約800年前、世界政府を創設した20人の王たち。「最初の20人」と呼ばれる彼らは、ジョイボーイの一団と対立した20の王国に関わる、物語の核心を握る存在です。
一人の独裁者を生まないという理念を示す「虚の玉座」。しかし、その玉座にはイム様が座り、世界政府の頂点に君臨しています。最初の20人は何を目指し、なぜジョイボーイと争ったのでしょうか。
20の王の家系や、19の王に由来する武器は一部が明らかになっています。一方、戦争が始まった具体的な原因や、王たち一人ひとりの目的は未判明です。
この記事では、作中で明かされた設定と、名称・神話・描写から読み取れる考察を分けながら、最初の20人に残された謎を整理します。
この記事は『ONE PIECE』単行本最新刊および、ジャンプ本誌最新話のネタバレを含みます。
最初の20人について判明していること・残された謎
まず、判明した設定と残された謎を整理すると、以下のようになります。
区分 |
内容 |
|---|---|
判明済み |
約800年前、20人の王たちによって世界政府が創設された |
判明済み |
ネフェルタリ家はマリージョアへの移住を拒み、ほかの19の王家は天竜人につながる |
判明済み |
虚の玉座は、一人の王が世界を独占しないという理念を表す |
判明済み |
その理念に反し、現在はイム様が玉座に座り、五老星が従っている |
判明済み |
19の王に由来する武器には、名称や使用者が明かされたものがある |
未判明 |
ジョイボーイの一団と20の王国が戦争を始めた具体的な原因 |
未判明 |
最初の20人全員の出身国・人物像・思想 |
未判明 |
19本すべての武器の名称・継承先・固有能力 |
示唆 |
イム様とジョイボーイには、過去から続く個人的な因縁がある |
考察 |
イム様がほかの王を扇動した説、エネルギー資源を巡って争った説など |
ここで注意したいのは、「最初の20人」と「マリージョアへ移住した19の王家」は、同じ人数ではないことです。
アラバスタのネフェルタリ・D・リリィも最初の20人の一人ですが、天竜人になる道を選びませんでした。そのため、20人全員が国を離れ、マリージョアへ移住したわけではありません。
また、「19の王の武器」という括りから、ネフェルタリ家にも同じ仕組みで扱える武器が存在するとまでは断定できません。
最初の20人の家系一覧
現在判明している最初の20人の家系と、その末裔は以下の通りです。
家系 |
末裔 |
|---|---|
ネロナ家 |
イム様 |
ネフェルタリ家 |
ビビ、コブラ、リリィなど |
ドンキホーテ家 |
ドフラミンゴ、コラソンなど |
シェパード家 |
ピーター聖、ソマーズ聖 |
リモシフ家 |
キリンガム聖 |
ここからは、各家系について詳しく解説します。
ネロナ家
出典: one-piece.com
現在判明しているネロナ家の人物はイム様のみ。
最初の20人の中には「ネロナ家のイム聖」という人物がいたと語られています。また、現在のイム様についても、ネロナ・イム聖という名が明かされました。
世界政府の頂点に立ち、虚の玉座に座る姿は、一人の独裁者を生まないという理念と矛盾しています。この矛盾が、世界政府の成り立ちに疑問を抱かせる大きな理由です。
ジョイボーイとは個人的な因縁が示唆されており、その後継者とされるルフィを危険視しています。
ネフェルタリ家
出典: one-piece.com
アラバスタ王家の家系であり、「D」の名を持つ一族です。現在生存しているのはビビのみ。そのほか、コブラ(死亡)、リリィ(消息不明)、ティティ(死亡)も登場済みです。
約800年前の女王リリィは、世界政府の創設に関わった最初の20人の一人。しかし、マリージョアへ移住せず、アラバスタにも戻らなかったとコブラは説明しています。リリィの弟が国を治め、その後の王家へとつながりました。
リリィの手紙や、ポーネグリフが世界へ散らばった経緯は、ネフェルタリ家と空白の100年を結びつける重要な手がかりです。また、アラバスタの地下聖殿には、古代兵器プルトンの在処を示すポーネグリフが残されていました。
直近の展開では、ビブロから、遥か昔のエルバフに「リリィ」という人間族の女性が住んでいたと語られています。
また、本来Dの一族と世界政府は敵対関係にあり、ポーネグリフを意図的に流布した疑いも持たれていることから、リリィが20の王国に加わったのはスパイ目的だったのではないかと疑惑が深まっています。
ドンキホーテ家
出典: one-piece.com
かつてドレスローザを治めていた王家です。マリージョアへの移住後は、リク王家がドレスローザを治めるようになりました。
現代ではホーミング聖が天竜人の身分を捨て、その息子であるドフラミンゴとロシナンテも下界で暮らすことになります。一方、ドンキホーテ・ミョスガルド聖のように、マリージョアで天竜人として登場した同姓の人物もいます。
20の王の家系には神の騎士団と五老星の家系が含まれていましたが、ドンキホーテ家に関しては特別な地位が与えられている描写はなく、一般天竜人と同等の階級にあると見られます。
一方で、ドフラミンゴだけは聖地の国宝の存在を知る人物として政府からマークされており、その情報と立場を利用して報道の改ざんすらも可能な立場にありました。
父親のホーミング聖や弟のコラソン(ロシナンテ)には、同様の描写がなかったことから、国宝の情報はドンキホーテ家に代々共有されていたのではなく、ドフラミンゴ本人が独自に入手した可能性が高いです。
シェパード家
五老星にはシェパード・十・ピーター聖、神の騎士団にはシェパード・ソマーズ聖が登場しています。
また、憤怒剣(グラム)はシェパード家に伝わる武器として説明されています。家名と武器の対応が明かされたことで、王家の歴史と現在の支配層をつなぐ手がかりになりました。
リモシフ家
神の騎士団のリモシフ・キリンガム聖が属する家系です。
聖命槍(ロンギヌス)がリモシフ家に伝わる武器として説明され、キリンガム聖が戦闘で使用しています。
一方、800年前にどの国を治めていたのか、その国にどのような歴史があったのかなどは、家名や武器名だけでは分かりません。
19の王の武器一覧
現在19の王の武器は10本判明済みです。これらの武器の所有権はイム様にありますが、各家系に1本ずつ受け継がれています。
この19の王の武器について、以下では名称が明かされたものと、実際に使用されたものを分けて整理します。
以下の表では、名称が出た武器10本を整理しています。
家系 |
武器 |
能力・モデル |
|---|---|---|
|
ネロナ家 |
不明 |
– |
|
ネフェルタリ家 |
不明 |
– |
|
ドンキホーテ家 |
不明 |
– |
|
シェパード家 |
憤怒剣 (グラム) |
|
|
リモシフ家
|
聖命槍 (ロンギヌス) |
|
|
不明 |
天罰剣 (ネメシス) |
|
|
不明 |
怨魔剣 (スティグマ) |
|
|
不明 |
海神剣 (フラガラッハ) |
|
|
不明 |
刑天の斧 |
|
|
不明 |
虚無剣 (ボーフー) |
|
|
不明 |
混沌剣 (トーフー) |
|
|
不明 |
村正 |
|
|
不明 |
骨喰藤四郎 |
|
【考察】19の王の武器の元ネタと能力
武器には、神話・宗教・日本刀を連想させる名前が使われています。元ネタをたどると、これから明かされる能力のヒントが見えてくるかもしれません。
ただし、元ネタと考えられるものが見つかっても、その性質がそのまま作中の能力になるとは限りません。 以下は名称や描写をもとにした考察です。
憤怒剣(グラム)
シェパード家に受け継がれている「憤怒剣(グラム)」。グラムから連想されるのは、北欧の伝承に登場する剣です。「憤怒」という表記と合わせると、怒りや感情の高ぶりに関係する武器なのかもしれません。
ソマーズ聖の性格も踏まえれば、怒りが強まるほど威力を増す、という能力も考えられます。ただし、感情と威力の関係が作中で説明されたわけではなく、名称から広げた仮説です。
聖命槍(ロンギヌス)
リモシフ家に受け継がれている「聖命槍(ロンギヌス)」。ロンギヌスは、キリストの脇腹を刺した槍にまつわる伝承を連想させる名前です。関連する伝承には、血によって視力が回復したという逸話もあります。
「聖命槍」という表記からは、命を奪う力だけでなく、回復や再生に関わる力を想像することもできます。
もっとも、キリンガム聖の再生と槍の能力を直結させることはできません。契約による力と武器による力がどう区別されるのか、今後の説明が気になります。
天罰剣(ネメシス)・怨魔剣(スティグマ)
ネメシスは、ギリシア神話の女神を連想させる名前です。「天罰剣」という表記は、自らを世界の王とするイム様が相手を裁く姿にも重なります。
また、ミホークの攻撃と構図や動きが似ていると読むこともできます。ただし、描き方が似ていることだけで、同じ剣術や血縁関係まで結びつけることはできません。
スティグマは「烙印」「聖痕」などを連想させます。ルフィへの反撃で使用したことから、受けた攻撃を返す、相手に印を刻むといった能力も推測できます。
海神剣(フラガラッハ)
フラガラッハは、ケルトの伝承に登場する剣を連想させます。
強固な防具を貫くなどの伝承と、「海神」という名前を合わせると、悪魔の実の能力を封じる力があるのかもしれず、厄介な武器なのではないかと考えたくなります。
ただし、「海」という文字があることと、海楼石のように能力者を弱らせる性質があることは別なので、可能性の一つとなっております。
刑天の斧
刑天は、中国の神話に登場する、首を失っても戦い続ける存在を連想させます。
作中の斧の描写と、首を失っても倒れないという伝承が、どのように結びつくのかは気になるところです。元ネタが能力そのものではなく、戦闘場面の演出に反映されている可能性もあります。
再生能力や不死性を持つ武器とまでは、まだ断定できません。
虚無剣(ボーフー)・混沌剣(トーフー)
ボーフーとトーフーは、ヘブライ語であり、旧約聖書の「創世記」に登場する言葉とのつながりが考えられます。
「虚無」と「混沌」という名前の組み合わせから、二つで対になる武器という見方もできそうです。ボーフーの使用時に周囲が枯れる描写も、その名前を連想させます。
一方で、片方が生命を奪い、もう片方が与えるといった具体的な役割や、二本を組み合わせた能力が説明されているわけではありません。
村正・骨喰藤四郎
村正と骨喰藤四郎は、日本の刀剣に由来する名前と考えられます。骨喰藤四郎は実在する刀で、重要文化財にも指定されています。
和名の武器が複数あることから、素直に考えると「ワノ国」に由来する可能性は考えられます。しかし、名前の共通点だけで、同じ王家が持っていた武器だと決めることはできません。
また、骨喰藤四郎の攻撃描写を「骨まで喰らう」という名前と重ねて読むことはできますが、それが能力の正式な説明とは限らない点にも注意が必要です。
村正についても、徳川家に不幸をもたらした妖刀伝説として有名であり、妖刀を連想させます。可能性の一つとして、最上大業物よりさらに上級の武器である可能性があります。
【考察】20の王がジョイボーイと戦争した理由は?
出典: one-piece.com
戦争の具体的な原因は、まだ明らかになっていません。
ベガパンクの配信では、異なる思想の衝突があったことが語られる一方、「戦争の火種が分からない以上、善悪の区別ができない」「異なる思想の衝突」と、両陣営の善悪を決められないという立場が示されていました。
つまり、戦争に発展した原因には、両陣営の思想や目的が強く影響していたのでしょう。
現時点では、主に以下の2つの可能性が考えられます。
- イム様が他の王たちを扇動した
- エネルギー問題で意見が割れた
ひとつずつ解説します。
イム様がほかの王たちを扇動した?
出典: one-piece.com
イム様が戦争の発展に深く関わっていたという説です。
現在のイム様は、ほかの王家につながる天竜人よりも上の立場にあり、ジョイボーイへの強い反応も見せています。こうした描写から、20の王すべての意思というより、イム様個人の思惑が戦争を動かした可能性は考えられます。
たとえば、ジョイボーイ側に不満や脅威を感じていた王たちに働きかけ、自分に有利な連合を作った、という流れです。
2.エネルギー問題で意見が割れた
出典: one-piece.com
もう一つは、エネルギー資源や科学技術を巡る争いです。
作中でも、既にエネルギーの奪い合いによって争いに発展したことが示唆されていました。
ジンベエ『エネルギーを生み出す資源は、いつも国々が奪い合いのタネじゃ。』
ベガパンクも世界中にエネルギーが行き渡る世界を夢見て、マザーフレイムを開発しました。しかし、結果的に政府とマザーフレイムを巡る争いに発展してしまい、「私は太陽に近づき過ぎてしまった」と後悔しています。高度な技術が、人々を救う力にも、支配や戦争の道具にもなるという構図が描かれています。
こうした経緯を踏まえると、空白の100年にも、技術や資源を誰が管理し、何のために使うのかという対立があったのかもしれません。
【考察】最初の20人は悪人だった?
最初の20人を考えるうえで、虚の玉座の理念と現在の支配体制の矛盾は避けて通れません。20の王の性質については、一人の独裁者を生まないという理念のもと作られた虚の玉座がベースになっています。
一方で、現在の世界政府の体制やイム様が世界の王として君臨していることから、元は悪人集団だった可能性もあります。
そのため、以下の2つの見方が可能です。
- 20の王は私利私欲のために戦争した
- 理念は正しかったが、時代の流れによって腐敗した
ここからは、20の王国の背景について深掘りしながら、20の王が悪人なのか、善人なのか考察します。
虚の玉座は初めから形だけの理念だった?
出典: one-piece.com
虚の玉座は、一人の王が世界を独占しないという理念を表しています。ところが、実際にはイム様がそこに座り、五老星も従っています。
この矛盾から、虚の玉座は世界政府の正当性を示すための建前だった、という見方ができます。
一方で、当初は理念を共有していたものの、権力争いや時代の流れによって形だけになった可能性もあります。ほかの王たちがイム様の支配をどこまで知り、認めていたのかも重要でしょう。
つまり、虚の玉座とは、市民に世界政府の正当性をアピールするために作られた虚構の存在に過ぎないのかもしれません。
ジョイボーイは魚人族と友好的だった
出典: one-piece.com
魚人島のポーネグリフには、魚人族の間に交わされた約束が果たされなかったことへのジョイボーイの謝罪文が残されています。このことから、当時の人魚姫や魚人島との間に、友好的な関係を築き、重要な約束があったことが分かります。
魚人族は200年前まで魚類と分類され、差別されていました。この差別意識が是正されたのは、ジョイボーイの一団である鉄の巨人「エメト」の働きがあります。
こうした経緯から、ジョイボーイは全種族との共存を目指すような平等な価値観を持っていたことが想定されます。
虚の玉座も同様の理念のもと作られてはいますが、その実態には謎が多いため、ポーネグリフとして形に残っているジョイボーイの方がその理念に対する信憑性が高いです。
こうしたジョイボーイの価値観と相対していた20の王国側は、本当は差別的な思想を孕んでいた腐敗した権力者の温床のような王国だったのではないでしょうか。
世界政府がジョイボーイの思想を警戒していた
出典: one-piece.com
世界政府はポーネグリフの解読を禁じ、空白の100年の研究を厳しく取り締まっています。
勝利した20の王国側がこうした歴史の隠蔽を図る理由には、都合の悪い真実を隠すためなのも考えられますが、クローバーはジョイボーイ側の思想を警戒していたためであるとの仮説を立てていました。
善悪で測れない複雑な思惑が交差した結果、戦争に発展したというのなら、ここまで徹底した情報統制を行う必要はありません。必然的に戦争における大義は、負けたジョイボーイ側にあったと考えるのが自然です。
他にもリリィのように、世界政府の創設に関わりながら、ほかの王たちとは異なる道を選んだ人物もいます。最初の20人の中でも、目的や考え方に違いがあったのではないでしょうか。
五老星と神の騎士団は20の王の末裔?
出典: www.youtube.com
判明している情報
原作1189話において、20の王の末裔に新たにシェパード家とリモシフ家であることが判明しました。シェパード家にはピーター聖とソマーズ聖が登場し、憤怒剣(グラム)との関係が説明されています。また、キリンガム聖が属するリモシフ家には、聖命槍(ロンギヌス)が伝わります。
このことから、800年前の王家に由来する武器が、現在の神の騎士団の戦闘にも関わっていることが分かります。
【考察】すべての役職や武器が王家ごとに割り当てられている?
王家に伝わる武器があるなら、五老星や神の騎士団の地位にも、家系ごとの役割があるのかもしれません。同様に、他の五老星と神の騎士団の家系も19の王の末裔で構成されている可能性が高いです。
また、神の騎士団はイム様と深海契約を交わしており、不死の体と常人ならざるを腕力を与えられています。
深海契約と深々海契約の契約者は合計13人と明言されており、イム様本人と五老星で6人となるため、これで合計19人となります。
武器の継承とイム様との契約は、どこまで結びついているのでしょうか。王家の歴史だけでなく、現在の支配体制を読み解くうえでも気になる謎ですね。
ちなみに、サターン聖が粛清されたり、現在ドンキホーテ家が天竜人ではない件を踏まえると、同家系に複数の武器が割り当てられている可能性は高そうです。
まとめ
最初の20人については、ネロナ家、ネフェルタリ家、ドンキホーテ家などの情報に加え、家名と武器の対応も少しずつ明かされています。
一方、ジョイボーイの一団と争った具体的な原因や、王たち全員の思想、イム様が世界を支配するに至った経緯は、まだ全容が分かっていません。
イム様による扇動説、エネルギー資源を巡る戦争説、神話をもとにした武器の能力説には、それぞれ興味深い手がかりがあります。ただし、作中で判明した設定と、そこから広げた考察は区別しておきたいところです。
現時点での結論は、「20の王の家系・武器は一部判明、戦争の原因は未判明」です。
虚の玉座に誓いを立てた王たちは、どのような未来を思い描いていたのでしょうか。そして、その誓いはなぜ、イム様一人が君臨する世界へと変わってしまったのか。今後の展開に注目したいところですね。





























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