話に関するネタバレが含まれています。ネタバレが大丈夫な方のみご覧ください。
目次
第45話『蠆盆』の感想|猫猫の行動がすごすぎる!
猫猫は、響迂をかばって神美に逆らったことで、恐ろしい拷問「蠆盆(たいぼん)」に処されてしまいます。
翠苓ですら震え上がったという過酷な処刑法――それでも猫猫は、持ち前の行動力で立ち向かいました!
ついにキレた猫猫の「くそばばあ…!」
第44話で響迂は、砦から猫猫を逃がそうとします。
しかし、その行動がよりにもよって神美に知られてしまうのです。そして、関係者を拷問にかけようとする神美。
他人をいたぶることで快感を得ているかのような神美の態度に、猫猫はついに怒りをあらわにします。
「くそばばあ…!」
猫猫の怒りに共感する一方で、「そんなこと言って大丈夫!?」と心配した人も多かったのではないでしょうか。
かんざしが“調理器具”に!?
猫猫が蠆盆を受けるために連れ来られた、蛇や毒虫がうごめく場所。
見ているこちらもゾッとするような状況でしたが、猫猫には一瞬のためらいも見られません。簪(かんざし)をスッと抜き取り、「久々に見るとたまらないな」と笑みを浮かべるのです。
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蛇を簪でさばき、なんと炙って美味しく食べ始める猫猫。さらに、見張りの兵に「塩は持ってない?」と尋ねます。あまりの猫猫らしさに、思わず笑ってしまった人も多いのではないでしょうか。
猫猫が使った簪のひとつは、壬氏からの贈り物。それで猫猫が助かったと思うと、なんだか嬉しくなります。簪を贈ってくれて、そして守ってくれて――ありがとう、壬氏…!
猫猫にとっては楼蘭ではなく…子翠
猫猫が彼女を「楼蘭」ではなく「子翠」と呼んだのが、とても印象的だったと思います。
猫猫と再会した後の姿は、冷酷な楼蘭ではなく、猫猫の友人だったときの子翠そのもの。
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猫猫は、友人として共に過ごした「子翠」こそが、彼女の本当の姿だと確信したのでしょう。
ふたりの絆に心を打たれる、胸が熱くなるエピソードでした。
翠苓の出自をめぐる衝撃のシーン
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神美が翠苓の額に団扇を振り下ろし、流れた血を舐めながら「いくら高貴な血が流れていようと」「汚れた血がまじった」となじる場面。あまりにも異様で、思わずゾッとさせられました。
では、ここで言う「高貴な血」とは何を指しているのでしょうか。
翠苓の祖母は”あの女官”だった
子翠(楼蘭)の話では、翠苓の祖母は「先帝の最初の犠牲者で、産んだ子どもと引き離された女官」。
その女官とは、第34話『怪談』で登場した、怪談話を集めるのが唯一の楽しみだった「大宝」です。
彼女は後宮を出ることすら許されなかった存在でした。そして、第42話『鬼灯』のエピソードで彼女は神美に仕えていたことが明かされています。
この話を知ることで、第39話『氷菓』のラストで、翠苓が「大宝の墓」にお墓参りしていた理由もわかりました。彼女は、自分の祖母である大宝を弔っていたのですね。
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先帝の孫娘という出自
翠苓は、先帝の血を継ぐ大宝の娘と子昌との間に生まれた子ども。つまり、皇族の血を引く先帝の孫娘にあたります。
神美が言った「高貴な血」とは、この皇族の血筋を意味していたのでしょう。
しかし、そこに尊敬の念は一切ありません。むしろその出自こそが、神美にとって憎悪の対象だったと考えられます。
複雑な子の一族の家系について、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ!
神美という存在の裏にある屈辱
恐ろしく冷酷な神美。その残虐さは第45話でも際立っていました。
なぜ彼女がそこまで非常な人間になったのか――その理由が、少しだけ見えてきた気がします。
先帝に愛されなかった妃の屈辱
神美は先帝の妃でありながら、愛されることも子を授かることもありませんでした。
その一方で、侍女だった大宝が寵愛を受け、先帝の娘を出産。プライドの高い神美にとって、それは計り知れない屈辱だったことでしょう。
やがて神美は子昌のもとへ下賜され、そこでふたたび“大宝の血”と向き合うことになります。
自分の伴侶となる男のそばに、大宝やその子孫がいるという現実――積もった嫉妬と憎悪は、ついに肥大し、神美を“砦を支配する恐ろしい存在”へと変えていったのかもしれません。
翠苓母娘への執着と暴力
翠苓の母をいたぶり続けて死なせ、さらに翠苓にも虐待を繰り返す神美――その異様な振る舞いの裏には、過去に味わった深い屈辱があったのではないでしょうか。
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神美にとって翠苓は「憎らしい大宝と先帝の血を引く者」。
愛されることも、出世することもできなかった神美に残されたのは、相手をいたぶることでしか晴らせない怒りと屈辱だったのでしょう。
拷問すら“日常”に…神美による恐怖
楼蘭から「蠆盆(たいぼん)」を提案された際、「なら、今日はそれでいきましょうか?」と笑顔で応じる神美。拷問が日常的に行われていることがうかがえます。
さらに香や快楽を用いて女たちを支配し、逆らえない状況を作り上げているようです。その支配の象徴ともいえるのが、響迂の母と思われる女性の姿。
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目の前で息子が拷問にかけられそうになっても、無表情のまま――。その様子は、彼女が神美に服従していることを物語っています。
神美は、先帝や大宝という存在に翻弄されてきた人物なのかもしれません。しかしそれ以上に――彼女は、恐ろしく冷酷な支配者でもあったのです。
子翠が背負う“王母の血”と宿命
第45話では、子翠の生い立ちや背負わされてきた過酷な運命が、次第に明らかになります。
彼女が抱えてきた葛藤や逃れられない宿命の重さが、浮き彫りとなる回でした。
王母の血を継ぐための娘
神美が子昌と結婚した理由は、色覚異常の特性を持つ「王母の血」を引く子どもがほしかったから。
そして、子翠に対し帝の子を産んで、「新たな王母になればいい」と話していたようです。
神美にとって子翠は、かつて自分が叶えられなかった夢――皇帝に愛され、子を授かり、皇后として権力を握るという願いを叶えるための“道具”のような存在だったのでしょう。
鬼灯(ほおずき)が示す子翠の意思
第37話『湯殿』では、妊娠の噂がささやかれていた楼蘭である子翠。
しかし彼女は、堕胎薬の材料にもなる鬼灯を口にしていました。さらに、後宮で出回っていた堕胎剤の材料を自ら使っていたことを認めています。
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これは、母になることを拒む意思のあらわれだったのでしょう。
第34話『怪談』で子翠が語っていた鈴虫の話――「雌が雄を喰らう」という描写には、妃となり、やがて皇帝を“喰らう”しかない存在としての自分の姿を重ねていたのかもしれません。
彼女は、与えられた役割に抗うようにして、子供は「産まない」という選択を取り続けていたのです。
響迂は本当に死亡してしまったのか?
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第45話のラストでは、響迂と子供たちが“息のない状態”で描かれていました。
猫猫は「毒を飲ませたのか?」と子翠に問いかけますが、返ってきたのは「薬よ」という一言。
ここで“薬”と言い換えたことに、意味深なものを感じた人も多いのではないでしょうか。かつて翠苓が使用した“仮死状態になる薬”、いわゆる「蘇りの薬」が使われた可能性も考えられます。
響迂や子どもたちは、本当に亡くなってしまったのか。それとも、薬で深い眠りについているだけなのか。真相はまだ明かされていませんが、「どうか生きていてほしい」と願わずにはいられないシーンでした。
禁軍とは?
禁軍とは、皇族の身辺警護や軍事的な任務を担う特別な軍隊のことです。
この禁軍を動かすことができるのは皇族のみ、つまり現在の皇帝とその弟である皇弟(おうてい)だけが軍を動かす事ができます。
まとめ|アニメ第45話『蠆盆』感想と考察ポイント
アニメ「薬屋のひとりごと」第45話『蠆盆』では、猫猫が神美の怒りの矛先となった衝撃展開! しかし、“毒虫・蛇だらけの拷問”を、蛇を食べて乗り切るというとんでもない行動を見せてくれました。
そして、猫猫が楼蘭ではなく「子翠」と呼んだ瞬間――ふたりの絆の深さが伝わってきて、胸が熱くなります。
さらに明かされたのは、神美・翠苓・大宝・子翠という彼女たちの複雑な因縁。なかでも、神美の狂気の裏に隠された“先帝に愛されなかった妃”としての屈辱や、翠苓が先帝の孫娘だったという出自は衝撃的でしたね。
そして──なんと最終回まで、残りたったの“3話”!
この濃密すぎる展開が、あと数話でどう決着を迎えるのか…目が離せません!
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