本記事は『ONE PIECE』110巻の伏線・SBSの考察です。ベガパンクの配信を始め各描写の分かりにくい箇所についても解説しています。
出典: one-piece.com
本記事は『ONE PIECE』最新刊およびジャンプ本誌最新話のネタバレを含みます。
110巻収録話
110巻には、第1111話~第1120話までの下記10タイトルが収録されています。
1111話 |
太陽の盾 |
---|---|
1112話 |
ハードアスペクト |
1113話 |
STALEMATE(ステイルメイト) |
1114話 |
イカロスの翼 |
1115話 |
大陸の断片 |
1116話 |
葛藤 |
1117話 |
も |
1118話 |
自由になる |
1119話 |
エメト |
1120話 |
暴(アトラス) |
麦わらの一味が巨兵海賊団との合流からエッグヘッド脱出する内容が中心です。
1127話からはエルバフ編が始まり、エッグヘッド編における重要な回が詰め込まれています。
見所3選
巨兵海賊団参戦
出典: one-piece.com
前巻109巻に収録された1110話〝降星〟より再登場したドリー・ブロギーが巨兵海賊団を率いて本格参戦します。
エッグヘッドから脱出を企てる麦わらの一味と共闘して、五老星・海軍と戦闘を交えます。
ゾロ、サンジ、ジンベエでも苦戦した五老星を相手に善戦するなど、インパクトのある参戦を果たしました。
また100年前から課されていたドリー、ブロギーの懸賞金はエッグヘッド編終了後にそれぞれ以下のように変動しています。
「ドリー、ブロギーの懸賞金:1億ベリー(100年前) → 18億ベリー(エッグヘッド編終了後)」
2人の懸賞金が低かった理由は、100年前と現在の金額の価値が変動したためです。
ベガパンクの配信
出典: one-piece.com
ベガパンクの死を引き金に、世界の秘密に大きく踏み込んだ内容が全世界に配信されました。
配信内容では主に以下の内容に触れていました。
- 世界が海に沈む
- 空白の100年の真実
- 古代兵器について
これまでの常識を覆す伏線が数多く登場する重要な回が多くありました。
鉄の巨人登場
出典: one-piece.com
エッグヘッド編で新登場した鉄の巨人がルフィの能力に反応して再起動します。
鉄の巨人は200年前マリージョアを襲撃した以降、ベガパンクが極秘に回収して動力源を独自に研究していました。
しかし研究は難航しており、廃棄同然に扱われていました。
鉄の巨人の正体は象主と同じくかつてのジョイボーイの一団であり、ルフィをジョイボーイと誤認します。
ジャンプ掲載時から修正された箇所
- 1111話
- ウォーキュリー聖の咆哮を喰らったルフィに眉毛を加筆
- 1112話
- トシトシの実の能力を受けた海軍のコマに「ポン」の効果音を追加
- 1116話
- S-スネークの髪色を「黒 → 白」に変更
- 1117話
- 冒頭のコマ「野心に燃える猛者達─!!」を削除
- 1118~1120話
- エメトの台詞のフォントを「明朝体 → 筑紫丸ゴシック」に変更
110巻のSBS
SBSで判明した情報は以下の通りです。
質問 |
回答 |
---|---|
「友肘」「恋肘」 |
|
リンク先を参照 |
|
東の海ナガグツ王国 ニョルニョ・ニャルマーニ |
|
黄猿でほぼ確定 |
|
リンク先を参照 |
|
藤虎:用心棒 緑牛:警官 |
その他にもジンベエの20、40年後の姿やヤマト、藤虎、緑牛の幼少期が判明しました。
各リンク先より詳細を解説しています。
手長族の肘の名称
出典: one-piece.com
手長族の肘の名称は以下の通りです。
手に近い方:「友肘」
肩に近い方:「恋肘」
それぞれ相手との距離間を表しています。
主な手長族:最悪の世代スクラッチメン・アプー、CP0ヨセフなど
SWORDメンバーのプロフィール
SWORDメンバーのプロフィールは以下の通りです。
名前 |
年齢 |
身長 |
---|---|---|
コビー |
18歳 |
167cm |
ヘルメッポ |
22歳 |
179cm |
X・ドレーク |
33歳 |
233cm |
ひばり |
17歳 |
165cm |
孔雀 |
26歳 |
180cm |
プリンス・グルス |
29歳 |
205cm |
また108巻ではSWORDメンバーの趣味についての質問が寄せられていました。
五老星のスーツのブランド
出典: one-piece.com
“東の海”ナガグツ王国に“ニョルニョ・ニャルマーニ”というスーツ専門ハイブランドがあり、そこの特注品しか五老星は着ません。
出典: -尾田栄一郎 -110巻SBS
ルフィにご飯をあげた人物
出典: one-piece.com
「1103話から1106話にかけてルフィにご飯をあげた人物は誰?」
上記の質問に対して、尾田栄一郎は以下のように回答を仄めかしています。
- 候補者はサンジ、フランキー、戦桃丸、黄猿
- “光の速さ”で行われた
黄猿はピカピカの実の能力者なので、光速移動が可能です。
つまり、ルフィにご飯をあげた人物は黄猿でほぼ間違いありません。
黄猿は麦わらの一味を取り逃がした件で赤犬に叱責されていましたが、かつての友人を殺めたことを涙ながらに訴えていました。
海軍としての責務と友人との絆での葛藤がルフィを手助けした理由でしょう。
エッグヘッドに招集された中将
エッグヘッドに招集された中将の情報は以下の通りです。
名前 |
内容 |
---|---|
ポンスキー |
ラコラコの実のラッコ人間。 貝殻で強力な殴打。 |
ドール |
武闘派(ロックの魂) |
土茶 |
手で噛みつく(土茶拳) |
ウルバン |
ツツツツ(筒筒)の実の大砲人間。 頭頂が大砲になっている。 |
ブルーグラス |
ノリノリの実の操縦人間。 自分の覇気の及ぶ範囲のあらゆる生物・物を乗り物にする。 大参謀つるの姉貴分。 |
ハウンド |
イヌイヌの実のモデル猟犬(ハウンド) スモーカーと同期。 |
レッドキング |
蒸気機関の力で右ナックルを撃つ。 |
ギロチン |
頭の刃物をブーメランのように飛ばす。 |
特筆すべきはハウンドのイヌイヌの実モデル猟犬です。
これまで悪魔の実のモデルはカブトムシや麒麟など固有種でした。猟犬という生態の枠組みが新たに加わったことにより、悪魔の実のジャンルが幅広くなりました。
藤虎と緑牛の前職
出典: one-piece.com
|
出典: one-piece.com
|
以下は尾田栄一郎の回答を一部抜粋した内容です。
- 世界徴兵という制度による引き抜き
2人は「世界徴兵」という制度によって、世界政府加盟国の国防を担っていたところ、海軍に引き抜かれたわけです。 - 緑牛が引き抜かれた経緯
“緑牛”アラマキは“南の海”タヤ王国の警官でしたが、女性がらみの大事件を起こしてしまい、国の監獄に入っていたものの、その企画外の強さの評判は政府にも届いており、海軍に入り即「大将」に抜擢されました。 - 藤虎が引き抜かれた経緯
“藤虎”イッショウは“西の海”双蛇島の賭博場で負けて用心棒として働いているところを政府に大金で買い取られました。イッショウはグランドランに昔存在した国アオイ王国の元警備軍隊長であり、アオイ王国が戦争で滅んだ際の重要戦犯である事は、世界政府も認識しています。
110巻の伏線
以下は110巻での伏線まとめです。
伏線 |
予想 |
---|---|
太陽の神ニカとの関連 |
|
死亡・生存どちらの可能性もある |
|
これまでのスモーカーの動向から見て加入する可能性は高い |
|
結婚した人物はラッキー・ルゥの可能性がある |
|
ローのようにDの一族はそれぞれ忌み名を持っている |
|
一部矛盾が見られる |
各リンク先より詳細を解説しています。
巨人族と世界政府の因縁
ドリー、ブロギーが五老星と対峙した際にウォーキュリー聖が「因縁深き者達…!!」と敵意をあらわにしていました。
巨人族と世界政府の因縁については明言されていませんが、巨人族には太陽の神ニカの伝承があります。
他にも冬至祭という太陽の死と復活を祝う祭りがあるなど、巨人族は太陽と特に関連が深いです。
世界政府の前身組織である20の王国は、かつてジョイボーイの一団と敵対しており、ジョイボーイはニカと同じ能力を宿していました。
これらから、巨人族もまたジョイボーイの一団に含まれていた可能性があります。
ステューシーの生死
出典: one-piece.com
ステューシーの生死については以下の説が考えられます。
- 生存説
カクに見逃された後は人知れずエッグヘッドから脱出- 逃亡するまでの流れが丁寧に描かれながら、明確な死亡描写がされていない
- 死亡説
カクの救出に向かったルッチと遭遇し、殺害された- ルッチは冷徹な性格であるため、ステュシーの裏切りを許さない。別れ際にもルッチと遭遇すれば(裏切り者への粛清を)止めきれないとカクが発言
- CP0が帰還直後ルッチが「殺した」と発言
このようにどちらの説も理に適っています。
またカクとステューシーには同僚以上の関係性があったと匂わせていました。
ステューシーの正体は、ロックス海賊団のミス・バッキンガム・ステューシーのクローンです。
製造者であるベガパンクを信頼しており、今まで独断で政府に潜入していたのがCP0を裏切った理由です。
スモーカーSWORD加入?
出典: one-piece.com
スモーカーは愛車ビローアバイクでGS総合病院に向かっていました。
GS総合病院にはハチノスから逃れたSWORDメンバーが治療中であり、目的はSWORDへの接触と考えられます。
また、これまでのスモーカーの動向はSWORDの部隊に通ずるものがあります。
SWORDとは、所謂「辞表提出済みの海軍」であり、上層部の指示なしで四皇とも戦闘が許される遊撃部隊です。
スモーカーは、アラバスタ編で麦わらの一味を横取りするような政府の対応に真っ向から反対したり、、一味に近付くためにクザンに頼み込んでG-5に移籍しました。
このような型破りな性質は、SWORDメンバーとしての資質を備えているという見方があります。
592話扉絵では、赤犬サカズキの右肩に剣の刺青が入れ込まれていました。
これはSWORD加入の伏線なのではと考察されています。
しかし、赤犬が元帥から退きSWORDに加入する線は現段階ではかなり薄く、初期設定の名残の可能性もあります。
ミス・ゴールデンウィークが居た島と赤髪海賊団が訪れた結婚式
出典: one-piece.com |
出典: one-piece.com |
ベガパンクの配信中、体長の長い特徴的なサボテンが映った背景の中に元B.W社員ミス・ゴールデンウィークが居ました。
上記のサボテンに似た物が下記の扉絵にもありました。
- 扉絵シリーズ連載 5億の男編
- Vol.24「ある荒廃した島-赤髪海賊団-」
- 最終話「ある荒廃した島での結婚式」
赤髪海賊団ないしはシャンクスには下記の関連人物が該当します。
- 赤髪海賊団
- ミホーク
- 元ロジャー海賊団
- ドリー、ブロギー
扉絵内では、赤髪海賊団の重鎮であるラッキー・ルゥが確認されていないことから、ラッキー・ルゥの結婚に参列した可能性が高いです。
物語上それほど重要な要素でない可能性がありますが、シャンクスは非常に謎が多い人物であるため何らかの伏線である線も捨てきれません。
“も”
出典: one-piece.com
結論から言うと、”も”は「Dの一族の忌み名」に関するメッセージと考えられます。
根拠となるのは、トラファルガー・ローの本名である「トラファルガー・D・ワーテル・ロー」
本名については下記の様に言及されています。
- ロー「本当は誰にも言っちゃいけない = 忌み名」
- イム「今の一族は己の名の意味も知らない抜け殻 = 名前には意味がある」
- ベガパンクはDの一族に何かを伝えようとした
ベガパンクの配信は大きく言うと、空白の100年の真実に関する内容でした。
つまり「Dの一族の忌み名は世界の命運を左右するような大きな意味が含まれている」
Dの一族は世界政府により抹消される
出典: one-piece.com
1120話より「Dの一族は世界政府の抹殺対象」との新事実か登場しました。
またクローバーの本名は「クラウ・D・クローバー」で、兄が政府に殺害された際には友人と嘘を付いて難を逃れました。
しかし、ガープとサウロはDの一族でありながら、中将の座に上り詰めています。
経歴詐称した可能性はありますが、ガープがルフィの父親であることは既に知れ渡っています。
上記の矛盾は現在も説明されていません。
110巻各描写解説
ベガパンクの配信要約
空白の100年における戦争には古代兵器が用いられ、海面が200m上昇して世界が海に沈んだ。
戦争はジョイボーイの一団と世界政府の前身である20の王国の間で起こり、きっかけは2つの思想のぶつかり合い。
最後にDの一族に何か伝えようとした。
以下は部分的な補足説明です。
- 世界が海に沈む根拠
独自の計算とセンサーとルルシア王国の消滅に伴う海面上昇から因果関係あると確信 - 古代兵器は実在している
異常な海面上昇、ルルシア王国の消滅、消えない炎が奪われた件が古代兵器を示している
消えない炎(マザーフレイム)とは
出典: x.com
端的に言うと、マザーフレイムはワンピース界におけるオーパーツです。
ベガパンクの研究の集大成と言えるマザーフレイムは元々人々の生活を豊かにする目的で作られた動力源でしたが、古代兵器の動力としても運用できる程の代物です。
実際に一欠片だけ盗まれた2週間後ルルシア王国が消滅するなど、古代兵器の動力として運用可能だと証明されました。
マザーフレイムの元ネタ
マザーフレイムのパワープラントには「S-108」「A&MU」との記号が記されています。
さらにマザーフレイムが登場した1114話のサブタイトルはギリシャ神話「イカロスの翼」でした。
3つのキーワードは以下のように解釈できます。
- S-108 = S:硫黄 108:煩悩の数、ハッシウム(原子番号)
- A&MU =
- A(あ)&(と)MU(む) = アトム(原子)
- A = アトランティス MU = ムー大陸
※アトランティス、ムー大陸はかつて高度な文明を持った伝説の大陸の名前
- イカロスの翼 = 高度なテクノロジーなど時として身を滅ぼす
このように、それぞれ高度な化学物質または技術を元にしていると分かります。
ナス寿郎聖の武器
出典: one-piece.com
※画像は三代鬼徹
五老星の一角であるイーザンバロン・V・ナス寿郎聖の武器はほぼ確定で初代鬼徹です。
鬼徹とは刀鍛冶師に継承された名称であり、ワノ国に所縁のある人物です。(三代目:天狗山飛徹 二代目:古徹)
ナス寿郎聖は、
- 五老星で唯一和服を着用している = ワノ国との関連性が見られる
- 五老星は長年容姿が変わっていない = 長寿
- 初代鬼徹のみ不明
これらからナス寿郎聖は初代鬼徹本人である可能性があります。
その他の刀の位列は以下の通りです。
階級 |
刀:所持者 |
---|---|
最上大業物 |
初代鬼徹:ナス寿郎聖 夜:ミホーク エース:ロジャー むら雲切:白ひげ |
大業物 |
二代鬼徹:ルフィ(返却済) 和道一文字:ゾロ 閻魔:ゾロ 秋水:ゾロ |
良業物 |
三代鬼徹:ゾロ 雪走(ゆばしり):ゾロ 山颪(やまおろし):たしぎ 花州(かしゅう):たしぎ 時雨(しぐれ):たしぎ |
シャンクスのグリフォン、ローの鬼哭は不明。
イザッテトキ
※下記はジャンプ本誌のネタバレを含みます。
1120話〝暴(アトラス)〟で鉄の巨人が語っていた「イザッテトキ」とは、自分の命が危ない時か守りたい誰かを守りたい時に体内に閉じ込められたジョイボーイの覇気を解放する事でした。
ジョイボーイの覇気は作中最強クラスであるシャンクスの覇気を上回る程の威力を持ち、エッグヘッドの五老星、CP、海軍を全員戦闘不能に陥りました。
麦わらの一味の脱出に貢献した後は、鉄の巨人の声を聞きとれるルフィが笑みを浮かべていたことから鉄の巨人は生存している可能性が高いです。
110巻発売記念PV
110巻発売記念にベガパンクの配信のPVが公開されました。
配信内容の要点などは諸々ぼかされていますが、ミステリー小説のような独特の恐怖を煽るような凝った演出が施されています。
まとめ
110巻はベガパンクの配信を中心に今まで不明瞭だった点が一気に開示されました。
そして、次巻からはいよいよエルバフ編が始まります。
エッグヘッド編で消化不良に終わった事やニカの伝承などさらに突き詰められていくことが予想されます。
記事の間違いやご意見・ご要望はこちらへお願いします。