『ゼルダの伝説シリーズ』と『ティアーズオブザキングダム』のネタバレを含む考察記事です。
『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム(ティアキン)』において、本作のストーリーを解説・考察してまとめています。
目次
概要
一本のゲームとして完結した「ブレスオブザワイルド」に、さらに“新しくやりたいこと”を追加し、「ブレスオブザワイルド」の続編として開発されました。
リンクの新しい能力や、新たなフィールドの大空、地底、そして、前作の続きとして展開されるストーリーと、様々な新たな要素が盛りだくさんのゲームとなっています。
考察について
基本はゲーム内の公式情報をまとめて解説していますが、一部筆者の独自解釈や考察を含む内容となっていますのでご了承ください。さらに、筆者の考察が進むたびに随時更新していく予定です。
そして、この記事はストーリー解説・考察記事となっているため、ストーリーの攻略記事は以下の記事をぜひご覧ください。
あらすじ
城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。
ハイラルは突如として”天変地異”に見舞われた。
主人公リンクは、果てなき冒険に再び身を投じる。
※公式サイトより引用
ネタバレストーリー解説
ストーリーを全て大雑把に解説するので、多大なるネタバレを含みます。
天変地異
前作「ブレスオブザワイルド」でのリンクの活躍により「厄災ガノン」を打ち倒した後のハイラルは平和になり、復興し始めていました。
「厄災ガノン」が倒され数年後、放置されていたハイラル城の地下から、体調を崩す瘴気と呼ばれる謎の物質が現れており、リンクとゼルダはその瘴気の調査をするためにハイラル城の地下へと向かいます。
ハイラル城の地下では、「ゾナウ族」、「魔王」、「封印戦争」についての壁画が描かれているゾナウ族の遺跡が存在し、さらにその奥にはミイラと化した「ガノンドロフ」を発見します。
ガノンドロフが覚醒し、ガノンドロフの瘴気によりリンクの右腕は蝕まれ、マスターソードを朽ちさせ、ハイラル城は空へと浮かび上がります。
ハイラル城の浮上により、引き起こされた崩壊に巻き込まれたゼルダとリンクは、ゼルダは謎の勾玉とともに消え、リンクはガノンドロフを封印していたであろう腕に助けられます。
ガノンドロフの覚醒により、ハイラル城は浮上、上空から遺跡が落下し、さらにハイラルの大地に大きな深い穴が現れ、これらが突如”天変地異“としてハイラルを襲ったのです。
空島
謎の腕に助けられたリンクは、朽ちてしまったマスターソードとともに空島で目が覚めます。
ガノンドロフの瘴気により蝕まれた右腕を、「ラウル」と呼ばれる魂だけの存在の右腕に置き換えられます。
ハイラルの大地に降り立つために、ラウルによって助けられながら空島を探索し、新たな能力を得ながらもほんの少しだけ、瘴気を浄化していきます。
朽ちてしまったマスターソードは、剣の精霊の導きによりどこかにいるゼルダに届けられ、その光景をリンクは情景として見た後、ハイラルの大地へと降り立つのです。
ハイラルの異変
ハイラルの大地に降り立ったリンクは、ハイラル城の目の前にある監視砦へと向かいます。
監視砦にて、シーカー族の研究者であり、監視砦のリーダーでもある「プルア」と話し、ハイラルの現状を聞かされるのです。
リンクがハイラルの大地に降り立つまで数日経っていること、“天変地異”によりハイラルの4つの地方が異変に見舞われていること、そして、ハイラルの各地でゼルダの目撃情報があることを聞かされ、それらを調査するためにリンクはハイラル全土を旅することになります。
4つの種族
リンクは、猛吹雪に見舞われている「リトの村」、「おいし岩」と呼ばれる謎の岩によりおかしくなった「ゴロンシティ」、上空から降ってくるヘドロにより水質汚染に見舞われている「ゾーラの里」、砂塵から現れる魔物の襲来を受けた「ゲルドの街」、これらの異変を解決していきます。
これらの異変解決には、リト族の戦士「チューリ」、ゴロン族の「ユン坊」、ゾーラ族の王子「シド」、ゲルド族の族長「ルージュ」とともに解決していきますが、ゾナウ族の神殿を占拠し異変を引き起こしていた大型の魔物を倒すことになります。
各地にいる大型の魔物が守っていたのは、白く光る謎の勾玉であり、各種族たちの手に渡ります。
秘石
この謎の勾玉は秘石と呼ばれ、秘石を持つ者の力を倍加させる秘宝だったのです。神殿を占拠していた魔物は、秘石を賢者の手に渡らないようにするために魔王が差し向けた刺客でした。
秘石はハイラル建国時代に勃発した「封印戦争」で、各種族から選ばれたかつての賢者たちが持っていたものでした。秘石に宿っていた賢者の魂が実体化し、「封印戦争」での出来事と子孫であるリンクとともに異変を解決した仲間を新たな賢者として任命し、秘石を授けることとなります。
偽物のゼルダ
4つの地方の異変を解決したリンクは、監視砦にてプルアとともにハイラル城を監視していると、空が赤く染まりハイラル城の本丸付近にゼルダが見え、確認するためにもハイラル城へと向かうことになります。
行く手を阻む魔物たちを倒しつつ、近づくと消えるゼルダを追っていくと、ゼルダを本丸へと追い詰めます。
実はハイラルの各地で目撃されていたゼルダは、ガノンドロフが作った下僕である「ファントムガノン」が変身した姿であり、ガノンドロフが偽ゼルダを介してハイラルの人々を惑わせて観察していたのです。
ファントムガノンを追い詰めたリンクでしたが、ガノンドロフの瘴気によりピンチに陥ります。そこに4人の新たな賢者たちに助けられ、ガノンドロフを退けます。
5人目の賢者
ゼルダが偽物だったために、ゼルダを探す手掛かりなくなってしまいました。4人の賢者たちとプルアとともに会議していると、以前の賢者たちの回想の中に「5人目の賢者」いることがわかり、5人目の賢者を探すことになります。
ゾナウ族調査隊の「タウロ」とともに、フィローネ地方の「ゾナウ遺跡群」を調べ、フィローネ地方の空島へ行くと、初代ハイラル王であった「ラウル」の姉、魂だけの存在である「魂の賢者 ミネル」と出会います。
ミネルは「封印戦争」にて、ガノンドロフによる瘴気で肉体的にダメージを受けて身体が朽ちていました。研究者だったミネルはその技術力により、プルアパッドに自身の魂を移し、リンクを導くためだけに現代まで現世に留まっていました。
この魂だけのミネルに、魂の依り代となるゴーレムを提供することになります。
ゴーレムを提供した後、一時的に魂を保持しミネルのゴーレムとともに魂の神殿にて、ガノンドロフの手先の魔物を倒します。
「魂の秘石」を手に入れて「魂の秘石」にミネルは魂を移し、ゴーレムと一体化し5人目の賢者として覚醒します。
消えてしまったゼルダの真実
過去の賢者たちの魂、復活したミネル、天変地異が起きたタイミングでハイラル全土に現れた地上絵にある「龍の泪」を通じて、ゼルダの運命を知ることになります。
過去に飛ばされたゼルダ
天変地異により地の底に落ちそうになったゼルダは、ガノンドロフを封印していた右腕の秘石の力により、現代から消滅してしまいます。
ハイラルの初代王である「ラウル」とその妃である「ソニア」と出会い、ここがハイラル王国建国の時代であること知り、遥か昔の時代に飛ばされたことも知ります。ゼルダの「破魔の力」を秘石が倍加させ、過去へと飛ばしたのです。
ゼルダは元の時代に戻るまでソニアの縁戚として、王室に招かれることになります。
ラウルとソニアの優しいながらも王としての王国への想いに、ゼルダはこの過去の時代でも何か出来ることがないかと感じるようになります。
ゲルドの王
女性しか生まれないゲルド族の中に、100年に1人だけ男が生まれ、その男がゲルドの王になると言われています。それがガノンドロフであり、ゲルドの王です。
「生まれながらの王」であるガノンドロフは、ハイラルを我が手にという野望を抱くようになります。ゾナウの秘石があるために、力押しではハイラルを手にすることができないと悟ったガノンドロフは、まず秘石をどうにかして手に入れることを画策します。
秘石を手に入れるために、ハイラル王家の臣従としてラウルの下に付いていました。とある日、偽物のゼルダを作り「時の秘石」を持つソニアを呼び出し殺害、奪った秘石で魔王となり、多くの魔物を生み出しハイラル王国への侵略を開始します。
封印戦争
ガノンドロフを止めるために、ゲルド・ゴロン・ゾーラ・リトの族長に秘石を託し賢者となります。ラウル、ミネル、ゼルダ、各種族の族長の7人でガノンドロフを打ち倒そうとします。
ガノンドロフの力が想定以上に強力だったため、結果的に打ち倒すことは失敗し、ラウルの光の賢者としての力を使って自己の犠牲を負いながらも、ガノンドロフの封印に成功します。遙か先の未来にいる勇者リンクに希望を託して…。
マスターソード
元の時代のリンクが過去に送り出したマスターソードをゼルダは受け取り、朽ちてしまったマスターソードをどうにかして復活させようと、ミネルに伝えることにします。
少し前に、元の時代に帰りたいけど帰り方がわからないとミネルに相談した時に聞いていた、禁術の「龍化の法」を行使することを伝えるのです。
「龍化の法」とは、「秘石を呑んだものは長生不老の龍となり、永劫の時を手に入れる」と言われていますが、「龍と化した者の心は永劫に戻らない」とも言われ、だからこそ禁術として扱われていたのです。
しかし、ゼルダの破魔の力を秘石で倍加し、現代までマスターソードを聖なる力で満たし続けることでマスターソードを再生させ、リンクに届けたいという決死の覚悟と想いで白龍と化すのです。
ゼルダが言っていた「私をさがして…」は、「私をさがして、マスターソードを手に入れて。」ということだったのです。
リンクは白龍の額にある、今までずっと聖なる力で満たし続けたマスターソードを託されます。ゼルダの想いとともに…。
最後の戦い
ラウルとソニア、5人の賢者たち、過去のゼルダからの想いを託されたリンクは、ガノンドロフを倒すのみとなります。
ハイラル城の遥か地底にいるガノンドロフの居場所へ向かうことにします。現代の4人の賢者とともにガノンドロフの軍勢を倒し、その後、ついにガノンドロフと戦うことになります。
秘石を使った「魔王ガノンドロフ」は非常に強力でしたが、死闘の末、ガノンドロフを追い詰めます。追い詰められたガノンドロフはリンクと賢者を倒すため、秘石を呑んだことにより自我を捨て黒龍と化します。
リンクは自我を失ったはずの白龍とともに、マスターソードの力を存分に振るい黒龍を打ち倒すことに成功します。
エンディング
白龍と化したゼルダは、ラウルとソニアの想いの力により奇跡が起こり、本来の姿を取り戻し、リンクはあの時掴めなかったゼルダの手を掴み、ゼルダを救うことに成功するのです。
それからしばらくの後、リンクが目覚めたあの空島、ゼルダの決死の覚悟で龍と化したあの空島で、ミネルはリンクとゼルダに別れを告げます。
同行していた現代の賢者たちはリンクとともに、ゼルダにハイラルをこれからも永劫の時をもって守ることを誓うのでした。
世界観・設定・考察など
時系列
本作は「ブレスオブザワイルド」の続編として開発されたのもあり、リンクが旅するハイラルは「ブレスオブザワイルド」と同じハイラルとなっているため、「ブレスオブザワイルド」のその後の話となっています。
矛盾
「ブレスオブザワイルド」で出会ったであろう人物と初対面だったり、「ブレスオブザワイルド」では蛮族と語られていたゾナウ族が、ハイラルを建国した種族であり、天空から来た神のような種族だったりと、他にも様々な矛盾があります。
しかし、「ブレスオブザワイルド」で出会ったであろう人物と初対面だったことについては、前作のミニチャレンジで出会った人物のみで、前作のメインチャレンジで出会った人物は皆リンクのことを覚えているため、ミニチャレンジまでクリアしていない人のためにこのような設定になったのだと思われます。
ブレワイとティアキンの時系列
「ブレスオブザワイルド」と「ティアーズオブザキングダム」で起こった重要な出来事を抜粋して時系列順にまとめてみました。
年代 |
出来事 |
---|---|
はるか昔 |
ゾナウ族が天空から降り立つ |
ゾナウ族の「ラウル」がハイリア人の「ソニア」を娶る |
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ハイラル建国 |
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ゼルダが過去に飛ばされてくる |
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ゼルダがミネルに「龍化の法」について教えてもらう |
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ガノンドロフがハイラル王国に臣従する |
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ガノンドロフはソニアを殺害し、秘石を奪い、魔王と化す |
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ラウルは各種族の族長たちに秘石を託し、賢者になる |
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封印戦争にて、ラウルの犠牲とともにガノンドロフは封印される |
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ゼルダが龍化の法を使い、龍と化してマスターソードを聖なる力で現代まで満たし続ける |
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封印されたガノンドロフより、幾度も厄災ガノンが現れるように |
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1万年前 |
神獣やガーディアン、姫と勇者により厄災ガノンが封印される |
王家はシーカー族の技術に恐れ、弾圧、追放により神獣などが土中に埋められる |
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王家を憎んだシーカー族はイーガ団になり、受け入れたシーカー族はカカリコ村へと移住する |
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長き平和の時代が訪れる |
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100年と 少し前 |
ゼルダ誕生 |
占い師が厄災ガノンの復活を予言 |
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神獣を発掘し、4人の繰り手を英傑に任命 |
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100年前 |
厄災ガノン復活 |
厄災ガノンにより神獣、ガーディアンが乗っ取られ、ハイラル王国滅亡 |
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逃亡中、リンクの危機にゼルダの封印の力が覚醒 |
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リンクはシーカー族により回生の祠へと運ばれ、100年の眠りにつく |
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ゼルダはハイラル城にて厄災ガノンの力を抑える |
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BotW |
リンクが回生の祠にて目覚める |
神獣の暴走を止める |
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マスターソードと神獣、英傑たちとともに厄災ガノン討伐 |
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ゼルダは厄災ガノンを抑える役目を終えることとなり、長きに渡った力の行使により封印の力は消失 |
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TotK |
ゼルダはハイラル各地で復興に協力 |
ハイラル城地下にてガノンドロフのミイラ発見 |
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ガノンドロフのミイラにより天変地異が引き起こされる |
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ゼルダが行方不明になり、リンクはガノンドロフの力により大半の能力を失う |
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4つの地方の異変を解決し、4人の新たな賢者が誕生 |
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5人目の賢者が復活 |
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白龍によって聖なる力を満たし続けてきたマスターソードがリンクの手に |
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リンク、白龍とともにガノンドロフを討伐 |
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ゼルダを救うことに成功 |
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ハイラルは再び平和に |
ブレワイから何年後なのか
「ティアーズオブザキングダム」の世界は「ブレスオブザワイルド」から何年後なのかは数年後としか語られていないため、詳細は不明となっています。
何年後なのかの考察
筆者の個人的な妄想に近い考察になりますが、「ブレスオブザワイルド」の発売日が2017年3月で、「ティアーズオブザキングダム」の発売日が2023年5月なので、この現実の発売の時間がそのまま使われているのではないかと思っています。
つまり、「ティアーズオブザキングダム」は「ブレスオブザワイルド」の6年後となり、ゼルダが行っていたハイラルの復興やキャラクターたちの年齢差など、それらの要素が6年経過は妥当な数字だと思われます。
消滅した古代シーカー族の技術
「ブレワイ」から「ティアキン」の間で古代シーカー族の技術はどうなってしまったのかが、海外メディアの「The Telegraph」のインタビューで藤林秀麿氏が答えています。
古代シーカー族の技術は「厄災ガノン」の封印という役目を終えると消滅するように作られていたそうで、ハイラルの人々はその様子を目撃したものの、なぜ消滅したのかのメカニズムも誰も知らないのだそうです。
「厄災ガノン」の封印の役目を終えると消滅したという理由も、ハイラルでは不思議な現象が日常茶飯事なためにハイラルの人々も深く考えておらず、それ以上メカニズムを知ろうとする者もいなかったそうです。
矛盾について
神獣やガーディアン、シーカータワーなどが現代のハイラルに残っていた古代シーカー族の技術ですが、
「プルアパッド」や「鳥望台」には古代シーカー族の技術を元に作られていたり、「ハテノ古代研究所」の屋根に朽ちたガーディアンは消滅せずに残っていたりと、上記の理由では説明できないことが起きています。
これらにも何かしら理由がありそうですが、なぜなのかは未だ不明となっています。
どの世界なのか
どの分岐後の世界なのかは未だ不明なため、ここからは筆者の考察となります。
どの世界なのか筆者は、“過去作のハイラル史とは完全に別の似た並行世界”もしくは、“「スカイウォードソード」直後辺りから分岐した世界”ということが有力と考えています。
理由
「ブレスオブザワイルド」では、”初代ゼルダ姫の悲劇”があったり、ゾーラの里の石碑にルト姫の存在が仄めかされていたり、「神獣 ヴァ・ナボリス」の名がゲルド族の賢者である「ナボール」が由来だったりと、過去作との繋がりを示唆するような要素がありました。
しかし、「ティアーズオブザキングダム」では筆者がまだ見つけていないだけの可能性もありますが、示唆するような要素がないこと、そして、ハイラル建国の王が「ラウル」というゾナウ族であること、そして“トライフォースの伝承やその存在”が一切語られていないことです。
トライフォース
「ブレスオブザワイルド」でのゼルダの封印の力の由来はトライフォースだと思われる描写や、ハイラル王家の紋章にトライフォースが描かれてはいるのですが、本作ではストーリー上で一切絡んでこないのです。
マスターソードを復活させるために聖なる力で満たし続けること、それはトライフォースの力だと思われますが、前作でゼルダが覚醒したタイミングで手の甲にトライフォースが現れたことに対し、本作では現れませんでした。
これがなぜなのか、筆者は“トライフォースが存在しているも、ハイリア人に認知されていない世界なのかもしれない“と考えています。
総括
要するに、過去作のハイラル史と違う新たな並行世界とは、ハイラル建国も封印戦争も過去作と同名なだけで、同じ出来事ではないことです。
マスターソードには剣の精霊ファイがいたり、ハイラル統一戦争のようなことも起きていたりと、似たような出来事が起きているだけで完全に違う新たな並行世界ということです。
タイトル「ブレスオブザワイルド」の意味
前作「ブレスオブザワイルド」の意味は、直訳すると「野生の息吹」となり、シリーズ初のオープンワールドや過去作からある探索要素の拡張、そして何よりサバイバルな要素が盛り込まれたことを意味していました。
タイトル「ティアーズオブザキングダム」の意味
前作とは打って変わって「ティアーズオブザキングダム」の意味は、直訳すると「王国の涙」となります。
ストーリーを最後までクリアした方ならわかると思いますが、ストーリー上では涙(泪)が重要な場面で描かれています。
朽ちたマスターソードを再生しリンクに届けるため、秘石を呑み永劫の時を手に入れるゼルダですが、自我を捨てることにも繋がります。自我を捨てていることにも関わらず、白龍となったゼルダは泪を流し、リンクに経験したことを間接的に伝えるのです。
白龍の泪はゼルダの記憶だと予想でき、白龍になったゼルダには不要なモノだったため泪という形でハイラル各地に散らばったのだと思われます。
王国への、国民への、そしてリンクへの想いを届けるため、龍は泪を流しました。
本作のテーマ
本作のテーマは「手と手をつなぐ」です。
任天堂の公式ページにある「開発者に訊きました」でもこの事についておっしゃられています。
リンクの右腕を助けるために託されたラウルの右腕、その右腕を使って新たな能力を使ったり、BGMの中にハンドクラップの音が入っていたり、さらに賢者から力を与えられる時も手をつないでいます。
そして、最序盤でゼルダが落ちていく中、手を差し伸べたものの届かなかったリンクですが、最終盤、白龍から元に戻ったゼルダの手に届き、今度こそ救うことに成功します。
前作は広い世界を自分自身だけの力で救う孤独な旅だったのが、本作は手と手を取り合って協力しながらハイラルを救うことになるのです。
ゼルダ
前作「ブレスオブザワイルド」に登場したゼルダと同一人物である、ハイラル王国の姫です。
王家の習わし
「ブレスオブザワイルド」のハイラル城内にあるハイラル王の手記に、「王家の習わしに従い、ゼルダと名付ける」という一文があります。
前作の時点での「王家の習わし」とは、「リンクの冒険」で起きた出来事の「初代ゼルダ姫の悲劇」と思われていました。
「ティアーズオブザキングダム」で過去に飛ばされ、過去でゼルダが行った誉れ高いことを現代まで伝わったことが「王家の習わし」だったのかもしれません。
ハテノ村のゼルダの家
「ブレスオブザワイルド」でリンクの持ち家に出来た家が、本作ではゼルダの家となっています。英傑のウツシエが飾られていたり、秘密の部屋を作ってもらっていたりと、ゼルダらしい家です。
ゼルダの家の2階にあるゼルダの日記に、「厄災ガノン」討伐後、復興のため様々なことに尽力しているゼルダのことが書かれています。
白龍が元の姿に戻れた理由
決死の覚悟でリンクに未来を託すために、秘石を呑み龍と化すゼルダですが、エンディングでなぜ元の姿に戻れたのかを考察してみます。
作中、ミネルが『”ラウルの光の力とソニアの時の力が合わさり、リンクに力を貸して奇跡を起こしたのかもしれない”』と言っています。
要するに、
ラウルの右腕から発せられる「光の賢者」としての破魔の力と、ソニアの「時の賢者」の能力である「モドレコ」、リンクがハイラルを救うために旅の途中で自身の瘴気を浄化するために使った「祝福の光」の力を秘石の力に貸したことによって、ゼルダが白龍になる前の時まで戻すことで元の姿に戻ったのかもしれません。
以上はゲーム内の設定を元に考察してみましたが、以下の考察は筆者の個人的な想いを述べてみました。
奇跡というのは奇跡が起きてほしいという願いと、奇跡を起こすために努力したことによって起きると筆者は考えています。
これらはどちらもプレイヤーの想いと努力の結晶とも言い換えられるので、プレイヤーがテレビの前でゼルダが助かってほしいと祈り、ゼルダを助けるために努力をしてガノンドロフを倒したことにより、起こした奇跡と言っても過言ではないのかもしれません。
ガノンドロフ
前作「ブレスオブザワイルド」に登場した「厄災ガノン」の大元の存在となっています。
100年に1度の男
ゲルド族は女性しか生まれない種族ですが、100年に1度だけ男が生まれるそうで、それがガノンドロフでした。その男はゲルドの王となることが定められており、「生まれながらの王」として運命付けられています。
「ブレスオブザワイルド:マスターワークス」には、ガノンドロフ以降、男性の首領が現れたという記録は残されていないという記載があります。
秘石の力を解放したガノンドロフ
ガノンドロフとの戦いの最中やソニアから秘石を奪った時に秘石の力を解放するガノンドロフですが、ガノンドロフは触手のような赤黒い髪、体に鱗状の紋様が浮かび上がります。
これらの特徴が「スカイウォードソード」のラスボスである「終焉の者」と合致しており、「終焉の者」が最期に言い放った「”魔族の憎悪と怨念が、女神の血と勇者の魂が持つものに対して、悠久の時の果てまで輪廻を描く呪縛から逃れられなくなる“」という呪縛という名の因果がまだまだ続いていると思われます。
黒龍と厄災ガノン
秘石を呑み、黒龍と化したガノンですが、秘石を呑んだ直後に現れた黒龍が「厄災ガノン」と非常に似ています。
結局なんだったのかですが、そもそも厄災ガノンは「ハイラルそのものに取り憑いた自我のないガノンの怨念」という設定でした。
つまり、「龍化の法」も自我を捨てるということ、ガノンドロフが自我を捨てると厄災ガノンの怨念と同じ怨念が湧き出てくるのかもしれません。
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