基本プレイ無料となるオーバーウォッチ2では、不正行為を対策する「ディフェンス・マトリックス」という新たな取り組みが始まりました。この取り組みが目指していることや、この取り組みによって変更される点について解説していきます。
目次
シーズン12開催タイミングでチート検知・対策がさらに強化
コンソール版での公正なプレイ環境作り
シーズン11では、コンソール版「オーバーウォッチ 2」でマウスとキーボードを利用するためのデバイス、いわゆる非許諾周辺機器への対策を導入しました。
この対策は功を奏し、シーズン10中に非許諾周辺機器を使いライバル・プレイで不正にランクを上げていた悪質なプレイヤーを大勢BANすることに成功しました。
また、非許諾周辺機器をコンソール版で使用しようとした時点で、ライバル・プレイへの参加権のはく奪と、アンランクにおけるPCプレイヤーとのマッチングという処分を下しているので、コンソール版におけるライバル・プレイのマッチの品質も大幅に向上しました。
プレイヤー回避機能の改善
シーズン12以降、回避リストの枠組みが15枠にまで増加しました。
絶対に回避したいプレイヤー(3枠)と、できれば一緒に組みたくないプレイヤー(12枠)を組み合わせることができます。
グランドマスターよりも下のランク帯にいる方は、登録した最大15人のプレイヤーをほぼ確実に回避できます。
一方のグランドマスターとその上のランク帯にいる方は、キューが長くなるにつれて、優先順位の低い回避プレイヤーの一部と組む可能性が出てきます。高ランク帯にいる方はこの点にご留意いただけると幸いです。
確実かつ半永久的に回避できるプレイヤーの固定枠が最大3つ用意されているので、必要に応じてこちらもご利用ください。
なお、固定枠以外の回避プレイヤーは、登録してから7日後にリストから外されます。また、回避リストがいっぱいになった状態でプレイヤーを新たに登録すると、期限に最も近いプレイヤー(リストの最下層にいるプレイヤー)がその新プレイヤーと入れ替わる形でリストから外されます。
リストから外されるまでのタイムリミット(リストの順番)は個別に更新できるので、こちらも念頭に置いておくといいかもしれません。
▼回避機能について
こちらで、シーズン12で改善された回避機能について詳しく解説しています。
配信者保護機能(匿名モード)のアップデート
チートや迷惑行為を行うプレイヤーの参加を把握できていれば、事前にそういったプレイヤーのチャットをミュートにしたり 一緒にプレイしているフレンドと情報の共有が可能です。
しかし、現在 こういったプレイヤーが「自プレイヤー名を隠す」機能を使っているために、マッチが終わるまで該当プレイヤーの特定が難しいとのフィードバックがあります。
迷惑行為・チート行為はサブアカウントが多め
迷惑行為やチートに走る傾向にあるプレイヤーの多くは、プレイ時間の少ない比較的新しいアカウントを使っています。
「自プレイヤー名を隠す」をはじめとする配信者保護機能がそもそも「オーバーウォッチ」を長期間プレイしているベテランの方やコンテンツ・クリエイターを対象とした迷惑プレイヤー対策の1つであることも考慮して、今後は同機能の利用対象を、チャレンジ「不動のヒーロー」を達成している方に限定したいと思います。
「不動のヒーロー」はゲーム・モードを問わずマッチに1,750勝すると獲得できる、獲得に長い期間を要するチャレンジです。
この新ルールの導入後は、迷惑行為に走る目的でサブ・アカウント名を隠すケースが減り、ベテラン・プレイヤーが本来の目的に則って同機能を利用しやすくなると予想しています。
マッチ内通報機能が追加予定(コンソール版)
※現時点では実装されていません
スコアボードからボイス/テキストチャットのミュートの切り替えとボイスチャットの音量をマッチ参加者別(敵、味方、ご自身を含む)に設定できる機能と、マッチ中にボタンを2回押すことで簡単に通報できるショートカット機能の導入が予定されています。
この2つの新機能は、コンソール版を念頭に置いて開発されたものです。
マッチ中にボタンを数回押すだけで特定の操作ができるので、コンソール版をプレイする方は特に利便性の改善を実感できるでしょう。
ディフェンス・マトリックスとは?
タンクヒーローD.Vaのアビリティのことではなく、基本プレイ無料となったオーバーウォッチ2で不正行為に断固たる措置を取るための新たな取り組みです。
全てのプレイヤーが公平かつ安全な環境でゲームをプレイできるように、セキュリティ面とゲーム体験面をより強化してくれます。
この取り組みが目指す3つのゴール
- すべてのプレイヤーがポジティブな経験をできるような枠組みを策定し、開発し、拡大する。
- チートや荒らし行為を迅速に特定し排除することで、すべての競技レベルで健全性を確保する。
- 不正行為に対して毅然とした態度で臨み、ポジティブかつ建設的なプレイヤーの声がコミュニティの中心となるよう、ゲーム内外でより安全なコミュニティを形成する。
下記で、より詳しく変更された点について解説しています。
SMSプロテクトの追加
SMSプロテクトはチートや荒らしの対策としてゲーム業界で効果が高く、アカウント保護にも役立ちます。
オーバーウォッチ2を初めて起動する際、全てのプラットフォームでBattle.netアカウントに電話番号を連携させることが必要になります。1つの電話番号で複数アカウントの作成や、プリペイドなど特定の種類の電話番号でSMS登録はできません。
これにより、サブアカウントを用いた「スマーフ」、チートや「トロール」行為をするプレイヤーが減ると思われます。
機械学習/音声の文字起こし
チートや不快なチャット/ボイスチャットを、機械学習や音声の文字起こしで検知してくれるシステムです。機械学習が進む毎に、未然に迷惑な言動を防いでくれるようになります。
運悪くゲーム内で迷惑行為や不正行為に遭遇してしまったら、通報することが、不正の検知・防止の一番の対策になります。
ファーストタイム・ユーザーエクスペリエンス
FTUEと呼ばれるこのシステムは、主に新規ユーザー向けの機能になります。
新規ユーザー向けの機能
オーバーウォッチ2リリース後に新しく作成されたアカウントに適応されるステップで、ヒーローやゲームモードが多く、何から手を付けていいか分からないプレイヤーを助けてくれる機能です。
さまざまなモードやルール、ゲーム内の駆け引きなどをわかりやすく説明し、新規プレイヤーがオーバーウォッチの世界に馴染めるように手伝ってくれます。
- 第1フェーズ:すべてのゲーム・モード、ゲーム内チャットの解放
- 第2フェーズ:およそ100マッチをかけて、徐々に全ヒーローの解放
チートや荒らし行為の抑制
FTUEは、チートやスマーフ、荒らし行為の抑制にも繋がります。
新規アカウントでは、「クイック・プレイ(カジュアルマッチ)」で50勝することで「ライバル・プレイ(ランクマッチ)」がアンロックされます。
トロール(荒らし)行為や、チートを行うために新規アカウントを作成したとしても、疑わしいアカウントを特定するチャンスがあります。また、50勝しないといけない煩わしさから、サブアカウントを作成してライバル・プレイに参加するプレイヤーも減少すると思われます。
「推薦」機能の変更
既存の推薦システムを一新し、1マッチにつき1カテゴリのみ、味方プレイヤーのみを推薦できるように変更されます。この変更で、ポジティブな行動をするプレイヤーが、高い推薦レベルをより維持しやすくなります。
オーバーウォッチ1では推薦レベルに応じて「トレジャー・ボックス」が配布されていましたが、「トレジャー・ボックス」機能が削除されたオーバーウォッチ2では、バトルパスXPが贈られます。
ライバル・プレイのマッチ開始前画面の変更
オーバーウォッチ2では、プレイヤー・レベルが撤廃され、XPはバトルパスのレベルアップに使用されます。
また、レベルの撤廃に伴い、ライバル・プレイ開始時に各プレイヤーのスキル・ティア(ランク)や、プレイヤー・レベルが表示されなくなります。
代わりに、プレイヤー名・アイコンと合わせて表示される「ネームカード」、「称号」(新機能)が追加されました。
マッチ前に味方の実力を判断し、明示的・暗示的バイアスを抱くマイナスの側面をなくす変更です。
ピン・システムの追加
ボイスチャットを使わずにチームメイトとコミュニケーションが取れる新機能です。
音声コミュニケーションの補助としても使うことができ、ボイスチャットを使いたくないプレイヤーにとっても、チャット以外の新たなコミュニケーションシステムです。
ピン・機能に関する詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
一般チャットの削除
迷惑行為が頻繁に発生していた「一般チャット」が削除されます。試合中のチャットなどは引き続き使用できます。
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