『ゼノブレイド3』において、今作のテーマや物語、設定などについて考察しています。
『ゼノブレイドシリーズ』と『ゼノブレイド3』のネタバレを含む記事です。筆者の独自解釈や考察を含む内容となっていますのでご了承ください。
目次
記事全体にネタバレがあるので閲覧注意
今作のテーマ
今作のテーマは任天堂の公式ページにある「開発者に訊きました」というインタビュー記事や、「ゼノブレイド3」の公式ページにも書かれている「過去と未来をつなぐ、命の物語。」を見るとわかるように、「命」がテーマとなって物語が進んでいきます。
この10年という短い寿命の中で、自分はどう在るべきなのか、存在意義のようなものを物語の中で主人公たちは見つけ、それを自分の命を紡いだ者に想いや愛も紡いでいく、それが今作のテーマとなっています。
メビウスという存在
今作は「メビウス」が悪役です。その悪役としての役回りは、「ゼノブレイド」や「ゼノブレイド2」の悪役とはまた違った存在として語られました。
旧作との違い、否定
旧作との違い
「ゼノブレイドシリーズ」の悪共通の特徴として、「未来へ進ませない」ことを目的の主軸においています。
しかし、「ゼノブレイド」や「ゼノブレイド2」で登場する悪役は、絶対悪のようなものではなく、何かしら理由があって悪となってしまいました。その理由はそれぞれですが、特に「ゼノブレイド2」の悪役には悪役なりの正義があり、その考え方の違いで主人公たちとぶつかってしまうような悪役だったのです。
「ゼノブレイド」での悪役であるラスボスである「ザンザ」は「未来へ進ませない」ために立ちふさがります。
「未来へ進ませない」理由は、ビジョンを使って自身の都合の良い未来をコントロールし、ザンザ自身が神であり続けるためでした。
この世界は自分自身のためだけにあるというほどの傲慢さを持っており、ザンザの悪としての在り方は3のメビウスと似ていますが、ザンザは神そのものであり、世界を創り変えることができるほどの力を持っている強大な敵でした。
「ゼノブレイド2」での悪役である「シン」や「メツ」、「マルベーニ」は「過去に囚われた」悪役です。
悲劇によって過去に囚われ、方法は違えど、世界を滅ぼすことを選びます。「エギル」同様、シンたちの境遇や考え方に共感し、レックスたちより正しいと思ってしまってもおかしくないほど説得力がある、哀しき悪役でした。
そして、今作の悪役である「メビウス」もしくは「ゼット」は「永遠の今を維持したい」悪役です。
今までの悪役は感情はネガティブだったとしても、過去や未来に対して様々な想いがありました。
しかし、メビウスは過去や未来に感情はなく、ただ「今」だけが大事な敵であり、未来には自己の消滅があるかもしれないために未来を否定するということだけが目的です。だからこそ、未来へ進むことのできる人間たちを10年の寿命だけで戦わせ、メビウスの命の糧にするという世界を創ってその世界に閉じこもりました。
過去に同情するほどの悲劇もなく、未来は決まっていてそれを回避するために今を維持したい、というような大層な理由もなく、ただただ漠然と未来に対する不安な気持ちを具現化したのが「メビウス」なのです。
旧作の否定
メビウスの本質は「未来への恐れ」や「今を失うことの恐れ」で、それらはどのような人間にも近しい気持ちがあるため、どのような人でもメビウスになりうる存在として語られています。
「ゼノブレイド」での「モナド」は世界中の人々が一人ひとり持っている「光」で、その「光」をシュルクは「未来を切り開く力」として行使しました。そのため、「光」そのものの「モナド」と「心の闇」そのもののようなメビウスは真逆の性質を持っていることがわかります。
さらに、「ゼノブレイド2」でレックスが出した答えである「絶望の淵に立とうとも未来へ進み、自身たちの希望を次の世代へとつなぐ」は、メビウスの本質の「未来への恐れ」や「永遠の今の維持」と真逆の答えとなっているので、こちらも否定しています。
強者と弱者
今作のテーマの一つに「強者と弱者」があります。強者である「持つ者」はもちろん主人公であるノアたちで、弱者である「持たざる者」はシャナイアやヨラン、そして何よりゼットです。
不安しかない未来に恐れ、自身を弱者だとゼットは言っていますが、ノアたちはゼットが弱者だと自称することを完全に否定します。その否定は弱者のままでもいいよという甘えに厳しい解答となっています。
そして、シャナイアやヨランは自己肯定感が低く、自身が持たざる者として辛い環境にいると言っています。ヨランは偶然メビウスになり、シャナイアはロストナンバーズを裏切って10年のサイクルの中に救済を求めました。
「持つ者」のノアたちはウロボロスの力だったり、6人同士の仲間としての絆だったり、一般兵士に比べて恵まれている環境だと言えます。
「持たざる者」のシャナイアやヨランは特定の才能がありますが、戦いが中心のこの世界であまり優遇されない才能だったために、自身のやりたいこともできず認められず、ゼットにそそのかされてメビウスへなることを選択せざるを得ない状況に自身を追い詰めていってしまいます。
それは評価されない才能を活かすために今の世界を変えるというノアたちの一つの考えに繋がっています。この世界での弱者への救済は、ノアたちが直接的に救ってくれるわけではありませんでした。
終の剣について
今作でまだまだ謎となっている「終の剣」ですが、重要なポイントとして判明していることがいくつかあります。
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- 7人のノポンが7つの白鋼と7年の歳月をかけて作り上げたこの世に2つとない業物
- ウロボロスの力と「終の剣」を重ねることで、ゼットの理から外れることができる
- ケヴェスの女王の心とオリジンの物質が触れ合ったことで成ったもの
ここからは考察ですが、おそらく「終の剣」はケヴェスの女王の心が鍵となっているため、「モナド」由来のものということがわかります。
ですが、”鍵”はノアたちの内にもあるとニアが言っているため、これは「ゼノブレイド」の「モナド」でも語られていた、世界中の人々が一人ひとり持っている、人間の「光」という抽象的なものと同様のものということがわかります。
「終の剣」や「ウロボロス・ストーン」がケヴェスの女王の心によって誕生したことにより、それが始まりとして、それぞれの内にある「光」がそれぞれの「モナド」へと成ることなのかと考察しています。
消滅現象
「終の剣」同様、「消滅現象」もまだまだ謎となっている要素です。
「消滅現象」について分かるのはストーリーを見てわかる範囲で、”黒い霧”が濃い場所は消滅現象が発生しやすいというのと、インタリンクの限界時間を超えると消滅現象が発生するということです。
本当にわからないことが多く、消滅現象が発生している時の爆発のようなエフェクトは、「ゼノブレイド」でクラウスが”ゲート”を使って世界が改変されたときのエフェクトにも似ているし、「ゼノブレイド2」での聖杯こと「ヒカリ」や「メツ」が使っていた機能の”全てを消し去る能力”のエフェクトととも似ています。
この演出がただのオマージュなのか、伏線のようなものとしてあるのかは定かではありませんが、多少なりとも関係はありそうです。
ラストシーンでの不可解なこと
エンドロールのラストシーンにて不可解なことが起きています。そのシーンとは、「おくりびと」の旋律を聞いた子供ノアが、その旋律の方向へと歩いていくシーンです。
「おくりびと」の旋律が鳴っている方向へノアが歩いていくと、白い鳩がカメラの目の前を飛び去った後、ノアの姿が消えているのです。これはただ制作側のミスで消えてしまっているのかとも考えましたが、見て分かるくらいには消えているので必ず何か秘密があると思われます。
そもそも「おくりびと」と呼ばれる人々は元々の「ゼノブレイド」や「ゼノブレイド2」の世界にはおらず、あの「アイオニオン」だったからこそ存在する役職のようなものなので、あの「アイオニオン」がなかったことになった今、「おくりびと」は存在しないはずです。
ここからは妄想の域を出ないですが考察すると、ノアが消えた瞬間、別の世界へ飛んだのだと思われます。
その世界は私たちプレイヤーが知っている、ミオが存在しているあの「アイオニオン」が再び誕生しているのか、新たに誕生した世界なのか、考えうることは様々ありますが、今後のダウンロードコンテンツなどで明かされることを期待しましょう。
その他不明なこと
「ゼノブレイド3」にはまだまだ謎となっていることが存在しています。
例えば、「シティー」を作って最初のウロボロスとしてメビウスと戦った「六氏族」や、10年の寿命の縛りがない「ノポン族」の存在、「終の剣」を持っていたり「メリア」と少し関係がありそうな含みがあった「リク」、「終の剣」は上記の考察以外にもまだまだ謎が多かったりと、不明なことが多々あります。
上記のラストシーンでの不可解なことを含め、ダウンロードコンテンツで明かされるかもしれないことを期待しましょう。
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